すれ違いでケンカしたことはよくあるaoikaraです。長い時間がかかればかかるほど意地になっちゃうので、早めに解決したいですよね。今回の西郷どんも時間と距離が遠すぎたのか…。
というわけで今回のテーマは…
西郷どん 第45話「西郷立つ」
です。
※個人的な感想なので辛口なコメントを含みます。
※ネタバレもしていますので、まだ内容を知りたくない方はドラマを見てからどうぞ。
▼西郷どん 第44話「士族たちの動乱」記事はこちら
第45話「西郷立つ」あらすじ
西郷隆盛(鈴木亮平)が創立した私学校には、続々と若者たちが集まって来た。それを警戒する大久保利通(瑛太)は川路利良(泉澤祐希)に命じて、薩摩に密偵を送り込む。
その頃、各地で不平士族の反乱が勃発し、政府に不満を持つ私学校の生徒たちは暴発寸前だった。西郷はその思いを何とか押さえ込んでいた。
しかし、私学校の生徒たちが政府の火薬庫を襲い、銃や弾薬を運び出す事件が起こってしまう。西郷はついに自らが立つことを決断する。
GOODポイント
- 隆盛が作った私学校に2000人ってものすごい数ですね!それだけ東京から薩摩に戻ってくる人って多かったのかという落胆と同時に、隆盛のカリスマ性を感じます。
- 山県有朋「先に行っちょう」良い声!
- 菊次郎役の俳優さん、良いですね。前回の話は西田敏行さんに似ていることしかわからなかったのですが、隆盛の信念を受け継ぎつつ、欧米での成長も感じられて。優しそうだけど強さもある、良い演技でした。
- 隆盛が10年ぶりに酒を呑む相手が雪篷というのは良かったですね。明治になってもう10年。それでも新しい時代はまだ来ないのか、と糸に言われてしまうほどの進歩か…。切ないですね。
- 俊斎がする国父様(久光)のモノマネは似ていて笑いました。
- ウワサをされてしっかりくしゃみをする久光もナイス。まあ鹿児島で雪降るほどの寒さだものね。くしゃみをしたっておかしくはないわ。隆盛に暗に「帰ってこいよ」と言ってるのも素敵でした。久光一周回って好きだわ。
- 熊吉元気だな~ついにざんぎり頭に!
気になったポイント
- 先週の感想でも書いたのですが、やっぱり大久保震えていますよね。今回はたばこを持つ手が震えていました。病気か、ストレスか。
- 菊草が鹿児島の西郷家にやってきましたが、愛加那さんどうしたんだろう。具合が悪いのかとか、気になっちゃいました。そういうわけではないのかな。
- 今回の大久保のシーン全部同じ場所じゃないか!国ではなく部屋的な意味で内務省なのかしら。
- そもそも「ボウズ」は隆盛のことなの?「シサツ」が違う意味だったとしても、「ボウズ」をみんな気にしなさすぎじゃない?
- 大久保が「おのおの…」って言ったとき、「ぬかりなく」って言い出すのかと思った。(真田丸)
- 桂久武さん、弓の名人って話あったっけ?あったようななかったような…。
感想
薩摩を思う気持ちは誰にでも
今回は本当に切ない話でしたね。ただ悪人は一人もいないんじゃないかな、と感じました。薩摩出身のそれぞれの者たちが、それぞれの立場で薩摩を思った結果だったのかなと。
大久保も反乱が起きれば民であろうが叩きつぶしてはいますが、鹿児島にいる隆盛には立たないでほしいと願っていました。大久保の側にいる川路も、隆盛を信じているからこそ、ずっと見張っていたのでしょう。
密偵の中原尚雄も「薩摩を救いたかった」という言葉を口にしていました。それは本音のように思えます。
そして反乱を起こそうとした者たちも、率いることになった隆盛も、それぞれが鹿児島、というよりは昔の薩摩かな、薩摩を大切に思う気持ちは変わらなかったと思います。だかこそ、このすれ違いはあまりにも切ない。
運命がすれ違っていく
逆らえない時代の流れと、頼りにならないと思われている新政府と、士族達の鬱憤とで、運命がすれ違っていくのを見てしまったような今回。発端となったのは、密偵である中原が受け取っていた命令。
「ボウズヲシサツセヨ」
ボウズとは隆盛のこと。「シサツ」は刺殺か、視察か。隆盛が立ったと聞いて動揺する大久保の様子から察するに、「視察」だったのでしょうね。密偵の人も嘘を吐いていたわけではなく、「刺殺」だと勘違いしていた様子に見えました。
そして、隆盛は東京で話をしようと立ち上がったわけですが、それも大久保たち政府の元には「兵を挙げた」という意味で伝わってしまいました。なんというかもどかしい。
思いは同じだったはず。なのに、隆盛と大久保はお互いに対して「裏切られた」という気持ちを強く持ってしまうことになったのではないでしょうか。OPのすれ違う二人を思い出して、胸が苦しくなります。
大久保は隆盛を信じていた
今回も大久保はなんというか…言葉を選ばないならヤバイ感じでした。目がいっちゃってるというか。
でも、隆盛が死ぬかも的なこと言われたら、感情的になっていたんですよね。隆盛が兵を挙げたと聞いても、「嘘じゃ」と叫んでいました。いつも冷静なのに、感情的になって「おいが行く!」と立ち上がってもいましたしね。あの大久保の姿には、「腹を割って話そう」という、いつも隆盛が大久保にしてくれていた姿を思い出しました。
いや、むしろ二人で話し合っていたら、運命はまだ引き留められたのかもしれない。けれど、もう二人が会うことはない…。そう考えると、あまりに切なくて悲しすぎます。
隆盛はもう死に向かっているような…
隆盛としては、入水したときに一度死んだという思いが強いんですよね。だからこそ、命を捨てる覚悟を持って、討幕や新政府をやってこられたってわけで。
でも、その死にかけのところから、必死に命を救ってくれたのは大久保でした。だからこそ、大久保からあまりにひどい仕打ちを受けても、誰が大久保のことを悪く言おうとも、隆盛は憎みきれなかった。
しかし、命を助けてくれた大久保が、今は自分の命を奪おうとしている、と思い込んでしまったのだとしたら…隆盛が生きている理由が砕け散ってしまうんですよね。他にも家族や鹿児島を守るとかいろいろ忘れないでほしいけど。
だから、隆盛の諦めたような涙を浮かべた笑いは、大久保への思いが断ち切れてしまったような。東京へ向かうのは話をしに行くと言っていましたが、隆盛はすでに死を覚悟しているように見えます。
糸の問いかけ
士族たちを抑えきれず、ついに立ち上がることになった隆盛。そんな隆盛に対して、糸は「思いとどまることはできもはんか?」と聞きます。できないと聞けば、隆盛を見せてくれると言った新しい国を、糸はまだ見ていないと言うんですよね。
そう吉之助が言ったのは、糸が親の事情で嫁に出されてしまうときだったでしょうか。あれからもう何十年も経っていて、明治になってから10年も経っているわけですが、糸から見た国は変わっていないのかと思うと、隆盛がしてきたことは何だったんだろう。
そして、隆盛は若い頃から民のための国を作るために必死に働いてきたわけですが、到達したところから見えた景色は、あまりにも違っていた。だから、糸にも何も答えられなかったのだと思います。理想と現実はやっぱりあまりにも違うのでしょうか。
二度目の別れの唄もあまりに切ない
隆盛が東京に旅発つ日、愛加那との間の娘・菊草が「別れの唄」を歌っていました。隆盛が大島から去るときに、愛加那が歌っていた唄ですね。あのときもとても切ない唄でしたが、二度目に聞いてもやはり切ない唄でした。
行きゅんにゃ加那
我(わ)きゃくとぅ忘れて
行きゅんにゃ加那
出発(うたち)や出発(うたち)ゃが
スラー 行き苦しゃ
戻(むどぅ)てぃもれ
お役目果たせば
戻(むどぅ)てぃもれ
妻子(とぅじくわぁ)の元(むとぅ)ちゃ
戻(むどぅ)てぃもれ
スラー 戻(むどぅ)てぃもれ
翻訳したのがこちら。
あなたは行ってしまうのですね
私のことを忘れて
あなたは去って行くのですね
離れてみると
心が苦しいのです
戻ってきてください
お役目を果たしたなら
戻ってきてください
妻と子のもとに
戻ってきてください
戻ってきてください
隆盛の心に、薩摩の者たちに、響いてほしい唄でした。
次回:ついに始まってしまう戦
東京へ話をしに行くことに決めた隆盛と薩摩の士族たち。しかし、政府は反乱とみなし、ついに戦が始まってしまう…
あくまで話をしに行くと決めた隆盛たちですが、戦になってしまうんですね。隆盛には待っている家族がいることを忘れないでほしいな。でも…最後に向けての戦の火蓋が着られるんですね。最後まで見届けるぞ!
aoikara
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