毎週笑点を見ていたことがあるaoikaraです。最近は見ていません。本日7月8日(日)の笑点は歌丸師匠の追悼特別版だそうです。
それくらい偉大な方でしたからね。思い出すとまたほろっと来ちゃうな。というわけで、今回のテーマは…
言葉を考えるシリーズ 第2回「笑点」
「笑点」という言葉に着目し、どういう意味なのか探っていきたいと思います。
▼前回:第1回「修学旅行」を考える
言葉を考えるシリーズとは?
【言葉を考えるシリーズ】というのは、普段何気なく使っている言葉や話題になっている言葉に対して、どういう意味なのかを考えていくというブログ企画です。勝手に私が考えました。
ライターという仕事でありながら、語彙力も低く、言葉をうまく扱えていないという自覚があります。そこで、言葉を自ら考えて、きちんと理解しようとブログでシリーズ化することにしました。
まず1つの言葉に対して、私がいろんなアプローチから意味を考えます。そして、実際はどうなのか調べて答え合わせをするという順序です。
今回は第2回目。久しぶりにライターらしい記事を書きますよ~。
頑張ります!
第2回で考える言葉は…
「笑点」です。
「笑点」を考える
そもそも「笑点」とは?
言葉の意味を考える前に、笑点の概要について。
日本テレビ系列で1966年5月15日から50年以上放送されている演芸バラエティ番組。まずは前座として演芸のコーナーがあり、その後にメインの大喜利のコーナーがある。
大喜利での出演者は落語家。(司会は過去に落語家でない場合もあり)良い回答をすれば座布団が与えられ、悪い回答をすれば座布団を没収されるというシステム。座布団10枚を達成すると、テーマにちなんだ賞品を与えられる。
現在までの出演者は司会者が春風亭昇太(銀鼠色)*1。大喜利メンバーは出演が古い順に林家木久扇(黄色)、6代目三遊亭円楽(紫)、三遊亭好楽(ピンク)、三遊亭小遊三(水色)、林家たい平(オレンジ)。日曜午後5時30分より放送。
「笑点」の言葉の意味を考える
歌丸さんが亡くなり、深い関わりのある「笑点」について考えようと思ったというのが、今回の記事のいきさつ。しかし、着目するのは番組内容ではなく、“言葉”。つまり、なぜ「笑点」という番組名なのか、その言葉の意味を考えようというのが今回のテーマです。
そこで「笑点」というのを言葉として考えてみると…
笑う「点」…?
そう、「笑う」というのは番組の意味とも一致するからわかるのだけれど、「点」って何?となったので、笑点の「点」とは何かを考えてみることにした。
笑点の「点」とは?
aoikaraの予想までのプロセス①「点」を使った熟語を考える
「点」という字の意味を探るべく、熟語から考えてみることにしました。
点数、得点、点在、点灯、点火、争点、合点…
aoikaraの予想までのプロセス②「点」の熟語から意味を考える
それぞれの意味で分けるとこんな感じでしょうか。
- 点数、得点…1点、2点という勝ち得たポイント。
- 点在…「点々と」「ぽつぽつと」の意。
- 点灯、点火…「点す」の意。「灯りを点す」とか「火を点す」とか。
- 争点…「部分」「ポイント」「箇所」の意。
- 合点…←???
合点だけ「点」の意味がわかりませんでした。不勉強ですね。
aoikaraの予想までのプロセス③「点」の意味を笑点とつなげる
「点」の意味が「笑点」という言葉とどうつながっているのか、それぞれの意味に当てはめて考えてみました。
- 1点、2点という勝ち得たポイント。→座布団という得点を勝ち取る番組?
- 「点々と」「ぽつぽつと」の意。→点々とした家≒お茶の間を指している?
- 「点す」の意。→家庭が笑いで火を点したように温かく?
- 「部分」「ポイント」「箇所」の意…笑う場所≒笑う番組?
かなり意訳してるなー
aoikaraの予想
笑点の「点」とは番組の説明をしているのではないかと考えました。そしてまとめた応えが…
座布団という得点を勝ち取る番組。
お茶の間に笑いを届けて、火を点したように温かくしたい。
笑える場所、笑える番組でありたい
だいぶ無理やりですかね?
実際の意味へのプロセス①「点」の意味を調べる
「点」の意味を調べてみると、かなりたくさんの意味がありました。デジタル大辞泉(小学館)によると、まず名詞としては12個!
- ペンの先などで軽く突いて記したような小さなしるし。また、そのように見えるもの。ぽち。ちょぼ。「難読漢字のわきに点を打つ」「飛行機が点となって消える」
- 読点 (とうてん) 。文章の句点を「丸」というのに対していう。「、」で表す。
- 漢字の字画のうち、1に似た形のもの。「犬」の「、」など。
- 位置だけあって大きさのない図形。二つの線が交わる部分。「二点を通る直線
- ㋐物事の成果、成績などに対する評価。また、それを数値で表したもの。評点。点数。「点が辛い」
㋑競技の得点。「点が入る」- 特に注目すべき箇所。ところ。「人間と他の動物との違う点は何だろう」「その点ぬかりはない」「悪い点は直す」
- 非難される点。欠点。非。→点を打つ
- 漢文訓読のために字のわきに付けた傍訓や符号の総称。返り点・ヲコト点の類。訓点。
- 和歌・連歌・俳諧などで、批評・添削 (てんさく) すること。また、その評価を表すしるし。
- 灸点 (きゅうてん) 。「点をおろす」
- 一昼夜を12等分した刻をさらに細分した単位。「辰の三点」
- 航海・航空で用いる角度の単位。1点は円周360度を32等分した11.25度。
このうち「10.灸点」がわからなかったので調べてみたら、お灸をすえるために隅で描かれる点・もしくはお灸をすえることなのだそうです。意味そのまんまなんですね!
参考サイト:灸点(キュウテン)とは - コトバンク
この中で「笑点」に関係ありそうなのを個人的観点でピックアップすると…
- 2.読点 (とうてん) 。文章の句点を「丸」というのに対していう。「、」で表す。
- 5.㋐物事の成果、成績などに対する評価。また、それを数値で表したもの。評点。点数。「点が辛い」
㋑競技の得点。「点が入る」 - 6.特に注目すべき箇所。ところ。「人間と他の動物との違う点は何だろう」「その点ぬかりはない」「悪い点は直す」
また、名詞だけでなく接尾語としても2個の意味があります。
1 評点・得点を数えるのに用いる。「一〇〇点満点」「五点差」
2 物品の数をかぞえるのに用いる。「展覧会に三点出品する」
これは名詞とも意味が同じようなものがあるので省略。
さらに、「点」という漢字の意味について、三省堂 大辞林でも調べてみました。その結果…
① 小さいしるし。 「点在・点字・点線・点滴・点綴てんてい(てんてつ)・点点・点描・汚点・灸点きゆうてん・黒点・斑点」
② 符号。記号。 「点本・訓点・濁点・句読点」
③ いれる。 「点眼・点景・画竜点睛がりようてんせい」
④ 火をつける。ともす。 「点火・点灯・点滅」
⑤ 調べる。 「点検・点呼」
⑥ 限定された場所・位置・部分。 「観点・拠点・欠点・弱点・終点・重
点・地点・難点・美点・氷点・沸点・要点・論点・出発点・発火点」
⑦ 批評のしるし。評価の数値。 「点者・点数・合点がてん・採点・同
点・得点・批点・評点・満点・及第点・最高点・平均点・落第点」
⑧ 茶を入れる。たてる。 「点茶」
⑨ 漢字の字画の一。 「点画」
⑩ うなずく。 「点頭」
「笑点」と関わりがありそうな意味を個人的観点でピックアップすると…
- ④ 火をつける。ともす。
- ⑥ 限定された場所・位置・部分。
- ⑦ 批評のしるし。評価の数値。
- ⑩ うなずく。
*実際の意味
上記のことをまとめると、「点」とは…
- 小さなしるし
- 読点 (とうてん) 。「、」。
- 物事の成果・成績などに対する評価。また、それを数値で表したもの。競技の得点。批評のしるし。
- 特に注目すべき箇所。ところ。
- 火をつける。ともす。
- 限定された場所・位置・部分。
- うなずく。
地味にしるしという意味は忘れていましたね。 あとは似ている意味もありました。
深掘り①漢字「点」の成り立ち
「点」という言葉を調べるに当たって、字の成り立ちとして下の「れっか」は点のイメージがありますが、上の「占」部分には点のイメージがありませんでした。気になったので、漢字の意味を調べてみた。
「点」というのは「點」の略字なんですよね。
左側の「黑」は「黒」のことで、「上部の煙出しに、すすが詰まり。下部で炎が上がる象形」を表しています。
右側の「占」は「占い」と「占める」ことで、「占いで出たトの形と口(くち)」を意味することから成り立っている漢字です。
7~10世紀ごろの律令時代では、占いで亀の甲羅が用いられていた。甲羅にに四角(▢)を彫り、その中にマチと呼ばれるあみだぐじの一部のようなものが描かれていました。
そして、この甲羅を燃やします。燃やすと言っても、木の枝の先に火を付けて、それを▢部分に押し当てて息を吹きかけて温める。時間が経つとパキッと音がして、マチにひびが入る。その様子が「ト」と似ています。それを口(くち)で伝えるから「占い」だそうです。
占いは亀の甲羅に小計を描くために、点を刻んで掘っていくことから、「特定の点を占める」という意味がある。
黑と占の意味を合わせると、小さくて黒い「てん」を意味する「点」のこと。
▼参考サイト
話がそれてしまいましたが、「笑点」という言葉の意味についてまとめましょう。
「笑点」とは?
aoikaraの予想までのプロセス①:「笑」と「点」の意味を組み合わせる
先ほどまとめた「点」の意味と、「笑」を組み合わせて、「笑点」につながる意味を考えてみました。
- 読点 (とうてん) 。「、」。→「笑、」→「笑いの延長に生み出されるもの」
- 物事の成果・成績などに対する評価。また、それを数値で表したもの。競技の得点。批評のしるし。→「笑いに対する評価を与える」
- 特に注目すべき箇所。ところ。→「笑いに注目してほしい番組」
- 火をつける。ともす。→「笑いで火をともしたように温かい気持ちに」
- 限定された場所・位置・部分。→「笑える場所」
- うなずく。→「笑って、ときには納得してうなずいて」
aoikaraの予想
「笑点」の「点」には番組を説明する意味合いがあるのではないか、と私は考えました。そこで、上記のことをまとめると、このようになりました。
笑点とはお笑いの番組。座布団の獲得や没収で笑いに評価を与えながらも、お茶の間では笑って楽しんで温かい気持ちになり、ときには納得してうなずける、日常の延長線上にあるような笑える場所である。
我ながら良くないですか?自画自賛。
実際の意味
笑点の名前の由来を調べたところ、衝撃の内容を見つけました。
日本テレビ系で放送されている「笑点」の番組名は、立川談志が氷点をもじって命名した。
出典元:氷点 - Wikipedia
えっ…えっ!?
まったく予想しない方向からの答えなんですが…。ネットでのソースはなく、文献ではこの説が強いようです。マジか。あとはやっぱり「笑いの点(点数、得点)」という意味合いもあったとかなかったとか。
今までのことをまとめますと…
結論
「笑点」とは…
- 初代司会者で番組発案者の立川談志が、人気ドラマ「氷点」をもじって「笑点」と命名した。
- なんだかんだお茶の間に笑いを届けてくれる素晴らしいテレビ番組。
このような結論に至りました。こりゃあ予想外すぎて座布団一枚取られた気分。私が考えた説、ものすごく良くないですか?まあいいか。後付けだもんね。
言葉を考えるシリーズ 第2回「笑点」はいかがだったでしょうか。私の感想は…
やっぱり笑点が好き!
言葉の意味と、名付けた理由ってのは別のところにあるものなんですね。それもまた新たな発見でした。気になる言葉があれば、また「考える」ことをしていきたいです。
aoikara
▼言葉を考えるシリーズ
*1:()内は袴の色