中卒フリーライターほぼ無職。

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【ドラマ】陸王 最終回 ネタバレ 行け!走れ!陸王!

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体力があればランニングを趣味にしたいaoikaraです。すぐ足がつるし、体力がないんですよね。悲しいかな。

 

というわけで今回のテーマは…

 

陸王 最終回 ネタバレ&感想

 

です。

※個人的な感想なので辛口なコメントを含みます。
※ネタバレもしていますので、まだ内容を知りたくない方は見てからどうぞ。

 

▼感想記事はこちら

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▼陸王 第9話 記事はこちら

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最終回 あらすじ・ネタバレ

 社長の決断

こはぜ屋の4代目社長・宮沢紘一(役所広司)に買収を断られてしまったフェリックスの社長・御園丈治(松岡修造)は、アトランティスの営業部長・小原賢治(ピエール瀧)と料亭で会っていた。腰巾着のように、営業担当の佐山淳司(小籔千豊)もいる。

 

小原は買収を断ったこはぜ屋を「これで終わり」と言うが、御園は「案外しぶといかも」と意外なことを口にする。さらに、競合相手とは思っていないといいながら、陸王に使われているシルクレイを独占提供してほしいと言うのも、陸王を警戒してのことだと指摘。

 

小原は御園の発言に高笑い。しかし、御園は「大まじめにこはぜ屋さんが欲しかった」と静かに言う。そして「あなたも勘違いしてらっしゃる」と言う。

 

御園はアトランティスのRⅡよりも、こはぜ屋の陸王の方が、伸びしろがあると話す。そして、「買収が成功しても、あなた方と取引するつもりはございませんでした」とキッパリと言い切り、席を後にする。小原は険しい顔つきになっていた。

 

その帰りの車の中で、御園は秘書の関口智行(岸祐二)に「先日の件、早急に社内の根回しを頼む」と命じる。

 

奔走

一方、紘一をはじめとして、社員たちはシルクレイの業務提携をさまざまな会社に持ちかける。みな、シルクレイに興味を持ちながらも、1億円の設備投資が必要になると聞くと、首を縦に振る会社はなかった。

 

紘一と係長の安田利充(内村遙)が行ったヘルメットの会社では、シルクレイの技術を高く評価し、1億円の設備投資にも前向きに答えてくれた。しかし、すぐ後に「先ほどの話はなかったことに」と言われてしまう。

 

とあるシューズメーカーの会社にこはぜ屋の信用情報を耳打ちされたという。こはぜ屋の社員たちはみなアトランティスを思い浮かべる。アトランティスと取引をしている会社は数え切れない。それが全部敵かもしれないと、縫製課リーダーの正岡あけみ(阿川佐和子)は言う。

 

ベストの選択

こはぜ屋には、落ち込んだ様子のシューフィッターの村野尊彦(市川右團次)が戻ってきた。茂木裕人(竹内涼真)に陸王を渡しに行く予定だったが「渡すことはできなかった」と言う。

 

その三時間前。村野は大地(山崎賢人)と一緒に、ダイワ食品陸上部の城戸明宏監督(音尾琢磨)に会い、茂木へ新しい陸王を渡したいと頼み込んでいた。しかし、城戸はそれを却下。「また茂木を迷わせる!」と言うのだった。

 

大地は「履いてくれなくても良いんです!この陸王は、俺たちが茂木選手をずっと応援してるって証なんです!」と必死に訴えるが、城戸の答えは「無理だ」。城戸は一番大切なのは豊橋国際マラソンを迎える茂木の気持ちだと話し、「あんたたちの自己満足に付き合ってる余裕はない!」と突き返す。

 

紘一もそれを受け入れる。自分たちの願いは茂木選手が一番良い状態で走ることだと言う。豊橋国際マラソンを走るのに、茂木にとってRⅡがベストなら仕方がないと言う。

 

夢の現実

大地は友達と居酒屋に。過去に第一希望だったメトロ電業の一次審査に受かったことを驚かれて、祝福されていた。しかし、大地は複雑な様子。友人はこはぜ屋を見捨てられないのではと指摘し、「おまえ自身が走る番じゃないのか?」と言う。

 

翌日、工場では飯山晴之(寺尾聰)がシルクレイの設計図を見直している。大地が的確な指摘をして、飯山は「さすがメトロ電業さんに受かった人は違うね」と返す。大地は驚く。

 

実は、妹の茜(上白石萌音)が、メトロ電業の通知が捨てられていたと、飯山に相談しに来ていたのだった。大地は困った様子で、ダメ元で中途採用に申し込んだら偶然受かったと正直に明かす。

 

飯山は、このシルクレイの設計図よりも本格的な物が見られると言い、「俺はこいつを設計するのに人生の半分くらい使っちまった」と話す。「独学だったからな」と。

 

大地を見つめ、「チャンスを自分から手放すんじゃねえぞ」と力強く手を握る。飯山がいなくなった後も、大地は握られた手を見つめていた。

 

アドバイス

こはぜ屋には、埼玉中央銀行で担当者の大橋浩(馬場徹)が来ていた。陸王開発にはずっと後ろ向きだった支店長の家長亨(桂雀々)がシルクレイを使ってくれそうな会社のリストを教えてくれたらしい。「こはぜ屋さんの絶対に諦めない姿に家長も心動かされたのでは」と大橋はうれしそうな表情をのぞかせる。

 

ただ、この先どうするのかということも問う。フェリックスの子会社になることについて否定的な意見をぶつけて、「決めるのはあなた自身」と言ったものの、家長の意見に賛成と話す。設備投資に1億円も必要なのだから。「御社に道があるとすれば…」

 

そう大橋が言いかけたところで、紘一の携帯電話が鳴る。その相手は御園だった。御園は「アイディアがあります」と紘一を呼び出す。

 

ビジネス

紘一は、以前の銀行担当者で、今は投資会社に勤める坂本太郎(風間俊介)を伴って、フェリックスへと赴く。

 

「支援してくださる?」と紘一は驚く。御園はこはぜ屋に3億円の融資をして、フェリックスの製造計画に合わせて、シルクレイの商品を発注することを約束してくれたのだ。つまり、買収ではなく業務提携を持ちかけてきたのだ。

 

しかし、条件があると御園は言う。「返済期限は5年」と。紘一の表情はますます複雑になる。御園は最初の3年は、フェリックスの取引だけで返済になるようにするとは話す。しかし、その後の2年の保証はないと。

 

支援している3年でこはぜ屋の経営基盤を固めて、返済できるような業績に上げてほしいというのが御園の言う“条件”だった。

 

それが無理なら、こはぜ屋はフェリックスの傘下に入ってもらうと御園は言う。紘一は「借金を肩に買収されるってことですか」と肩を落とし、坂本も返済期限が短いと抗議する。

 

御園はシルクレイの製品を作ってみたいという素直な気持ちを明かし、3年の保証をするというリスクはフェリックスにもあると言う。こはぜ屋にもそれなりのリスクを背負ってもらいたいと。

 

「リスクのないところにビジネスはない」

 

御園はまっすぐな目で言い切る。

 

こはぜ屋の意思

紘一は社員たちを集めて、御園の提案を明かす。飯山は「恐ろしいほどの合理主義だな」と口にする。安田は「3年で業績を上げりゃいい!」と言うが、富島に無理だと否定される。さまざまな意見が出る中、あけみが「社長はどうしたいの?」と紘一の気持ちを尋ねる。

 

「俺は、フェリックスからの融資を受けたいと思ってる」と言う紘一。もちろん返済できなくなるリスクも考えている。やり遂げるのは決して簡単じゃないことも、重々承知している。それでも、

 

「だけど、挑戦しなけりゃ、負けもなければ勝ちもない。何一つ成長せずに、ただ生き延びたって、そんなのは意味がない!」

「俺は勝負をしたい。このこはぜ屋を守ためには、挑戦するしかないんだ!もしもうまくいかずに全部失ったとしても、まだ死ぬわけじゃない」

「この体一つ、心一つ残っていれば、必ずまた這い上がれる!そのことを俺は、飯山さんと茂木選手に教えてもらった」

「諦めずに挑み続ければ、必ず道は開ける!そのことを、大地から教えてもらった」

 

「本当の負けってのは、挑戦するのをやめたときだ。今までも苦しいことはたっくさんあった。みんながいたからそれも乗り越えられた。みんなには心から感謝している。家族同然だと思っているんだ。だから、守りたいんだ。こはぜ屋ののれんと、陸王を!

「そのためなら俺は、死にものぐるいで働く!」

 

強いまなざし、強い口調で、紘一は言う。

 

「だからどうか、みんなの力を貸してほしい」

 

そう言って頭を下げる。

 

「何言ってんねん」

 

口を開いたのは西井冨久子(庄司照枝)だった。「力貸すに決まってんやろ」。そして、次々に社員たちがその言葉に同意して、立ち上がる。あけみは「あたし達にはこの勝ち虫がついてる!」と、紘一が着ている袢纏の後ろを見せる。

 

まだ、富島だけが立ち上がれなかった。「あんたも腹くくりや!」冨久子が声をかける。富島は意を決したように「ねえさんにそう言われたら、やるしかありませんな!」そう言って立ち上がる。

 

こはぜ屋の社員たちの心は一つになった。「みんなありがとう!」紘一は心から感謝した。

 

一つ前へ

大地はメトロ電業中途採用の第二面接に行っていた。大勢のスーツ姿の人たちが集まっている。名前を呼ばれた大地は面接へ。

 

空気を読め

豊橋国際マラソンに出場する選手が集まっての会見が開かれている。アジア工業の毛塚直之(佐野岳)や茂木らがいる。毛塚はインタビューに答えて、国内に敵はいないので世界1位を目指したいと発言。

 

以前、茂木に取材をした記者が、なぜシューズを履き替えたのかと質問する。アトランティスのRⅡが以前のシューズを上回ったからなのかと。茂木は複雑な表情を浮かべつつも、返事をしようとする。

 

しかし、同席していたアトランティスの小原が部下の佐山に指示を出し、情報が非公表だから具体的には話せないと説明。茂木も何も言えなかった。

 

気持ちだけでも

紘一は、社長室で一人、「3億…5年か…」と決めたこととは言え頭を悩ませていた。すると、安田をはじめ社員たちがやってくる。茂木が出場する豊橋国際マラソンを見に行きたいとみんなが言っているが、「無理ですよね?」と気を遣いながら聞く。

 

紘一は「行くよ」とからっと答える。「茂木選手の復帰マラソンだぞ!ここで行かなくていつ行くんだよ!」というのが紘一の言い分。隠れて話す様子を見ていた社員たちもやってきて、大喜び。

 

ただしと紘一は念押しするように「今回はRⅡを履く茂木選手を応援する、いいね」と社員たちに言う。社員はみんな少し寂しそうな表情をして、あけみは「新しい陸王を渡せない?」と聞く。またサポートしたいという社員もいる。

 

しかし、紘一は「それはできない」とすっぱりと言う。会社が5年後どうなっているかわからないのに、茂木を巻き込むわけにはいかないというのが紘一の気持ちだった。

 

「今回のことで学んだんだ。最後まで責任をとれるかどうかわからないサポートはすべきじゃない」と紘一は続ける。それでいて、「みんなの努力を無駄にして本当にごめん!」と社員たちの気持ちも慮る。あけみたち社員も、茂木を全力で応援しようという前向きな気持ちになっていた。

 

そんな紘一の言葉を、影から村野がひっそりと聞いていた。

 

気持ちをつないで

茂木のもとには小原と佐山が来て、RⅡの調子を聞く。「悪くない」と真顔で答える茂木。小原は「そのRⅡ以上に合う靴は存在しない」と自信満々に言う。「これがベストだと」。佐山も「頑張れよ茂木君、この部のためにもな」と言い残し、二人は去って行く。

 

入れ替わるように、村野がやってきた。練習場から離れた場所で、「今から俺のすることは、たぶんシューフィッターとして間違っている」と深刻そうに言う。そして、新しい陸王を見せる。茂木は驚きの表情を見せる。「最新の、そして最後の一足だ」と村野は言う。

 

「こはぜ屋は大口の融資を受けることになった」と明かす村野。茂木は「それじゃあ…」とうれしそうに口を開くが「もうおまえとはサポート契約を結ぶつもりはない」と村野が返す。表情が暗くなる茂木。

 

村野はこはぜ屋がフェリックスと厳しい条件の業務提携を結び、数年後に吸収される可能性があるので茂木を巻き込むわけにはいかないと、紘一が考えていると説明。

 

ただ、「あの人たちは、おまえに履いてもらうつもりはない。ただ持っていてくれるだけで良いと言っている。RⅡを履いて走ったとしても、みんな茂木裕人を応援したいと言ってくれている。その陸王は、その人達の気持ちそのものだと村野は思いを代弁する。

 

「だから俺は…」村野は言い、言葉を詰まらせる。「すまん茂木、俺はどうしても届けないわけにはいかなかった」苦しそうに告げる。

 

茂木は「ありがとうございます」と涙ぐみながらも笑顔を見せる。陸王を手にして、「でも、今の俺はこの陸王を履くことはできません」と言う。それでも陸王を抱きしめて、「でも、うれしいです。心が温かくなります」と実感しながら言う。

 

村野は茂木の成長ならRⅡでも陸王のひけをとらないと話す。そんな二人の様子を、影からこっそりと城戸監督が聞いていた。

 

父と子

就業時間が終わり、紘一は一人でミシンをかけていた。そこに大地がやってくる。浮かばない父親の顔を見て、「本当はまだ迷ってんじゃないの?」と聞く。

 

紘一は「迷ってない」と答えながらも、「急に怖くなっちまった」と言う。「五年後には会社がなくなってるかもしれないと思うとな」というのが本音だった。「これじゃあ茂木選手のサポートなんかできないなぁ」と明るく言う。「彼は今、一人で闘ってる。応援だけでも必死にしないと」と紘一は前を向いている。

 

大地は「ごめん、その日行けない」と言い出す。メトロ電業の最終選考まで残ったという。紘一は驚きつつも、喜びが溢れて本当にうれしそうな顔になる。大地は選考が終わったらすぐ駆けつけるとのこと。紘一は「おまえも茂木選手も、勝負の日だな」と言う。

 

「俺も陸王を作ろうと決めたあそこに戻って、自分の気持ちを再確認してくるよ」と明るく言う。「おまえも頑張れよ!」と大地の肩を叩く。大地もうれしそうに、父親の肩を叩き返して、笑顔を見せる。

 

スタートライン

豊橋国際マラソン当日。会場には選手たちを待ちわびる人たちで溢れていた。村野は茂木の復帰や毛塚との対決を心待ちにしているファンも少なくないだろうと話す。紘一はRⅡを履いているのは悔しいが、潔く負けを認めて再スタートを切ろうと言う。

 

そして、みんなにこはぜ屋の袢纏を手渡す。

 

素直な思い

大地はメトロ電業の最終選考。役員に囲まれての面接。面接官に陸王を見せると、興味深そうに眺めて、大地の話に耳を傾けてくれる。開発したときのことを話してほしいと言われて、大地は口を開く。

 

「正直、足袋屋がランニングシューズを作るなんて、夢物語だと思いました。でも、一つ壁にぶつかるたびに親父に…すみません、父の陸王にかける思いに賛同してくれた人達が、力を貸してくれたんです」

「ときに厳しく、ときに自分のこと以上に親身になって、こはぜ屋の将来のことを思ってくれた銀行員。シルクレイというすごい素材を開発して、それをうちに使わせてくれた特許の持ち主。大手のアトランティスをやめてこはぜ屋に来てくれたカリスマシューフィッター。」

「そして、何より、うちを信じて陸王を履いてくれた茂木選手」

 

「その他にもたくさんの人たちがうちに力を貸してくれました。その誰一人欠けても、陸王は完成しなかったと思います」

 

面接官はさらに、こはぜ屋の日々で何を学んだのかと問う。

 

「仕事の厳しさと、そこに逃げずに挑戦する楽しさです。それが、仕事の本当の面白さだと気づかされました」

 

清々しい表情で、自分の言葉で、大地は言った。すると面接官の一人(堀尾正明)が、「念のために聞きますが…君はこの仕事を続けたいんじゃないのかい?」と問いかける。

 

その言葉に大地はハッとしたような表情を見せて…

 

ライバル

マラソンの準備をする選手達。その中に茂木もいる。アトランティスのRⅡを履いて、準備中。そこに同じRⅡを履いて、ぐんと足を差し出す人物が。それは毛塚だった。

 

「完走しろよ?」と茂木に詰め寄る。「この前のみたいな走りは緩さねえ」ぎらついた目で茂木に言う。

 

その差は

大勢の観客が賑わう会場。村野は茂木の様子を見てくると言う。それに付いていきたいという紘一。あけみから「例のもの」と言われて、何かを手渡される。

 

選手たちがいる練習場では、こはぜ屋の思いを知ってか城戸が村野と紘一をスムーズに通してくれる。そして、久しぶりに茂木と対面。紘一は「どうしても、ちゃんとお礼が言いたくて」と話し始める。

 

「ここに来て思い出しました。あの日茂木さんが、倒れても倒れても起き上がって、必死に走ろうとした姿を。茂木さんがいたから、陸王に挑戦できました。茂木さん、ありがとう、私の背中を押してくれて。陸王を届けられないのは残念だけど、今度は私たちか君の背中を押すから

 

それからと言って、シューズの靴紐で作ったミサンガを手渡す。「お守り代わりに」と。茂木はそれを見て、「はい」とうなずき、笑顔になる。

 

「部外者が何をしている!」

 

やってきたのは小原と佐山だった。「俺が許可を出した!」城戸監督が応戦。両者はにらみ合う。

 

村野は茂木に「頑張れよ!」と声をかけて、紘一もガッツポーズを見せて気持ちを伝える。茂木は、そんな二人を見て自然と優しい笑顔になっていた。そして、小原や佐山とすれ違う。

 

小原はいやらしい笑みを浮かべて「君はレースに勝つことだけを考えればいい」と言う。茂木は迷い、そして「小原さん、申し訳ありません」と言い出す。「やはり僕は、このRⅡを履くことができません」。何を履くのかと問う小原に対して、茂木はカバンからシューズ袋を取り出し、そこにあったのは

 

陸王

 

紘一は驚く。手渡したはずはない。「あれは…?」と思いが漏れて、村野が「私があいつに渡した」と明かす。「勝手な真似をして申し訳ない」と謝りながら。

 

茂木は「僕はこの陸王を履きます」と宣言。小原はスポンサー契約を破ることに激怒。「本当に申し訳ありません!」茂木は深く頭を下げる。小原の怒りは止まらない。「今、君がすべきことは、RⅡを履いて、アトランティスのために走ることだけだ!それ以外にない!」。

 

「もう、たくさんです」茂木が静かにつぶやく。

 

「俺がケガをしてからこの2年間、都合良く離れていく連中を何人も見てきました。良い時はすり寄ってくるのに、悪くなるとあっという間にいなくなる。そして、レースに復帰した途端、また手の平を返したように近づいてくる」

 

小原は険しい顔のまま、最初にスポンサー契約を見限ったことを謝罪する。「だからといって、RⅡを脱いで、そんな靴を履く理由がどこにある?あの足袋屋は、シューズ作りそのものができなくなってるんだぞ!」と返す。

 

「今のこはぜ屋さんは、2年前の俺なんです。こはぜ屋さんは今、生きるか死ぬか厳しい状況の中、必死で這い上がろうともがいてる。もし、俺がこの陸王を履かなかったら、それは俺が苦しいときに背を向けていった連中と同じですよ」

「俺は自分が信じたものを、信じた人を、ずっと信じていたい。このシューズを履かなかったら、そういう自分自身を裏切ることになる」

 

「だから…」

 

と言って、RⅡを脱ぐ。そして、陸王を履こうとすると、小原がシューズを手にして必死で止める。小原は両手にRⅡと陸王を持って、

 

「失望させないでくれ!本当に優秀なランナーなら、冷静に客観的にシューズの性能の判断するんじゃないのか!」と言う。食い気味に茂木は「たしかにRⅡは陸王に優るとも劣らない良いシューズですよ。履く人間や条件によっては、陸王以上かもしれない」

 

「でも、技術の差はわずかでも、込められた思いは雲泥の差なんです

 

「思い?」小原は意外すぎる言葉に思わず繰り返してしまう。茂木は熱のこもった声で言う。

 

「こはぜ屋さんは俺と一緒に走ってくれますよ。良いときも悪いときも、俺がこのRⅡを履いているときだって。気づけばいつも隣で走ってくれていました。俺はこれからもこはぜ屋さんと一緒に走りたいです」

 

紘一は思いがけない茂木の思いを知り、顔を歪ませて涙する。小原は静かな口調で訴え続ける。

 

「本当にそれで後悔しないのか。これは君にとって、人生の重大な岐路だ。情に流されて、大きな目標を見失ってほしくない。君は、世界を目指すんだろ?アトランティスならそれができる。いや、我々を大いに利用すれば良い」

「これが最後の忠告だ。RⅡを履きなさい。茂木君、君なら、正しい判断をしてくれると信じている」

 

そして手に持ったRⅡと陸王を茂木に返し、小原は立ち去る。

 

紘一と村野は茂木に一言でも言いたくて、伝えたくて、戻ろうとする。しかし、もうすぐレースだからと係の人間に止められて、茂木と話すことはできなかった。

 

茂木もRⅡと陸王を両手に持ち、考える。

 

信じたものは

紘一は会場に戻ってから、何を聞かれてもうわの空だった。社員たちからもどうしたのかと言われる。紘一は、茂木から言われたことを話さなければ口を開くが、レースでの選手紹介が始まってしまい、言葉を続けられない。

 

選手が紹介されて観客の前に姿を現すたびに盛り上がる。そんな観客の中に、飯山と妻の素子(キムラ緑子)もいる。素子は自分たちがこんな華やかな場所にいることに大いに感動していた。「宮沢さんのおかげだね。出会えた奇跡に感謝しなきゃ」と言い、飯山は「奇跡かぁ」とつぶやく。

 

毛塚が会場入りすると、大人気で観客は大盛り上がり。選手たちを見ながら、飯山は言う。「こはぜ屋の連中に教えてもらったよ。信じてみればあるかもしれない。奇跡ってやつがよ

 

そして、茂木も紹介されて会場に。観客も喜んでいる。こはぜ屋の社員たちは純粋に茂木を応援しようという気持ちで登場に喜ぶが、紘一だけが不安な表情。茂木の足元が気になっていた。そして、紘一はその姿に気がつくと、口を押さえて、顔を歪ませて、涙した。

 

笑顔だった社員たちも、みるみるうちに真顔になり、驚きの表情へと変わる。「嘘だろ」「嘘だろ茂木…」と言葉が漏れてしまう者も。

 

茂木は陸王を履いていた。

 

社員たちは紘一になぜなのかと口々に問う。紘一は泣き笑いながら

 

「ああ、俺たちの陸王だ!」

 

と高らかに言う。

 

関係者がいる豊橋市役所では小原が怒っている。飯山は楽しげに「あの野郎、やりやがったな」とつぶやく。テレビ中継を見ている茜は「ありがとう!ありがとう!」と涙しながら茂木に感謝していた。そんな娘の様子を、母の美枝子(檀ふみ)がほほえましそうに見ている。

 

茂木はこはぜ屋の人々を見つけて、面と向かい、そして一礼する。紘一は力強くうなずき、言葉は交わさないが茂木もその目をみてうなずく。強いまなざしへレースへと向かう。こはぜ屋の社員たちは「頑張れ茂木!!!」と精一杯の声援を送る。

 

小原から命じられた佐山が茂木のところへと急ぐ。が、城戸監督やダイワ食品の選手らに止められる。契約違反だと佐山はブチギレ。陸上部の存続にも関わると脅し文句を言うが、「かまわん!」と一刀両断。

 

「選手は損得なして、命削って走ってんだ!その邪魔をするな!」

 

いざ、闘いへ

選手達はスタートラインへ。茂木の横には毛塚がいる。陸王を見ながら、「結局そっち履いたんだな」と言う。そして、視線をまっすぐ前にして「良い靴なんだな」と言う。茂木はうなずき、「最っ高だ!」と返す。

 

ピストルが鳴り、豊橋国際マラソンがスタートした。

 

復帰マラソン

レースの10km地点。茂木は先頭集団から離されているが、村野は「心配ない」と言う。きちんとペースを考えていると。この先のことを考えて体力を温存しているのだった。それがわかっているのは茂木、そして並んで走る毛塚だけ。

 

関係者席では、佐山が毛塚の走りを応援している。一方で、小原は足元にカメラが寄らず、RⅡが映らないと怒っていた。そんな小原を不信感たっぷりな目つきで佐山が見ている。

 

そして、茂木が前へ出た。レースを中継で見ている城戸監督は「良いタイミングだ!」と言う。先頭集団のすぐ後ろにつけることで、レース展開がわかりやすい位置にいる。そして毛塚も反応よく茂木のペースアップについていく。常に茂木を意識している。

 

25km地点。トップ集団は未だにケニア勢。日本勢には厳しいかと思われたが、ここで毛塚が前へ出た。日本人トップでぐいぐい走って行く。茂木はそれについていかない。こはぜ屋の社員たちは曇り顔。

 

佐山も「いけえ毛塚君!」と必死に応援していた。

 

レースの変化

30km給水ポイント。毛塚はトップを走るケニア人選手のすぐ後ろにいて現在は2着。給水をせず、差を縮めることに専念。一方で茂木はペースを守りつつ、きちんと給水もしている。

 

すると村野が「あいつ、もしかして!」と何かに気づき、レースのルートを確認。そして、坂があると話し出す。選手たちが厳しいのは登り。その直前まで足を止めて、坂になってからペースアップをしようと言うのだ。

 

こはぜ屋の社員たちは、坂が苦しいのは茂木も同じなのではと問うが、村野は「あいつは箱根を制した男ですよ!」と息巻く。「茂木は必ずここで勝負に出る!」

 

その言葉通り、茂木は坂に入るとペースアップして、どんどん選手たちを抜いていく。会場も大いに湧く。

 

見守る人達

豊橋国際マラソンをいろんな人たちが見ていた。御園は会社の大きなスクリーンで。銀行員の大橋も「いけ!」とつぶやく。茜も自宅のテレビを見て「いけ!」と応援。

 

トップ争い

トップのケニア人選手が中継で見えて、すぐ後ろには毛塚が付いてきている。小原はうれしそうに声を上げるが、すぐに言葉を失ってしまう。毛塚のすぐ後ろに、茂木が来ていたからだった。

 

「それでこそお前の走りだ、茂木!」

 

城戸は喜びの声を上げる。

 

茂木裕人というランナー

35km給水ポイント。一つ前の給水をしなかった毛塚はなんとしてでも給水したい。が、ボトルを落としてしまい給水ができなかった。一方茂木は、スムーズにボトルを取って飲んでいる。

 

毛塚は水が飲めずしんどい表情で走っている。ペースダウンして、茂木が迫ってきた。一気に抜き去る可能性もある。絶好のチャンス。

 

御園は前のめりになって、食い入るようにレースを見ている。

 

茂木は毛塚に並んだ。盛り上がるこはぜ屋の社員たち。そして、

 

茂木は毛塚にボトルを手渡した。

 

しんと静まりかえる会場。城戸監督はにやりと笑っている。二人は併走しながら、茂木はボトルを差し出したまま。最初は受け取らなかった毛塚だが、限界が来てボトルを受け取って給水する。

 

会場では大きな拍手が贈られていた。中継を見ている人々がみんな笑顔になっていた。「ああいうやつなんです!茂木裕人は!」村野は涙混じりにそう言う。

 

毛塚はペースアップして、茂木もそれについていく。さらに毛塚がペースを上げれば、茂木が負けじと付いてくる。接戦に観客達は大興奮。村野は「気持ちの強い方が勝つ!」ともはや根性だと話す。

 

もう一度あの場所から

紘一は中継場所を抜け出し、とある場所へ。

 

茂木と毛塚、並んで走るランナー二人はお互いを見つめ合う。そして、二人とも清々しい笑顔になる。そんな二人を見た茜は「すごく気持ちよさそうに走ってる」と言う。「こんなすごい人たちのために、お父さん、シューズ作ってたんだね」とうれしそうに。

 

40km地点。紘一は面接終わりの大地と合流。大地もほかの社員と同じように、こはぜ屋の勝ち虫が描かれた袢纏を着ている。「全てはここから始まったから」という紘一。そう、ここは初めて茂木の走りを見た場所。ケガをした茂木が最後まで諦めない姿を見て、陸王を作ろうと決意した場所だった。

 

茂木と毛塚の先を行くケニア人選手だったが、急に足をつんのめらせて、倒れ込んでしまう。足のケガをしてしまったのだ。村野は表情を崩す。「二年前にリタイアした場所で、あんな姿を目の当たりにするなんて…」

 

村野の懸念通り、茂木は動揺して、恐ろしい形相になっている。そんな茂木の姿を見て、毛塚は追い抜いていく。茂木の心が折れかけたその瞬間ー

 

「茂木!!諦めるな!!!!」

「陸王を信じて走れええええ!!!」

 

その場所には大きな声を張り上げて応援する紘一と大地がいた。茂木は冷静さを取り戻し、二人を見てうなずく。自分の走りを取り戻した。

 

全てを出し尽くせ

ゴール地点間際。茂木はまだ毛塚に追いつけないが、少しずつ迫っている。ゴール直前、応援が降りそそぐ。そして毛塚に並び、抜いて、振り切る。

 

「茂木来い!」

 

ゴールで待つ城戸監督が叫ぶ。茂木はそのままトップでゴールテープを切った。倒れ込む茂木を城戸が抱きかかえる。肉薄のレース展開、茂木の復帰に観客達は歓喜に沸いていた。みんな、みんなが喜んでいる。

 

素子は飯山のそばで泣いている。「だって、だってさ、言ってたじゃない。シルクレイでたくさんの人を喜ばせたいって。あんたの夢が叶ったんだねぇ」そう言って素子は泣くのだった。「まだまだこれからだ!」飯山は涙ぐみながらも前を向いていた。

 

毛塚は茂木の走りに素直に「強えな」と言う。そして、握手を求める。手を握り返す茂木。「次は俺が勝つ!」毛塚は笑顔で勝ち気にそう言った。

 

その様子を中継で見た小原は呆然としている。佐山は二人の走りと友情に感動し、拍手を贈っていた。

 

感謝

優勝者インタビュー。茂木にたくさんのカメラが向けられて、フラッシュが焚かれる。茂木はインタビュアーに質問をされて、感極まって言葉が出てこない。それでも、口を開いて自分の思いを語る。

 

「僕がここに立てているのは、僕だけの力ではありません。チームのみんなと、そして、

 

この陸王に支えられました」

 

と、自分のシューズを脱いで、報道陣の前に陸王を見せる。インタビュアーは「陸王?」と聞く。

 

「もう苦しくて、何度も諦めかけたときに、この陸王が思い出させてくれたんです。走るのが好きなんだなぁって。きっとこのシューズに込められた作り手さんたちの思いが、そう感じさせてくれたんだと思います」

 

こはぜ屋の社員たちは、みんな涙している。茂木は一人一人を見て、そして涙しながらも笑顔でうなずく。

 

「こんな僕をずっと応援し、陸王を作ってくれたこはぜ屋のみなさんに、優勝を捧げたいと思います!」

 

茂木のことを中継で見ていた紘一と大地は、お互いに見合ってうなずき、そして大いに喜んでいた。

 

こはぜ屋の会社では電話が鳴り止まない状況。しかし、みんなマラソンの応援に行っているので、そこには誰もいなかった。

 

父と子の約束

数日後、社員たちは会社に戻り、陸王発注の電話を受け取っていた。信じられないほど多い注文に、紘一は驚きつつも笑顔。

 

大地が来て、「ちょっといいかな」と紘一を呼び出す。「メトロ電業、受かったよ」と言う。紘一は驚き、そして破顔して喜び、「すごいじゃないか大地!おめでとう!」と大いに祝福する。

 

しかし、大地は「断ろうと思う」と言う。「いろいろ考えたけど、俺はこはぜ屋での仕事を続けたい。面接で何をやりたいのか話してきたけど、本当は陸王を開発して、ランニング業界に殴り込みに行くより、面白い仕事なんてないと思ってる」。そして

 

「俺をこはぜ屋で働かせて下さい。お願いします!」そう頼み込み、紘一に深く頭を下げる。「ありがとな大地」と紘一は肩を叩く。「だけどおまえはメトロ電業に行け」と意外な答えを出す。

 

「うちは足らないことだらけだ。どうすれば良いのか俺にはもうわからない。この3年間、うちで働いてきたおまえだからこそ、メトロ電業に行けば、うちに足りないことがなんなのか、きっとそれがわかる

「そこで思う存分働いて、うちでは得られない知識や経験を蓄積してきてくれ。世界を見てこい、大地。そして、その大きさを俺たちに教えてくれ!」

「それまで待ってるから」

 

大地もぽろぽろと涙をこぼす。そして笑顔になり、「わかった」と言う。

 

「俺なりに一生懸命勉強する。一旦出るなら、戻るつもりでは働かない。メトロ電業に失礼だからな」

 

息子の頼もしい発言に、紘一は本当にうれしそうな表情を見せる。

 

「頑張れよ。俺もおまえもこれからが本当の闘いだ。どんなときにも勝利を信じろ!」

 

父との約束と教えに、「はい!」と答える大地。「今まで、お世話になりました!」そう深く頭を下げた大地を、抱きかかえるように背中をさする紘一。それでもやっぱり涙が止まらなかった。

 

アトランティスの未来

1年後。アトランティスでは40人もの選手に契約を切られてしまい、小原は本社から叱責されていた。部下のミスだと、佐山に責任を擦り付けようとする。村野を切ったことが早合点だったのではと、小原のミスを指摘する上司。

 

小原は別会社に異動させられることになった。それでも小原は、佐山に「サポート取り返してこい!」と上から命令する。

 

「アトランティスは切り捨てられたんです!」と、初めて小原にたてつく佐山。「私も、一からシューフィッターの勉強をし直してきます!」そう言い放ち、部屋を一人で退室する。

 

こはぜ屋の未来

埼玉中央銀行の家長が、こはぜ屋の新しい工場を見て驚いている。大きな規模の工場だったからだ。大橋も一緒に来て、こはぜ屋を訪ねる約束だったのだ。紘一は二人を迎え入れる。こはぜ屋はなんと30億円も売り上げたと言う。

 

社員を増やし、会社の規模も大きくなったので、メインバンクを東京中央銀行に変えたのだった。そのことを紘一は二人に謝るが、大橋は「謝る必要はありません」と言う。一番肝心なときに力になれなかったのは自分たちだと言うのだった。

 

すると家長は「それは違う」と言う。「道を切り開くのは我々の仕事ではない。宮沢社長の仕事だ。よく、こはぜ屋さんが盛り返しましたね」とこはぜ屋の力だと主張するのだった。今後も関係は続けていく。

 

「全く、本当にしぶとい人たちだなぁ」と大橋はどこかうれしそうに言う。「やっぱりそれがうちの一番の強みかな?」紘一は誇らしそうに返事をする。

 

茜がスポーツ店に行くと、いろんな種類の陸王が売られている。手にとって、うれしそうな茜。友達に呼ばれると、その商品を手にしたままで友達から笑われてしまう。

 

アリムラスポーツの有村融(光石研)は、いろんなお客さんに陸王を勧めていた。

 

ダイワ食品陸上部には、久しぶりに平瀬孝夫(和田正人)が顔を見せている。実は陸上部のコーチになったのだった。城戸と楽しげに話している。

 

そこにやってきたのは御園。実は、アトランティスに代わり、フェリックスがダイワ食品を支援することになったのだった。ユニフォームもフェリック製だ。

 

そして、東日本国際マラソンに茂木が出場。オリンピックを目指す闘い。こはぜ屋ではいつものように、社員みんなで応援。今回は会場ではなくテレビ中継だが。メトロ電業でも、大地が一人で茂木を応援していた。

 

茂木は新しい陸王を履き、信じきった表情でスタート!紘一は張り切って応援する。

 

「いけー茂木!!!」

「走れー陸王!!!」

「いけー陸王!!!」

 

 

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いやー見終わった。良かった。圧倒的。最終回20%超えて本当に良かった。素晴らし肩。感極まっている感じなんですが、この記事が長すぎますので、感想は次の記事で完走します。

 

 

 

 aoikara

 

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