匿名のインターネットを使ってきた、aoikaraです。昔は匿名が基本だったからなぁ。でも匿名とはいえ、超えちゃいけないラインはやっぱりあります。
というわけで今回のテーマは…
相棒19 第9話「匿名」感想
です。
※ネタバレを含みます。
▼相棒19 第8話「一夜の夢」感想 記事はこちら
相棒19 第9話 ゲスト・スタッフ
- ゲスト:藤吉久美子 野村佑香
- 脚本:杉山嘉一
- 監督:権野元
相棒19 第9話「匿名」あらすじ
歩道橋で女性が転落死する事件が発生。目撃者の主婦・智子(藤吉久美子)の証言により、被害者の知人の男が重要参考人として浮上する。男は、かつてカリスマイケメンシェフとしてマスコミをにぎわせていたが、SNSでの発言が炎上し、最近は金に困っていたという。
捜査一課が、行方をくらませた男を追う中、特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、“通報のお手本”とも言える詳細な証言をした智子に注目。
智子の証言と、防犯カメラの映像から、一週間前、矢坂美月(野村佑香)という女性弁護士が、被害者の女性と接触していたことを突き止める。
ところが、美月はその直後、階段から足を踏み外して“事故死”していたことが分かる。最近は、DVやストーカーなどに苦しむ女性の事案を担当していたというが…!?
歩道橋の事件と女性弁護士の事故、相次ぐ転落死に関連性を感じ取った右京と亘は、行方をくらませている男の連続殺人を疑うが、腑に落ちない点もあった。
そんな中、美月がネット内の匿名の書き込みから悩んでいる女性を見つけ、自らアプローチしていたことが分かる。
SNS炎上のカリスマシェフが連続殺人犯!?
通報者の主婦の“詳しすぎる証言”が捜査の鍵に
匿名女性たちの嘆きが衝撃の結末を呼び寄せる!
参考元:第9話「匿名」2020年12月9日(水)|ストーリー|相棒 season19|テレビ朝日
GOODポイント
- こてまりさんのまとめ髪、きれいだったなぁ。
- 「女性絡みの君の勘はよく当たりますねぇ」という右京さん、ひどい。
- インコに話しかける出雲さん、かわいい。
- 物語の最初から「インコ無事なのかな」と思ったので、きちんと新しい飼い主が見つかりましたよって終わりにつなげてくれてよかったです。ほっとしました。
- 冠城「暇ですか?」
角田課長「暇だねぇ」
逆「暇か」よかったです。 - 青木のメモ、めっちゃ青木の字っぽい。
- 逃げていたイケメンシェフの生えかけの髭がリアル。
気になったポイント
- 弁護士の矢坂先生、裏垢の詰めの甘さが若干気になりました。事務所で採用されている写真を使いますかね?特定されてもいいと思ってるのかな?じゃなかったとしたら危機管理の意識が低くてちょっとこわい。もっと裏垢っぽい写真使えばよかったのになぁ。
- 人が襲われるような事件があったら、事件現場の別室だとしても一応は捜査しませんか?智子さんが身を隠していてもバレそうだなぁと気になっちゃいました。
感想
「匿名」が悪いわけじゃない
インターネットでの匿名について以前から議論されていましたが、今年はいろんなことが起きて、より多くの人の中で議論されたように感じます。匿名なのを悪用するのはやはりいけないことだと思います。卑劣だし卑怯だし。
でも、インターネットを匿名で使ってきて、今だってライターを名乗りながら仕事ではもちろん自分を明かしているものの、あくまでペンネームで顔出しもしていない、匿名の身としては、全てが悪いとは言いたくはないです。
社会で生きづらい人が、匿名の中で生きやすい場所があるなら、それはそれでいいことだなと私は思います。ただ、匿名の中で意図的に誰かの生きやすさを奪ったり、生きにくくしたりするのは違うなと。匿名で批判されているのはその点ですよね。
自分の生きやすい場所と、誰かの生きやすい場所と、共存できることを目指していくのはリアルでも匿名の世界でも同じだと思います。でも、きれいなところだけが人間じゃないから、汚い部分も受け止めてもらえる場所は必要だし、自分を守るのと誰かを蔑まないようにというバランスはとても難しいのかも。
冠城君が言ってたけど、匿名そのものが悪いわけではなく、使い方次第。ただ「匿名が悪い」「匿名がこわい」ではなく、その中にも悪意と善意がうずまいているよと描いてくれていたとは思うので、それぞれが考えてくれたらなぁ、なんて思います。
隠れたものすごい人はきっとまだまだいる
最初の悪意があるっぽい投稿について、わざわざ海外のサーバーを経由していて特定できないと明かされたときに、ものすごくインターネットに詳しい人が一時的な感情ではなく書き込んだんだろうなと思いました。
だって、わざわざ悪口を書くためだけに、そんな面倒なことしないですよ。ネットに疎いからこそ、特定される危険がバリバリあるのにあっさり悪口とか書いちゃうわけで。知識がある人はそんな短絡的な行動はしないはず。だから、きっと何かしらの目的があるんだろうなとは思っていました。
それにしても主婦の智子さんだったとは!暇つぶしに始めたとは思えないほど、ネット事情に詳しすぎましたね。個人で行えるレベルを超えているような。知識がない私からすると、凄腕ハッカーみたいに感じてしまうほど。
彼女が自分を卑下する言葉には、今は別居している旦那さんとの関係性を感じます。ずーっと旦那さんの気配は感じないのですが、彼女の言葉の節々から旦那さんから掛けられたであろう言葉はにじみ出ているというか…。
でも、ものすごく高い能力を持っている方だと思うんですよ。今回は危ない橋を渡ってしまって、人の命が奪われるような事態を招いてしまったけれど、それこそ使い方次第でものすごい良いことにもつながるんじゃないかとか。
FBIはハッカーを雇ってるなんて話を聞いたことがありますが、日本の警察でも採用してもらえるくらい、ものすごい才能だと思うけどなぁ。独学だしすごいよなぁ。
また演じていらっしゃる藤吉久美子さんの雰囲気もとてもよかったです。あたたかくて、やさしくて、完璧すぎない感じもあって。素敵だなと思うような人柄がにじみ出ていました。
罪の重さと右京さんの言葉の対比
右京さんが、女性をリベンジポルノ的に脅迫していたカリスマイケメンシェフに「恥を知りなさい!」と怒鳴りまくっていたのはスッキリしました。たまに右京さんに対して「そこまで言わなくてもいいのに…」と思ってしまうときもありますが、今回はまるっと全面同意。本当にひどい、下劣な人だったから。
一方で、智子さんにはやさしい言葉をかけていた右京さん。もちろん彼女が善意でしていた行動ではあって、その心はとてもやさしいものだったからこその、やさしい言葉だとは思います。その気持ちはとても理解できる。
でも、でもね、智子さんは一人の命を自身の手で奪ってしまっている。そして、善意によって一緒に行動した弁護士の矢坂さんの命も奪われてしまった。私は、ものすごく重たい出来事ではないかと思うわけで。
その重さには言及されず、智子さんに寄り添う言葉ばかりだったのが、少しばかり気になりました。良い話でまとめちゃうのは違うんじゃないかな、と。いや、智子さんの人柄は私も好きなんですけどね。
でも、イケメンシェフにはあれだけの厳しい言葉を浴びせて、一方で人を殺してしまった智子さんには道義的な思いを伝えるにしても、刑事的責任について言及してほしかったかなと、個人的には思います。
だって第3話「目利き」で酒井さんにものすごく厳しかったんだもん。なんだったら酒井さんは殺してはいないわけで、それで殺してしまった智子さんにはやさしいのはなぁ、うーん。殺されたのが悪い人間だったとしても、やはり罪の重さは感じさせてほしい。
次回:内村刑事部長、どうなる!?
贋作を売り歩いてきた画商の男が自首したものの、被害者からの訴えがなく釈放され、その足で自殺してしまう。そこにはどうやらヤクザが絡んでいるようで、特命係が調べようとするも、刑事部長の内村に釘を刺されてしまい…
ここのところ、ヤクザとのつながりが描かれている内村刑事部長なので、そろそろ退場路線もありえるのかな…。輿水さんの脚本ですし。心して見たいと思います。
aoikara
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