相棒を見て、地球ゴージャスの舞台を見たくなった、フリーライターのaoikaraです。
相棒をずっと見てきて、寺脇康文さんの演技が素晴らしいのは知っていたけど、岸谷五朗さんも本当に素晴らしかった。これは地球ゴージャス、生で見るしかないね。落ち着いたら絶対観に行くぞ!
というわけで今回のテーマは、そんな岸谷五朗さんがゲストの…
相棒19 第11話「オマエニツミハ」感想
です。
※ネタバレを含みます。
相棒19 元日SP 第11話 ゲスト・スタッフ
- ゲスト:岸谷五朗
- 脚本:瀧本智行
- 監督:権野元
相棒19 第11話「オマエニツミハ」あらすじ
ある日、都内の河川敷で、鎌田(永嶋柊吾)という区役所に勤める男の撲殺死体が発見される。さっそく捜査に乗り出した特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、犯人とおぼしき人物が「右足をひきずっていた」ことを知る。
そんな中、右京は、自分をつけ回している中年男がいることに気付く。その男が『こてまり』にまで現れたため問い質すと、仁江浜(岸谷五朗)というフリージャーナリストだと名乗る。
聞くと仁江浜は、右京が“数々の難事件を解決している伝説の刑事”という噂を聞き、取材させてもらうつもりだったという。すげなく断わった右京だったが、仁江浜はすんなり引き下がりそうになかった。
さらに、撲殺事件の現場にまで現れた仁江浜が、“少年犯罪”と“正義”について、右京を挑発するような議論をふっかけてくる。そこには、別の狙いがあるようにも思えた。
ほどなくして鎌田には、中学時代、無差別に人を襲った罪で少年院に入っていた過去が判明。
捜査一課は、かつて鎌田に襲われた被害者による復讐の線も視野に入れ、捜査を続行。すると、鎌田の暴行で大怪我を負い、人生を狂わされた被害者の一人である瀬川(趙珉和)という男が浮かび上がる。
伊丹(川原和久)と芹沢(山中崇史)は、目撃証言とも人物像が一致する瀬川にあたりをつけ、接触を試みるが、その矢先、まったく予想していなかった緊急事態に見舞われる。さらに瀬川は、次の犯行を予告するようなことを口にしていた。
そして、再び右京の前に現れた仁江浜は、またも右京を試すような言動を取り…!?
十数年前の少年事件と複雑に絡み合う現在の殺人
動機はかつて少年法で守られた加害者への復讐!?
右京を嗅ぎ回る怪しげな記者の“真の狙い”とは?
衝撃のラスト!右京が命を懸けた究極の選択を迫られる!
参考元:第11話「オマエニツミハ」2021年1月1日(金・祝)|ストーリー|相棒 season19|テレビ朝日
GOODポイント
- こてまりさんと右京さんのお買い物、楽しかったな~。「ご主人」と言われて「いえ」と返した右京さんに、乗り気のこてまりさんを、じっとりとした目で見て表情変わっているのが面白すぎました。
- 女性(こてまりさん)連れの右京さんを見つけて、ニヤニヤと「見ちゃった見ちゃった」とウキウキして、すぐにウワサをばらまいた青木君。いや~今までで一番いい笑顔を見た気がしますw
そういえば、最近青木君がつけているネクタイが妙におしゃれだな~と思ったのですが、あのいい店で買っていたのかしら? - ネットの掲示板やSNSに踊らされる警視庁内、おいおい大丈夫?と心配になりました。スキャンダルで足の引っ張り合いと聞いて妙に納得。とはいえ、色めきだちすぎ、右京さんの様子見に来すぎ!もう!あんなにたくさんの人が特命係を覗いていることなんてなかったなぁ。
- ウワサの真相が聞きたくて電話してくる上司(甲斐さん)とか嫌だ~!w
- 特命係の二人、甲斐さんと一緒に来たお店で、こてまりさんがお召しになっていた帯が後ろ猫になってた~かわいい!
- 男女が一緒にいるとすぐに色恋に結びつける甲斐さんに対して、「一人で生き抜く覚悟はとうにできています!」ってはっきりきっぱり言ってのけるこてまりさん、カッコイイ!本当にそうだよね。寂しいとか余計なお世話なのよ。
- 冠城君の右京さん評「一度決めたらてこでも動かないですからね。頑固というか、意固地、偏屈、へそ曲がり、あまのじゃくにひねくれ者」
ひどいw - 区役所職員が鉄パイプで殴られた事件の現場、ドローンでしょうか、風景から寄っていくような映像がすごかったです!権野監督の映像好きだなぁ。
- 特命係がホームレスの男性に話を聞いているときに、ごちゃごちゃ言ってる捜査一課の会話もなんだか楽しかったです。
- 右京さんって、相手によって態度が変わらないんですよね。大げさでもなく、同情的でもなく、いつでも右京さんとしてフラットに話しかける。すごく尊敬したいところです。
- 右京さんがシンプルに青木君を無視して笑いましたw
- 右京さんと冠城君が話しているとき、じとーっとした目で見ている青木。いや~浅利さんの演技が細かくて素晴らしいなぁ。
- 車をとばすぞ~ってときの出雲さんのわくわく感がよかった!
- 新生・内村刑事部長、今回の「バカモンが!」は正当な怒りだったなぁ。珍しく。捜査一課に「メンツではなく次の犯罪を防ぐ!」、てるおに「何かあれば俺も潔く腹を切るよ。おまえを一人では逝かせない」(これはイケメンすぎるセリフだったなぁ)、社さんに「君に頼るしかない」など人が変わりすぎていてこわいよ~。もしかして武士…?
- おかげでてるおも今までずーっと立っていたのに、ふんぞり返ってソファ座っちゃってるもんなぁ。
- 土師くん、久しぶり!青木に対していいキャラしてるわ~。
- 社さん、内村刑事部長に呼ばれて「風通しをよくしないと、この部屋は加齢臭がする」とはまたずいぶんはっきりと言いますね!びっくり!
- 「女性初の警視総監になる」と言われた社さんが、「そんなちっぽけな野心」と言ってのけたのも格好よかったです!好き!
- この社さんを受けての、特命係の「総理大臣でも狙ってる?」がドラマ「24 JAPAN」のメタな感じもいいですね。
- 芹沢の車の趣味wwwまーた彼女か!
- そして伊丹の私服の趣味!何だ!そういえば、憧れの女優さんに会いに行くときも、なかなかなファッションセンスだったもんなぁ。
- 恋人を失った女性が、犯人のことを知りたいと刑事を問い詰めるとき、泣きはらした目がリアルでした。絶望して、取り乱して、振り乱して、きれいな女優さんではあるのにそうではない姿をさらしているところがリアルで、胸にも来ました。
- シャンパンで乾杯する特命係って珍しい。こんな珍しさも元日スペシャルはありですね。
気になったポイント
- 最初にナチスの話が出てきて、おお今回は踏み込む話だなとドキッとしてしまったのですが、その後に設定は続かず…。歴史的に醜悪なものでも簡単に影響されるような軽薄さを描きたかったのかも?
- 捜査一課が瀬川さんが転落するのを止めるの、ちょっと遅すぎませんか?脚本が別なのでわからないとはいえ、もう捜査一課は犯人を転落で取り逃がしているという話があるので…。捕まえられないスピード感ではなかったし、高い所にいけば落ちる可能性も予想できるし、ちょっと違和感のある流れでした。
- 「日刊トップ」って、冠城君の友人で元検事の黒崎さんが記者をしている媒体ですよね。出てきてくれるのかな~ってわくわくしてたら違った~残念です。
- 結局、犯人グループはどうやって少年犯罪の情報を得ていたのでしょうか?私の見落としかもしれませんが、結局はにえはまさんの記者時代のツテ?警察内に共犯がいるのかと思っていたらそうではなかったので、はて。
感想
間違いから立ち直れるかは人それぞれ
今回の大きなテーマは少年犯罪と正義。少年犯罪の再犯、再非行について。果たして今の矯正教育で更生できるのか。ドラマで問題提起はされているけれど、私は実態についてくわしく知らないなと思ったので、“矯正教育”について調べてみました。
そもそも、少年院での指導などについて“矯正教育”ということさえ、知りませんでした。以下の法務省のサイトをざっと読んでみることに。
なんというか、学校のようだなと思いました。でも、勉強ではなくて“生きていくための学校”というような印象。
善悪や問題を解決するための、“罪を犯さない”教育。規則正しい生活を送るという、“暮らし”の教育。食べるのに困らないために職業訓練をする、“働く”教育。
これが再犯しないための正しい教育なのかどうかは、私はわかりません。でも、罪を犯していなくても、こんな風に具体的な“生きていく方法”を教えてくれて、サポートしてくれる場所というのは、少年院でなくても必要なんじゃないかな、とは思いました。
これで少年犯罪の再犯率は平成30年で35.5% *1。成人も含めた無作為の再犯率は28.9%*2 。少年犯罪の方が少し多い、これは多いのか、少ないのか、なんともいえないというか。
しかし、少年院ではなく学校でも、同じ教育をして社会でうまく生きていける人と、そうでない人がいます。それは人が悪いというわけではなく、その人には今の制度は合っていなかったのだと私は思います。だから制度が悪いというとそうではなくて、万能ではないから多様性が必要なのかなと思います。
ドラマでは、少年犯罪で更生しない人だけでなく、社会に参加して、家庭を持つなど更生している人もいると描かれていたのが救いでした。
たぶん、今の制度で更生するかどうかは人それぞれで、お互いのためにも再犯率は下がった方がいいので、制度が良くなるのであればそれはいい。それでも救えない人がいるときはどうしたらいいんだろう、というのが今回のテーマだったのかもしれないですね。
私は、社会人の一人としては、“生きていてはいけない人”があってほしくないと思っています。“生きていてはいけない人”が許される、認められるのは、つまり世界や社会が変わればいつだって自分が“生きていてはいけない人”になってしまうかもしれない恐怖があるから。
でも、自分や大切な人が本当にひどい目に遭っても同じことが言えるのかと言われたら、たぶん言えなくて。許してはいけない、許せない、と激しい感情を抱いてしまうと思います。苦しみの中でも相手の存在を奪う権利はないと、言えるほど強くはない。
なるべくつらい目に遭わないように、被害者を生まないためには加害者を生まないことが大切で、加害者が生まれない社会を作っていく一人でありたいんですよね。少年院や少年犯罪に関心を持つ、どうすれば社会で生きやすくなるのかを考える、そこがスタートなんじゃないかと。
今回の話が、自分たちの生きやすい社会をどう作っていこうか考えるきっかけになったらいいのかなぁ、とお正月からしみじみ考えてしまいました。
岸谷五朗さんの演技が素晴らしかった
今回、ゲストは岸谷五朗さん。独自のテーマ曲があるのかというほど、ジャズ?の曲がマッチしていました。なんとも気になる存在感の人でした。
私は、彼がやったことは絶対にいけないとは思うけど、心情としては理解できるし、共感してしまいます。愛する妻は出産直後に亡くなってしまって、大切に大切に育ててきた息子があまりにも残酷に命を落として、そりゃあ心を失ってしまいますよ。
ただでさえ「どうして?」と何度も言いたくなる、自分を責めたくなる状況で、本当は助けられるはずなのに助けられず、代わりに息子の命を奪うきっかけになった人間が右京さんによって助けられたとなれば、「どうして?」の答えを右京さんに当てはめてしまうのはそりゃあそうだよ。
本人も言っていました。頭ではわかっている、でも「ここが!」と胸をどんと強く押さえていて、見ている私もぎゅーっと胸をしめつけられるようで。逆恨みだとわかっているんだけど、でも、どうしてもどうしてもダメなんだと。ものすごく伝わってきました。
そして、たとえ殺せたとて虚しくて、でも殺せなくて。彼に救いがないことが、あまりにもつらかった。どうしようもない、どうしようもできない、つらさでした。
右京さんが語らない、諭さない
右京さんの過去について、客観的に見れば私は責められないなと思いました。本人が言っていたように、「悔やみはするけど間違っていたとは思わない」というのが本当にそうで。助けられる命を優先した、のはそのときできた最善だった。
でもね、昔、右京さんがこんなことを言っていたんですよ。目の前で犯人が命を落としてしまったときに、当時の相棒の神戸君は「最善の対処だった」と言うのですが、「最善の策が常に正しいとは限りません」と答えて、それからもずっとずっと考えていました。今回もまさにそんな状況で。
右京さんは犯人を諭し、ときに激怒することもあります。激しさだけではない、包容力のある言葉を伝えるときもあります。でも、今回はあくまで自分に対して、自分について述べただけで、仁江浜さんにはいっさい何も言いませんでした。
言えなかったのではないかと、思いました。右京さんは、あの日からずっと考えていて、それ以上に言えることはなかった。しかも、救った人間はよりひどい犯罪者になっている。助けられなかった子の親は今でも苦しんでいる。
答えが出ていなかった。自分の正義を主張するわけでも、相手の正義の間違いを指摘するわけでもなく、ただ自分のしたことだけを述べた。
個人的には、右京さんに罪があったとは思えませんが、同じ状況でずっと苦しみ、そして答えは出ないと思います。だからこそ、今の仕事を全うすることが、右京さんなりの答えなのではないかと思いました。
しんみりラストでも良かったかも
事件直後から、結びは明るくというように、冠城君もこてまりさんも明るく振る舞っていました。性格として、しんみりよりは明るくというお二人だからね。
個人的には、右京さんが過去に思いを馳せながら、しんみりとクラシックでも聴いていたり、無音で紅茶を飲んでいたりしてもいいのかなと思いました。
昔の相棒で、いつも花の里なのに、全然違うバーで右京さんと亀山君が飲んでいる、しんみりラストがあったんですよ。特に今回のように救いのない人がいるには、思いを馳せて、何かできることはないだろうかと考える余韻があってもいいのかなと、個人的には思ってしまいました。
いや、明るいのも、ちゃんと希望もあるよというラストでよかったんですけどね!明るく強い人たちのそばに、更生している人たちがいるので、前を向けるラストだったと思います。
次回:冠城君が潜入捜査!?
角田課長が給付金詐欺に引っかかっていると気づいた右京は、犯人と接触できる状況を利用して、冠城とグループの一員・鈴木と接触し、潜入捜査を試みる。そこでは少年たちが軟禁されていた。少年によると、そこには伝説の詐欺師がいるらしく…
マギーさんがお久しぶりにゲスト出演されます!亀山君時代に若杉栄一という役柄で何度か出ていらっしゃって、北海道出身のキャラクターだったのもあって思い入れがあります。今回は全く別のキャラクターで、楽しみです。って、マギーさんが伝説の詐欺師とかじゃないの~と疑っています。
脚本は徳永さん。南井さんシリーズが一件落着、したと思うけど、あれまさかまた絡んでくる?新しい強キャラ登場が楽しみだなぁ。
次回も期待!
aoikara
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