言おうとしたのに瞬時に忘れてしまうことがあるaoikaraです。短期記憶能力の欠落、あるいは欠如と呼んでいます。たまにあります。記憶って新しいものから消えていくからなのかな。
というわけで今回のテーマは…
西郷どん 第43話「さらば、東京」感想
です。
※個人的な感想なので辛口なコメントを含みます。
※ネタバレもしていますので、まだ内容を知りたくない方はドラマを見てからどうぞ。
▼ネタバレ記事はこちら
▼西郷どん 第42話「両雄激突」記事はこちら
GOODポイント
- 1年近くも鹿児島を見ているものですから、桜島が出てくるとほっとしますね。今回の夕日のショットもキレイでした。
- 雪篷の家庭教師っぷりがイイ!居場所があってほっとしました。
- 熊吉まさかのロマンス…ならず。隆盛についていくところはさすがだなぁ。
- 隆盛と木戸、薩長同盟ぶりの握手良かったですね。隆盛が木戸の真似をするところなんかも。二人とも笑顔なのも。ここにも友情があったんだなぁ。
- 家に来たら断るように大久保が言っていたのに、あっさり家に上がらせるおゆうさん。「息子の友達」とさらりて言ってのけるのは、さすがに京都人だな~と思いました。見事!
気になったポイント
特になし
感想
大久保、それでいいの?
欧米使節団として異国に旅立った者たちが戻ってきて、大久保の策で、結果的に留守政府を任せていた役人は皆辞職し、新たな政府が作られました。そして、大久保は内務卿としてより強い権限を持つことになったわけです。
ですが、大久保は権力が欲しいわけではないと思うんですよね。異国に行って、あまりにも世の中が進みすぎていて、カルチャーショックを受けたのでしょう。日本はまだまだ小国で、もっと早急に日本を強くしなければと考えたのだと思います。
と、同時に、留守政府がうまくいっていたのも、面白くなかった部分もあるのでしょう。自分たちは条約改正とはいかず失敗したのに、残った者たちが国を築き上げているわけですから。より神経を逆なでしたのではないかなと思います。
大久保には理想があって、それに突き進んでいるだけ。そのために強い権力があった方が物事がスムーズに動かしやすいのでしょう。いろんな複雑な感情があるかもしれませんが、基本的にはそういう思いです。
ただ、そのためにはどんな手段も辞さない。三条実美が倒れたときに、何か思案するような、そこはかとなく恐ろしい表情をしているように見えました。
でも、それでいいの?と問いかけたくなってしまいました。古くからの友人で、盟友で、親友で、仲間で、同志の隆盛を追い出したということが、大久保は自分が思っていた以上に大きなことだったように見えます。大久保の中で何か壊れてしまったのかも…。
西郷は人を信じ、優しさで包み込む
大久保が人を切り捨てる様を見せつける一方で、隆盛は常に人を信じて、優しさで包み込んでいくんですよね。なので、周りの人たちもどんどん魅了されているように感じます。
三条にも心を許される
このドラマでは、公家っぷりが強く、少しお飾り感のある太政大臣の三条実美。隆盛へ強い思い入れがあるようには見えなかったので、病に倒れたときに隆盛にすがっているのは意外でした。
留守政府の政治が良かった、と言ってくれているのは、なんだか私もうれしくなりました。民のために働けたということに、三条も喜んでいたのだなと。思っていたより良い人だったなと感じました。
そして、大久保が恐ろしいことを企んでいるとも教えてくれましたしね。そこまで心を開かせるというのは、隆盛のまっすぐな姿勢や、民のためを思う気持ちが伝わっていたからなのかなと思いました。
役人として最後まで民のため
隆盛も政府から辞職しました。結局、朝鮮国への派遣はならず。それでも、朝鮮国に住む日本人たちのことを案じていました。最後まで、民のために尽くそうとする姿にはぐっと来ました。
政府では汚職や意見のぶつかり合いなど、うまくいかずにもどかしい気持ちを抱いていた隆盛でしたが、それでも「民のため」という信念は貫いていたのだなと。自分はきちんとやってきたのだから、やりきったという思いもあり(無念もあり)、去る決意も潔かったのかなと思いました。
木戸との間にはいつのまにか友情が
木戸が病気になっていましたね。大丈夫でしょうか。そんな木戸は岩倉に政府に残るように言われるんですよね。隆盛が反乱を起こさないようにするためにも。すると木戸は「西郷君はそんな人じゃない!」と怒鳴るんですよ。
実際に木戸が隆盛に会いに行くと、隆盛は岩倉と同じように、木戸には政府に残ってほしいと言うんですよね。
伝えている主軸は同じはずなのに、隆盛と岩倉のその意味合いや本心はまるで違っていて。木戸も受け取り方が全然違いました。隆盛の言葉は素直に受け止めていましたし、心に響いているようにも見えました。これが人徳の違いかなぁ。
政府を去る者と政府に残る者。いきさつを考えれば敵対していたもおかしくないですが、隆盛と木戸は笑顔で握手をしていました。
政治的な部分でつながっていた二人ですが、実は最初に打ち解け合ったのは、その信念が通じていたからなんですよね。慶喜のせいでごちゃごちゃになりましたが。でも、二人とも今でも信頼し合っていた。
だから、二人には友情のようなものも芽生えているようでした。そういえば、木戸の笑顔を見たのは初めてで。隆盛の包容力が本当にすごい。
もしかすると大久保の心もほどかれていた?
隆盛は東京を去る前に、大久保に真意を尋ねに行きました。「回りくどいやり方は好かん」「自分を辞めさせたいなら、二人で話し合えば良いことだった。周りを巻き込む必要はなかった」と、隆盛は思いの丈をぶつけます。
それに対して、大久保は「憎めぇ」と、まあ憎たらしく言うんですよね。私なら存分に憎んでやります。でも、ここが隆盛の優しいところといいますか…「いや、憎めん」と言うんですよね。ずっと一緒にいた大久保なのだからと。
大久保は理想の国を作るために、隆盛を切り捨てたんですよ。なので、古くからの盟友に憎まれることも覚悟していた。それでも、隆盛が優しさで上回ってくるんですよね。これはすごいシーンだなと、思いました。
大久保は何を言いかけたのだろう
隆盛の言葉を聞いているうちに、大久保が心がほどけていくように、表情も緩んでいくんですよね。目には涙をためて、顔を歪ませて。
最後に「吉之助さあ…」と声をかけましたが、おゆうが部屋に入ってきたので続きは言えず。明らかに最近の大久保ではなく、大久保正助に戻ったような表情と声でした。
結局、二人はそのまま別れてしまいました。そして、本人たちはそんなことを思っていないでしょうが、それが最期の別れにもなってしまったのです。
なので、とても気になりました。大久保は何を言いかけたのだろうと。隆盛は聞かなくても満足していました。隆盛としては、自分が腹を割って話せたので、信頼する大久保に政府を託そうという気持ちだったのでしょう。
でも、大久保が何かを言ったとすれば、その先の歴史が違うものになってのではないか、という気もするんです。
私が言葉にすることはできない、大久保から隆盛に対する、とても大切な大切な気持ちを言葉にしていたのではないか、と思います。…そうであってほしい。そういう表情だったと思います。
余談ですが、西郷どんの公式ホームページによると、このシーンは“余白”だったそうです。隆盛を演じる鈴木亮平さんは、自分を何度も何度も助けて支えてくれた大久保を憎めず、その感謝を伝えたいと思ったと。
対する大久保を演じる瑛太さんは、最初は変わってしまった大久保を演じようと考えてもいたそうです。しかし、鈴木さんの演技で心が動かされて、表情にも出てしまったそうです。それが大久保の心がほどけた瞬間なのかなと。
役者さんってすごいなぁ。ゾクゾクしますね。ああいうものはなかなか見られない演技です。本当にすごい。
次回:破れた者たちの闘志
鹿児島に戻った隆盛は畑を耕すなどして穏やかに暮らす、はずだった。桐野たちが次々と政府を辞め、士族たちが行き場を失っていた。また、江藤が佐賀で戦を起こすも、政府軍にあっけなくやられ、鹿児島に逃げてくる。
隆盛には鹿児島で穏やかに生きてほしいと思ったのですが…難しそうですね。これから終盤に向けて波瀾万丈ありそうです。心して見なければ。
aoikara
▼西郷どん 第44話「士族たちの動乱」記事はこちら
▼西郷どん 記事一覧はこちら