四三の復活力を見習いたいaoikaraです。気持ちが強い。それだけ実力も相当にある方なのだと思います。心根もまっすぐで。見習いたいことが多すぎます。
というわけで今回のテーマは…
いだてん 第13回「復活」感想
です。
※個人的な感想なので辛口なコメントを含みます。
※ネタバレもしていますので、まだ内容を知りたくない方はドラマを見てからどうぞ。
▼いだてん 第12回「太陽がいっぱい」記事はこちら
第13回「復活」あらすじ
意識がないままホテルに運ばれていた金栗四三(中村勘九郎)は、日射病だった。いつもお世話をしてくれてきたダニエルに案内され、自分がコースからはずれてペトレ一家に助けられた行程を改めてたどる四三。
そして、マラソンを共に戦ったポルトガルのラザロ選手が日射病で死去した事実を、三島弥彦(生田斗真)に聞かされる。
命を懸けて監督を全うした大森兵蔵(竹野内 豊)や安仁子(シャーロット・ケイト・フォックス)の「頑張れ」の思いを胸に、四三は再び走りだす。
同じ様に、孝蔵(森山未來)は緊張と戦いながら、落語「富久」を演じ、完走はできないまでも目を見張る才を見せる。
参考元:第13回「復活」| あらすじ | NHK大河ドラマ『いだてん 〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』
GOODポイント
- 通訳のダニエルが良い人すぎて涙。水も「無理にでも渡せば」って言うし、探して連れてきてくれるし、電車で泣き顔見えないように帽子かけてくれたり、優しさが染みるよ。
- 四三だけが道を間違えてしまったのかと思いきや、後に続いて間違えた人たちもいたんですね。たしかにそうか。
- 今回出演してくれたのは、四三を助けてくれたペトレ家(本物!)の子孫の方々だそうで。素晴らしいつながりですよね。良い人たちで、本当に良かった。
- 四三が意識朦朧としている中でも、自分のことをヤーポンではなく「日本人です」と繰り返し言うのは、四三の心の中で支えてくれるものを感じましたね。そのプライドが支えてくれたんだろうな。
- 大森兵蔵さんは素晴らしい監督だった。ラブラブな大森夫妻を見るのが、選手二人にとってストレスだったかと言われたら、それはそうだけどね!(笑)でも、良い人だったよ…切ないね。
- 四三、押し花を家族にも贈っていたのね。ほっこり。
- あれ、美川君と小梅、すっかりいい感じになってるじゃん!小説家の卵と言われて、「小説を書きたいと思っている」って書いてないのが美川君らしくて良いですよね(笑)小梅とのイチャイチャもごちそうさま。
- 清さん、めちゃくちゃ良い人。孝蔵に着物を送ってくれたり、七に入れても文句も言わずに、良い意味で期待もしてないし憎くも思っていない。こういう友情っていいなと思います。
- 弥彦が四三にカメラをくれましたね。新しいの買っちゃった、というのが本当だとしても、受け取る四三が申し訳ないという思いにならないように、という配慮なのかなと思ったりして。
気になったポイント
- おそらくですが播磨屋さんのシーンがカットされていましたね。それぞれがオリンピック後の思いを描くシーンで、映像がなく男の子の表情だけでした。そして、清さんが孝蔵に播磨屋さんが作ってくれた着物をあげるシーンもあって…。あれは播磨屋さんがいたシーンだったと思います。…無念。円盤化するときは三宅さんで撮り直してくれたらいいな。
感想
過酷すぎるマラソン、ストックホルムの悲劇、ラザロ…
ストックホルムオリンピックのマラソンレースでは、68人中34人が棄権したそうですが…うわ、半分もですか!?亡くなった人まで出てきたわけで、本当に悲劇ですよ。
こういうことから、熱中症など選手の体への対応や対策も取られるようになったのでしょうね。
でも、まさかラザロが亡くなってしまうなんて…。ドラマでは四三と心を打ち解け合い、共に切磋琢磨する仲間でもあったので…ショックでした。史実では四三との交流はなかったようですが、ラザロ選手が亡くなったのは事実です。
その思いがスポーツ界に、マラソン界に、ラザロ選手の生まれ故郷のポルトガルにも引き継がれているというのは良かった。
ラザロ選手の親戚の方が、「勝つか死ぬか」と本人が言ってた言葉を引用し、「亡くなったけど勝った。人々の心の中に残ったのだから」とおっしゃっていたのが印象的でした。
この出来事は忘れてはいけないですし、ドラマでも四三がラザロの思いを引き継いで走ってくれると思います。
運命の分かれ道
四三が熱中症で運ばれてきて、数時間後にマラソンコースをもう一度歩いていました。記憶と違うことがありながらも、それでも少しずつ思い出してきて…。
四三は道を間違えてしまったわけですが、その先の民家で助けてくれた家族がいました。本当に本当に良かった。道を間違えてしまったから助かったとも言えるのは本当ですよね。ラザロと本当の分かれ道になってしまった…。
合っている道を走っていたラザロは熱中症で亡くなってしまった。「自分も…」とつぶやく四三に、「死んだら二度と走れんのだぞ!!!!」と強い言葉で諫める弥彦にぐっと来ました。
そうだよ。結果を残せなかったのは本当につらいことだけど、四三がラザロの後を追ってしまうのではなくて、前を向いて走ってほしいんだよ。
ラザロを忘れずに
そして、もう一度四三は走りました。おそらく同じマラソンコースでしょう。そして、走っていたのは四三だけではなくて、もう四年後を見据えた海外の選手たちもでした。
おそらくラザロが倒れたろう場所に花をお供えして、それぞれが思いを馳せ、涙を流していました。
ラザロのことを伝えていた選手がしゃべっていた言葉は、外国語で意味が通じなくても、全ての国の選手に気持ちは通じていたように思います。あんなに英語や外国語に苦手意識を持っていた四三が、しっかりその思いを聞いているようにも見えました。
ポルトガルの代表の方も本当にすごい人で、ラザロの思いに報いるためにも、オリンピックをなくさないでほしい、マラソンをなくさないでほしいと訴えました。もちろんラザロどんな素晴らしい選手だったのかということも伝えた上で。
こんな悲劇を目の当たりにしてしまうと、悲しみにどっぷり浸かっていたくなると思います。中止しなければ、ともなるでしょう。あまりにも衝撃的すぎて。
でも、選手達は本当に本当に強いと思いました。前を向いていたから。
前を見る、気持ちはベルリンへ
四三も、ラザロを思いを引き継いで、ただ前を見つめていました。それがすごく良い表情だったんですよね。言葉で言い表せないような。
役者さんが本当に素晴らしい演技をしたときって、それを言葉で表すのってすごく難しいです。私にとって、そのときの四三は、勘九郎さんはそういう顔でした。
四三は強くなりました。弥彦も。日本で初めてのオリンピック選手にしか、わからない感覚だと思います。二人に芽生えたのは友情以上の絆ですかね。
成績は残せなかったけれど、手にしたものは大きいと思います。二人とも、十分に黎明の鐘になってくれたと思います。
そして、ベルリンへ。もうみんな未来を見据えていますね。そうだ、頑張れ!頑張ろう!
オリンピックのすぐ後に、金栗四三さんが残した言葉が胸に染み入りましたので、ドラマから引用させていただきます。
人笑はば笑へ、
ストックホルムにて
重圧を全うする
あたはざりし口惜しさ。死してなお足らざれども
死は易く、生は難く、その恥をすすぐために、
粉骨砕身して
マラソンの技を磨き、
もって皇国の威を上げん。
持つべき者は友だね、孝蔵
清さんは良い人ですね、孝蔵こと朝太の初高座でわざわざ着物を作ってくれて。良い友達です。
にも関わらず、まさか孝蔵はその着物を質に入れて酒に替えてしまうとは!やったなーこいつー!となりました。典型的な酔っ払いざんす。プレッシャーに負けてお酒飲んじゃうっていう人間っぽさはわかるんだけどね。うーん。
それでも高座に上がって、どう考えたって自分には分不相応な富久をやってみせた。人に注目されて血の気が引くような思いもありながら、「足で覚える」という円喬師匠の言葉を思い出し、車引きのように体を揺らしながら、演じていました。
その気迫。笑えるっていうより、見入ってしまう。見たこともない落語。
同時に、ハラハラしてしまいました。孝蔵が何かやらかすんじゃないか、と。でもどんどんのめり込むみたいに、情景が見えてくるんですよね。
しかし、完走とはならず、頭が痛いと帰ってしまいました。
円喬師匠にはやめさせられずに済んだけど、気負ってしまう自分の弱さを自覚していて、孝蔵はちょっとしょぼくれていました。着物も清さんに返していましたし。
しかし、清さんは返すんですよね。「入れたり出したりすりゃいいじゃねえか、嘉納治五郎みたいにさ」と。孝蔵も「なるほどな」と妙に納得。それもそれでアリだ。信念があればよし。なんか清さんの友情にぐっと来ちゃいました。
嘉納治五郎スピリットにぐっとくる!
今回の話は、嘉納先生も格好良かったです。先週の予告で、「ずっとうじうじして終わるのか!」みたいなことを嘉納先生が言ってるシーンを見ていて。
マラソンで負けてしまった四三を奮い立たせるための言葉だとばかり思っていましたが、まさかの大森兵蔵への言葉だったんですね。
病床にふけっていて、自分はもうダメだと言わんばかりの兵蔵に、嘉納先生が放った言葉でした。「そばにいる者の身にもなれ!」とも。残りの人生を真っ当しなさいと。安仁子のことも思った、厳しくも優しい言葉だったと思います。
そして、同時に兵蔵の“遺産”も称えてくれるんですよね。スポーツの指導という観点で、兵蔵は大きな功績を残してくれました。この遺産は、きっと次の世代のモノになる。その思いが引き継がれて、今があるのだと思います。
そして、オリンピックが終わって、嘉納先生がクーベルタンに「いつか極東にもオリンピックを」と挨拶するんですよね。そしたら、クーベルタンは「さすがに遠すぎる」って返すんですよ。
おいおいってなりましたよね。こちとらその“遠すぎる”ところからめちゃくちゃ歳月をかけて来てるんだぞ、と。
その言葉には何も返さずとも、クーベルタンを背負い投げするフリした嘉納先生、いやーケンカを売ってますね!いいぞ、もっとやれ!嘉納先生の意気込みというか、反骨心のようなものを感じました。
嘉納治五郎、ダメダメ~な部分もありますけど、やっぱりカリスマ性があるなぁ。カッコイイ!しかも、オリンピック種目に柔道も追加されたわけで。
日本を見くびらないで、日本でのオリンピックはは実現することだぞ!という思いでしたので、嘉納先生ばその思いをぶつけている感じがして、いや~格好良かった!
次回:時代は変わるよ
四三が日本に帰ると、元号も大正に変わり、人々の雰囲気も変わっているように感じられた。その四三に敗因を聞く女性が。なんと永井教授の弟子だった。スポーツをより厳しくする方針を持つ二人のようで…。一方、朝太は別の師匠につき、旅に出て落語を学ぶことにしたが…。
あ、ドラマでもちょうど“改元”なんですね。妙なリンク。四三や弥彦がバッシングに遭わないか、不安です。時代の変化と共に、スポーツも進化して前に進んでくれると良いけれど…いろんな回り道も多そうです。きっとムダではないけれど。
新しい章もしっかりと見届けます!
aoikara
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