中卒フリーライターほぼ無職。

在宅Webフリーライターaoikaraの日常ブログです。

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読書

東野圭吾『容疑者Xの献身』読書感想 石神は最後に何を思ったのか

何度も読み、何度も見たことがあった。それでも、心をかき乱される。きっとまた私はこの本を読むだろう。 ※ネタバレを含みます。 東野圭吾『容疑者Xの献身』作品情報 あらすじ 東野圭吾『容疑者Xの献身』感想 改めて気づく重さ” 石神の“咆哮”の理由 緊張の糸…

【読書感想文】『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル もっと知って、考え続けたい

知らなかったから、知りたいと思った。本を読み、少しだけ知れた後、もっと知りたいと思った。 夜と霧新版 posted with ヨメレバ ヴィクトル・エミール・フランクル/池田香代子 みすず書房 2002年11月 楽天ブックス Amazon Kindle

【読書感想文】島本理生『ファーストラヴ』 ただ愛が欲しかった

「ファーストラヴ」という単語は、初恋のことだと認識していた。この本を手に取って、読み始めたときもずっとそう思っていた。ファーストラヴを探しながら読んでいた。 読み終わって、全く違う風に言葉を捉えていた。ファーストラヴとは、人生で一番最初に受…

【読書感想文】島本理生『あられもない祈り』 心の内を覗いているような背徳感

初めてこんな文章の小説を読んだ。小説の文章とは端的で、主観にようでありながら客観的で、わかりやすく書いてあるという印象があった。この小説の文章は、流れるようにとめどなく、主観的だった。 それはまるで人間の感情をそのままを描いているように。こ…

【読書感想文】早見和真『イノセント・デイズ』 私の憤りは、彼女の救い

ずっしりと重いものが、胸にのしかかってくるような。それがこの本を読んだ感想だった。こんなことが現実で起こったとしたら、あまりにも恐ろしい。けれど、当人はそれを待ち望んでいた。 せめて、その人が悲観していれば、私は思いきり憤れた。しかし、そう…

【読書感想文】東野圭吾『虚ろな十字架』 罪を償う方法に正解なんてない

罪を犯してしまったら、どうやって償えば良いのか。自分が罪を犯す側になってしまうかもしれないし、犯罪の被害者になってしまうかもしれない。法治国家の日本では、法律によって裁かれるのみ。しかし、もう二度と元には戻らない。 一度罪を犯してしまえば、…

【読書感想文】吉野源三郎『君たちはどう生きるか』この本は“教え”ではなく、始まり

2018年に最も売れた本は、本書が原作の漫画らしい。多くの人に読まれていることは、ずっと以前から知っていた。その理由が知りたくて、手に取った。目から鱗が落ちるような、画期的な生き方が記されているわけではない。きっと、題名でもあるこの一言に尽き…

【読書感想文】又吉直樹『劇場』切り捨てられず、感情移入できず、漂いながら読む

この本は、一言で言えば恋愛小説だ。ただ、恋愛を読む小説ではない。ある人物が大切に思っていた人と過ごした時間を、心の内部まで覗き込んだような感じ。とても“きれいな恋愛物語”ではなく、切り捨てられるわけでもなく、感情移入できるわけでもなく、間を…

【読書感想文】東野圭吾『マスカレード・ナイト』騙されたけど、騙されてない

刑事は人の仮面を剥ぎ、ホテルマンはその仮面を守る仕事。と、経験からお互いに心得た刑事とホテルマンは、お互いを尊重するパートナーになった。こっそりと仮面の中にある素顔を確認しつつ、それが犯罪者でなければそっと隠す。そんなこともできるように。 …

【読書感想文】東野圭吾『マスカレード・イブ』出会いまでのカウントダウン

人は誰でも仮面をしている。時や場所、人に合わせて、自分という仮面をカスタマイズする。 誰かが仮面をしていると思うと、その奥にある素顔が知りたくなってしまう。仮面を外させることに対して、偽りを暴くという正当性があるから、仮面を剥ぐことに人はや…

【読書感想文】東野圭吾『マスカレード・ホテル』プロフェッショナル的ミステリー小説

絶対に相手の仮面を剥がさないホテルマン。絶対に相手の仮面を剥いでみせる刑事。全く正反対な二人が出会い、ホテルで起きる事件に立ち向かう。ミステリー小説でありながら、プロフェッショナル的な“仕事の流儀”を感じられる小説だった。 マスカレード・ホテ…

【読書感想文】カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』生々しさと美しさの共存

海外の美しい絵が描かれている絵本を読んでいるような、不思議な物語。でも、そこにあるのは生々しい人間模様と感情。近未来的な世界観と、誰かから話を聞いているようななじみやすさ、リアルな空気感が共存している。 ここに描かれる彼らが“人間”でなくて、…

【読書感想文】岸見 一郎、古賀 史健『嫌われる勇気』勇気を持てば人生は変わる、確実に

人生はシンプルだ、とアドラー心理学では唱える。そんなわけがないと言いたくなる人こそ手に取ってほしいのがこの本。自分と同じくらい、いや自分以上にややこしい“青年”のある意味での正論を、“哲人”がアドラー心理学で解き明かしてくれるのだから。 読み終…

【読書感想文】東野圭吾『11文字の殺人』 どんな理由があろうと犯すことは許されない

人は罪を犯す。ときには罪を犯した人間に同情したくなるような状況もある。それでもやはり犯してはいけない。犯すことは、とても醜い。 11文字の殺人 (光文社文庫) posted with ヨメレバ 東野 圭吾 光文社 1990-12-01 Amazon Kindle 楽天ブックス 7net ※ネタ…

【読書感想文】七月隆文『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』どんな世界でも「二度と会えない」切なさは変わらない

どんな世界でも、いくつになろうとも、人を想う心が同じなら、「二度と会えない」切なさはきっと同じなのだろう。その切なさを知っていて、やってこないでほしいと思うからこそ、この本を読んで胸を締め付けられるような思いになってしまった。 ぼくは明日、…

【読書感想文】東野圭吾 加賀恭一郎シリーズ 全10作品 まとめ

週に1冊ペースで本を読むaoikaraです。仕事があったりすると、読書に集中できなかったりして、ペースが落ちることもしばしばです。時間があるときはいくらでも本を読めます。 さて、今回のテーマは… 東野圭吾 加賀恭一郎シリーズ です。 東野圭吾さんの作品…

【読書感想文】東野圭吾『麒麟の翼』過ちに向き合う勇気を持たなければ

人間は見たいものを見るし、見たくないものは見ない。信じたいものを信じ、信じたくないものは信じない。人にとって当たり前のような感覚なのかもしれない。 しかし、時に見なければならないのに目をそらし、信じなければならないのに疑ってしまうこともある…

【読書感想文】池井戸潤『空飛ぶタイヤ』集団を描く小説の醍醐味

池井戸作品の魅力とは?社会派で重厚感のあるテーマ。勧善懲悪のエンターテイメント性。たくさんの魅力が思い浮かぶが、実は集団を描く力がものすごく優れている著者なのではないか。この作品を通じて、まざまざとその力を見せつけられた気がする。 空飛ぶタ…

【読書感想文】村田沙耶香『コンビニ人間』私たちはみんな〇〇人間

こんなに理解できない小説の主人公は初めてかもしれない。犯罪者とかでもなく、日常を生きている人のはずなのに。それでも読み終わった頃には、主人公に肯定的になっている自分がいることに気づく。不思議な読書体験でした。 コンビニ人間 posted with ヨメ…

【読書感想文】東野圭吾『赤い指』家族は変わらず変わっていく

誰しも家族がいる。それを望んでいようと望んでなかろうと、仲が良かろうと悪かろうと、顔を知っていようと知らなかろうと、家族はいる。生まれてきたということは、すなわち家族の一員になるということだ。 血のつながりというのは一生変わらない。家族とい…

【読書感想文】東野圭吾『嘘をもうひとつだけ』気軽に読みたいときの推理小説

最近は長編の大作を読むことが多かった。世界観にどっぷり浸かって楽しい体験だ。ただ、気持ちまで持っていかれてしまうので、疲れることではある。そんな疲れたときに、もう少しだけ気軽読めるのが今作だ。 内容はきちんと重厚感がありながらも、短編なので…

【読書感想文】平野啓一郎『マチネの終わりに』過去は未来によって変わることもある

「過去は変えられないが、未来は変えられる」というよく聞く台詞がある。私自身もよく使っている。しかし、この物語は「未来が変わる」。決してSF小説ではない。意味合いが少し違う。 「過去の出来事は、未来によってその有り様が全く変わってしまうこともあ…

【読書感想文】東野圭吾『私が彼を殺した』なぜ彼女は彼を愛したのか

ミステリーの謎解きという点で、非常に高度な小説である今作。結局、解き明かされていないミステリーがある。それは、なぜ彼女は彼を愛したのかということだ。 私が彼を殺した (講談社文庫) posted with ヨメレバ 東野 圭吾 講談社 2002-03-15 Amazon Kindle…

【読書感想文】又吉直樹『火花』この男たちを愛せるか

この本を面白いと思えるかどうかには、いろんな要素があるように思う。私は、「この男たちを愛せるかどうか」が判断基準になるのではないかと考えた。そして、私は、この男たちになんとも言えない「いとおしさ」のようなものを感じた。 火花 (文春文庫) post…

【読書感想文】東野圭吾『悪意』「書けなかった」が動機ではないか

この本のタイトルは『悪意』という。もうそこから、筆者の手の平の上で転がされていたなんて、誰がわかるのだろうか。 悪意 (講談社文庫) posted with ヨメレバ 東野 圭吾 講談社 2001-01-17 Amazon Kindle 楽天ブックス 7net ※ネタバレを含みます。 あらす…

【読書感想文】東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』本当の犯人の見つけ方

「どちらかが彼女を殺した」 推理小説やドラマでよくある展開。「犯人はどちらかだ」と絞られて、解き明かしていく。ただ解き明かした結果、こんな結末が待っているとは全く予想もしていなかった。むしろこの結末は現実に近いのかもしれない。 どちらかが彼…

【読書感想】恩田陸『ブラック・ベルベット』壮大なミステリーツアーに連れて行かれたよ

私は海外旅行をしたことがない。一番遠くへ行ってもお謹話。だから、もっと遠くへ連れて行ってくれるのはきっと小説だ。小説は日本中にでも海外にでも、ときには地球を飛び越えて、過去や未来と時空まで超えて、別の世界へ運んでくれる。この本はアジアとヨ…

【読書感想文】東野圭吾『眠りの森』小説とドラマとでラストが違う

印象的だったのはラスト。ドラマも観ていた私としては「あっ、違う」と意外な結末だった。ドラマを観て、本を読み、あなたはどちらが好きだろう。 眠りの森 (講談社文庫) posted with ヨメレバ 東野 圭吾 講談社 1992-04-03 Amazon Kindle 楽天ブックス 7net…

【読書感想文】恩田陸『蜜蜂と遠雷』小説から音楽の世界に連れ出してくれる

「音楽を狭い室内から広い世界に連れ出してごらん」 と、この小説で語りかけてくる人物がいる。 音楽は、その実が小さく狭い室内で“音”でしかないかもしれないけれど、心の内を振るわせ、時空や国境も越えて響きがつながりを作り、壮大な世界を作っていくこ…

【読書感想文】東野圭吾『卒業』人間は強くて脆い

自分にとって身近な人が死んだとき、それが自殺か殺人かだとしたら、その理由を理解することができるだろうか。そんなことを考えさせられる一冊です。 卒業 (講談社文庫) posted with ヨメレバ 東野 圭吾 講談社 1989-05-08 Amazon Kindle 楽天ブックス 7net…

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