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【ドラマ】陸王 第9話 ネタバレ 陸王のペースで走りきれるのか

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最初は演説とかに入り込めなかったのに、もう感動して涙が出そうになるくらいドラマに入り込んでいるaoikaraです。レースだけにペースをかき乱されていますね。うまくないことは置いておいて…

 

というわけで、今回のテーマは…

 

陸王 第9話 ネタバレ

 

です。

※個人的な感想なので辛口なコメントを含みます。
※ネタバレもしていますので、まだ内容を知りたくない方は見てからどうぞ。

 

▼感想記事はこちら

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▼陸王 第8話 記事はこちら

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第9話 あらすじ・ネタバレ

会社として生きるか死ぬか

こはぜ屋の4代目社長宮沢紘一(役所広司)は、アウトドアブランド・フェリックスの社長の御園丈治(松岡修造)から買収の話を前向きに聞き入れる。

 

そのことについて会社で社員たちに明かすと、みんな大騒ぎ。紘一はまだ正式に決めたわけではないと言うが、フェリックスからの買収を受け入れればまた陸王を作れると話す。もしこのままなら前の足袋屋に戻ってしまうだけだと。

 

反発も多いが、縫製課の仲下美咲(吉谷彩子)は「そんなに悪い話?」と疑問を呈し、何がダメなのかと問いかける声もある。

 

埼玉中央銀行の融資課長でこはぜ屋の担当でもある大橋浩(馬場徹)も来て、買収には否定的な意見を伝える。一般的な買収は子会社化して、相手の思い通りになってしまうだけだと。御園という人物は表向きだけでは判断できないとも言う。ただ「リスクのないビジネスチャンスはない」と全て否定しているわけでもなさそうだ。

 

紘一の息子の大地(山崎賢人)も「会社が人の物になっていいのかよ!」と父親に訴える。紘一は「ほかの大切なものを守れる」と何とか説得しようとする。

 

すると、縫製課リーダーの正岡あけみ(阿川佐和子)が泣き出してしまう。「あたしは反対。陸王を作り続けたいよ。でも、あたしは今のこはぜ屋が好きなんだよ。外国の会社のために働く気にはなれない」と本音を明かす。

 

係長の安田利充(内村遙)も、陸王を作るためにこはぜ屋を売るのは本末転倒だと反対。そうすると食い気味に紘一が

 

「でも、このままじゃ遅かれ早かれこはぜ屋はなくなるんだよ!」

 

と声を荒げて訴える。フェリックスの傘下に入れば、仕事も続けられると。「百年ののれんを守ることだけが、本当の意味で守ることになるのかな?」と。

 

それでもあけみは納得せず、「決めるのは社長だけ」「買収は反対。絶対にない!」と全否定してその場から立ち去る。他の社員も同意して、話し合いを放棄して帰ってしまう。

 

「だったらどうすりゃいいんだよ」と、悲しく笑いながら紘一がつぶやく。

 

茂木のシューズ

シューフィッターの村野尊彦(市川右團次)は、ダイワ食品陸上部に赴き、茂木裕人(竹内涼真)のためにたくさんの種類のシューズを持ってきていた。城戸明宏監督も同席している。茂木は「せっかくここまでしていただいてもらったのに…」と、申し訳なさそうに、アトランティスの新しいRⅡを見せる。

 

城戸はアトランティスに言われたとしても、履きたくないシューズは履かなくて良いと説得する。茂木は「だけど俺がRⅡを履けばみんな助かる」と言い、城戸に「部のことを考えるのは俺の仕事だ」と言われてしまう。

 

しかし、村野は「このRⅡを履け」と意外な答え。シューズをじっくりと見て、ソールやアッパー素材が茂木に向いていると感じたのだった。「陸王には及ばないが、今のおまえに最も最適」と村野も推す。

 

ダイワ食品への恩

茂木は最新のRⅡを履いてトレーニング。そこにアトランティスの営業部長・小原賢治(ピエール瀧)と、営業担当・佐山淳司(小籔千豊)がやってくる。茂木は「正直言ってとても良いシューズ。驚きました」と感想を述べる。

 

小原は「驚くことはない」と言い、こはぜ屋や村野をこき下ろす。茂木の活躍を期待していると声をかけて、「RⅡを履く限り、ダイワ食品をバックアップさせていただきますよ」とも言う。

 

佐山はダイワ食品のほかの選手に向かって、「君たちも茂木君に感謝せえよ」と上から目線で発言。二人は帰り、茂木は黙々と練習を続ける。村野は走りを見ながら、「陸王がなければこれが最善」と思っていた。

 

四面楚歌

こはぜ屋には入院していた西井冨久子(庄司照枝)が帰ってきて、社員たちが喜んでいる。紘一もやってきて、快気祝いをしようと言うが、みなそっぽを向く。肝心の冨久子が「あたしゃ行かないわよ」と言うのだ。

 

みんな紘一が会社を買収しようとしているということで、孤立無援状態。さらに残業もしないと言われて、ほとほと困ってしまう。

 

専務の富島玄三(志賀廣太郎)も頭を抱えて、紘一もどうすることもできずにいた。そんな父親の姿を、大地が見ていた。

 

自分の会社

大地は友人と酒を呑みながら、現状を愚痴っている。そんな大地の姿を見て、友人は「おまえ、本当に好きなんだな。親父さんの会社が」と言う。

 

経験者のアドバイス

紘一は飯山晴之(寺尾聰)と酒を飲みに行く。飯山は「会社を売るのは倒産するよりまし」と言う。「が、御園って男、どんな人間なんだ?」という疑問も口にする。

 

新しいボスになるのがどんな人間なのか、わからなければ買収に賛成も反対もないと話す。あけみやみんなが反対するのも同じ気持ちだからではないかと。

 

「俺はあんただからシルクレイを任せたんだ。御園ってのは信用できる男だと、責任を持てるのか?」

 

社長としての長所

紘一は家に帰り、娘の茜(上白石萌音)と一緒に御園についてパソコンで調べている。エリート街道を歩いてきたような男で、茜も「画に描いたような成功者」と称する。「顔もかっこいい」と紘一と御園を見比べながら笑っている。

 

茜は「お父さんにも良いところあるんだし」と言うが、具体的に挙げようとすると言葉に詰まってしまい、母親の美枝子(檀ふみ)にバトンタッチ。「いつも社員の立場に立って、偉ぶってないから何でも気さくに物を言えるところかな」と楽しげに言うと、紘一はだからこそ今揉めているんだと頭を悩ませる。

 

接触

紘一の電話が鳴り、出てみると御園だった。買収の決心がついたかと聞いていたが、紘一は正直に社内の調整は自分の気持ちに踏ん切りが付くのに時間がかかると明かす。御園は受け止めて、また話がしたいと提案してくる。

 

気持ちはわかる

安田は足袋を製作するペースが落ちていることに危機感を抱き、社員たちに訴える。残業していないのでペースが落ちていたのだ。しかし、買収が気になって作業に集中できないとあけみは言い切り、ほかの社員たちを連れて帰ってしまう。

 

社長室では富島も頭を抱えて、「このままでは給料が払えなくなる」と紘一に訴える。安田もそんな現状を伝えて…

 

と、社員の水原米子(春やすこ)と橋井美子(上村依子)がやってきて、「残業をする」と言う。半分はあけみと同じ気持ちだが、半分は残業代で家計が助かっていた部分もあると明かす。フェリックスに買収されて子会社になり、給料が上がるなら賛成すると乗り気な様子も見せる。

 

そんな話し合いを、あけみが影からこっそりと見て、何も言わずに立ち去っていく。

 

ライバル

茂木はアトランティスの施設で、データ収集のために走っていた。茂木がシューズへの注文をつけると、小原は快く受け入れる。

 

小原は豊橋国際マラソンに出るのかと尋ねる。茂木がケガをして、棄権し、再起不能になりかけたレースだ。茂木は城戸監督に止められていると話すと、小原や佐山が「レースに出られるようにプッシュする」と答える。

 

同室に毛塚直之(佐野岳)がやってきて、シューズを見てにやりと笑う。「おまえが負けてもシューズのせいにできない」と言う。

 

茂木の意思

茂木は城戸に、チャンピオンズカップというレースに出て、結果が残せたら豊橋国際マラソンに出してほしいと直談判する。アトランティスのRⅡも悪くないと話し、今なら毛塚とも渡り合えると言う。

 

茂木が練習終わりで控え室にいるときに、佐山がやってくる。毛塚のタイムと言って、メモを渡す。「参考にしたらええよ」と言う佐山が手渡したメモを、茂木は受け取った。

 

社長同士の語らいと大勝負

紘一は御園に呼ばれて富士山の麓にやってきていた。釣りをして、二人は大いに盛り上がっている。紘一はフェリックス製品を着用していて、その着心地や機能性を称える。特にシューズが素晴らしいと、水の中でも濡れない機能性に感銘を受けていた。

 

御園は「あの陸王を開発した宮沢さんに言われると励みになる」と言う。紘一は、こはぜ屋が失敗やトラブル続きで、御園とは大違いだと話す。すると御園は「それは勘違いです。私は何度も挫折してきました」と言う。

 

一方、その頃茂木は東日本チャンピオンズカップのレースに参加。RⅡを履いている。ダイワ食品のほかの選手達や城戸監督が見守る中、レースはスタート。

 

御園は自分の過去を話し出す。有名ブランドのアパレル企業でチーフマネージャーとして働いていたが、その会社があっさり買収されてしまったと。その後、スーパーマーケットに出向になったが、どうしてもアパレルがやりたくて自分で会社を創業したらしい。

 

その会社の名前は「ジャニス」。妻がデザインした服を売っていたので、妻の名前をつけたと話す。

 

茂木はレース中盤の6000メートル。ペースを乱さずに走り続けている。

 

御園は当時の自分が自信満々だったと明かす。大木なバックもいて、すぐに銀行から金が借りられて、順風満帆だった。あるとき、妻がデザインの変更をしたいと言い出した。今までは御園の経験から口出しをしていたが、妻は納得していなかったのだった。

 

しかし、妻が新しくデザインした商品はダメで、借金だけが残ってしまい会社は倒産。妻は責任を感じて、新しいデザインを求めて各地を転々とするようになった。そして、メキシコに大型のハリケーンが着て、100名以上の死者が出るなど大きな被害を受けた。「妻もその一人だった」と御園は言う。

 

「私は全てを失った」

 

一方、茂木は8000メートル地点で走者をどんどん抜いていき、トップに立つ。ダイワ食品の選手があと5週もあるのにと心配し、城戸監督も茂木の走りを見つめている。

 

御園は日本へ帰ってきた。すると、「やる気があるなら資金準備をする」と声を掛けてきてくれたのがベンチャーキャピタルという投資会社。そして、御園はフェリックを創業したのだった。

 

紘一は「そして、フェリックスは世界的な企業となった」と後を続ける。御園も話す「順風満帆な人生なんてありませんよ。私には全てを失った経験がある。その絶望が私の強みです」と。

 

紘一は「フェリックス」がどんな意味なのかと尋ねる。御園は言う。「妻の命を奪った、ハリケーンの名前です」

 

茂木は走り、トップを独走してそのままゴール。雄叫びを上げている。選手たちは茂木が新記録を出したのではとざわめいていた。

 

御園は言う。「フェリックスは決して忘れられない私の原点です。壁にぶつかったとき、この名前が、運命に打ち勝つ怒りのようなものを沸き立ててくれる。

 

それが私の原動力です」

 

そう静かに強く語る御園に、紘一は「あなたはすごい人ですね」と言うしかなかった。

 

大切なもの

紘一はこはぜ屋に帰り、あけみに御園の人生について話す。あけみも御園が立派な人物だということは理解できた。しかし、「売るのは反対」と言う意思は変わらず、紘一は困ってしまう。

 

「陸王とこはぜ屋だったら、私はこはぜ屋を取る」と言うあけみ。困っている紘一を見て、「私だって頭ではわかってんだよ。でも、気持ちが追いつかない」と言う。そして、あけみは先代が社長だったときに自分が辞めようとした話をする。

 

若い頃にファッションブランドで自分の力を試したいと、先代と大げんかをして辞めたらしい。しかし、入ってみたら丁寧に縫製することよりも、効率良く働くことばかり求められたと言う。

 

結果、1年でぼろぼろになってしまった。そのときに先代が「そろそろ戻ってきたらどうだい?ミシンが泣いてるよ」と声をかけた。あけみは言葉では反発しながらも、「私も涙が止まらなかった」と言う。

 

紘一は「知らなかったなぁ」と返す。

 

「そのときわかったんだ。あたしのとって、こはぜ屋は第二の家。あんな大手の会社みたいになるのは怖い。古いミシン、先代が遺してくれた言葉、値段のつけられないものにこそ価値がある。それを失いたくない」

 

それがあけみの本音だった。紘一も優しく言う。

 

「家が変わっても家族が一緒なら何も変わらない。こはぜ屋っていうのは、あけみさんたちのことだ。みんなのことだ」

 

そう言いながら紘一は泣いている。あけみも泣いている。

 

「みんながいれば、こはぜ屋は生き続ける。そうだろう?」

 

決断

夜、紘一は一人になり、また外をランニングしている。陸王を開発しようと決めてから、今までの全てのことを思い出していた。頑張ってくれた、力になってくれたこはぜ屋の社員たちのことを。そして、こはぜ屋の門の前まで来た。

 

そして、紘一は一本の電話をかける。その相手はベンチャーキャピタルで働く、元銀行員の坂本太郎(風間俊介)だった。

 

「フェリックスに会社を売る話だけど、正式にお願いしたい

 

そう用件を伝える。坂本は「また陸王が作れますね」と好意的に受け止めている。「ああ…ありがとう」と紘一は答えて、電話を切る。

 

決意したはずだった。それでも、紘一は涙が止まらなかった。

 

秘密の結束

小原が佐山を連れて、とある料亭に来ている。「何年ぶりかな」と小原が声をかけて、「アメリカ時代からのお知り合いだそうで」と佐山も言う。その相手は御園だった。

 

「再会を祝して懐かしくて会食に誘うような方ではないと記憶しております」

 

と御園は余裕の笑みで言う。小原は単刀直入にと、こはぜ屋の買収について話す。御園は顔色を変えて「どうしてそれを?」と聞く。フェリックスの動向を追っていたと小原は明かす。

 

御園はまた陸王が作れるようになるのを懸念して、「競合相手だから手を引けと?」と聞く。小原は鼻で笑い、陸王との競合意識がなく、眼中にないので「買収なりなんなりしてください」と言う。ただし「その上で」と付け加える。

 

「うちと取引しませんか?」と言う。陸王はすぐに製造をやめて、シルクレイを供給してほしいと言うのだった。陸王を「薄汚いシューズ」と蔑み、RⅡとの差は一目瞭然とまで小原は言う。

 

「なるほど」御園は話を聞き、「悪い話ではなさそうですね」とまた悪い笑みを浮かべて答えるのだった。

 

一進一退

こはぜ屋の社長室では、紘一が茂木のニュースを見て喜んでいた。1万メートルのレースで、毛塚の記録を抜いて大会新記録を出したというニュースだった。履いているのはRⅡだったが、「またいつか履いてもらえる日も来るさ」と紘一は希望を捨てない。

 

同席していた大地は、またアッパー素材を探しに今日も交渉に行こうとする。すると富島が「もういいんじゃないか?」と止める。こはぜ屋はアトランティスに負けて、RⅡを履いている茂木が陸王を履くことはないと言う。

 

陸王のためにこはぜ屋を売るなんて意味がないと富島は思いを明かす。それでも、大地は交渉に行くのだった。

 

縫製課では少しずつ残業をしてくれる社員が増えていた。しかし、あけみだけは未だに残業はせず。あけみは「ごめんね、迷惑かけて」と他の社員に詫びる。「でも、今のままじゃどうしても踏ん切りが付かない」と言う。

 

「足袋のほつれは簡単に直せるのに、社員とのほつれは直せない」とうまいことを言い出す紘一。富島も「放っておくと穴は大きくなるばかり」とため息まじりで言う。

 

今のままでは

「なんでダメなんですか!?」

 

茂木が声を荒げて、城戸監督に食ってかかっている。豊橋国際マラソンへの出場を止められたのだった。「私が止めた」と言ってやってきたのは小原と佐山。

 

茂木をサポートして良かったと確信していると話し、毛塚との対戦が楽しみだとも話す小原。「勝負になればの話だが」と釘を刺す。佐山によると、今の茂木がフルマラソンに出れば、リタイアするか選手の記録の平均を大幅に下回るというデータが出ていると明かす。

 

「データなんて当てにならない」と茂木は言うが、佐山はこのデータが大幅に外れたことはないと断言。アトランティスのシューズを履いて無様な走りをするのは許されないと言い切る小原。

 

城戸も「今回は見送れ」と言う。「少なくとも、1万メートルの記録では毛塚を上回ったんだから」と。

 

その場に、他の選手が血相を抱えてやってくる。「毛塚が1万メートルの記録を塗り替えた」と言いに来たのだった。

 

希望はあるのか

こはぜ屋の社長室でも、紘一や富島、大地が毛塚のニュースを見ていた。茂木がレースで新記録を出してから、たった一日で破り勝ってしまった。茂木は出走見送りも懸念されていると記事に書かれている。

 

「せめて新しい陸王を届けられたらな…」と大地は言う。シルクレイの機械が整ったとしても、3ヶ月以上はかかる。今のところ茂木モデルのアッパー素材がない。ただ、ソールは一足分残っていた。

 

執念

大地は「タテヤマ織物」という会社を訪れて、陸王のアッパー素材の交渉を行おうとする。しかし、担当者がいないので、会社に戻ってくるまで待つことに。作業着の初老の男性がそんな大地の様子を気にしていた。

 

何時間待っても、担当者は来ない。それでも大地はしぶとく待っていた。夜になり、ついに受付の人間に「本日は戻らない」という伝言を受け取ることに。

 

大地は残念そうに、帰ろうとする。「あのー…ちょっと」と、大地に声がかけられる。それは、作業着の初老の男性。大地が受付の前で待っているのを何度も見ていたのだった。担当者の上司で檜山だと明かし、話を聞いてくれると言う。

 

大地は陸王を実際に見せて、手にとってもらう。「アトランティスと渡り合おうと言うわけか」と檜山はじっくりと見る。

 

「実績や規模では今は叶いませんが、決して品質やコンセプトでは負けていないと自負しております。いつか必ず、世界一のシューズにしてみせるつもりです!」

 

大地は強く、自分たちの思いを伝える。檜山はじっくりと見て、陸王を置き、

 

「わかりました。では、お手伝いさせていただきます

 

と答える。大地は「そうですよね…」と残念そう返して、一瞬何を言っているのかわからず「えっ?」と言ってしまう。

 

「この陸王に、ぜひうちの製品を使っていただきたい。うちにとってもビジネスチャンスです」

 

と檜山は言う。大地は社内で検討しなくても良いのかと心配するが、「十分検討した」と。そして、檜山は自身の名刺を手渡す。そこには「タテヤマ織物」代表取締役社長と書かれていた。

 

大地は驚き、無礼だったのではないかと頭を下げる。「肩書きがない方が本当のことが伝わります。あなたがそれほどの熱意を傾けるのはどんなものなのか気になりました」と言う。

 

「このシューズは完成度が高い。必ずブレイクする。こちらこそ、ぜひ、お願いしたい!」そう希望に満ちた口調で檜山は答えてくれるのだった。

 

こはぜ屋の力

大地はタテヤマ織物の素材を持ってこはぜ屋に戻る。「タチバナラッセルと同じ、いやそれ以上に良い生地!」と興奮していた。紘一も「よく見つけたな!」と息子を労う。飯山は「親父譲りで執念深い」とこれまた褒める。あけみは喜ぶ社員達を影から見ていた。

 

富島は「見つからない方が良かった」と言う。会社を売ることはできないのだから、どうせ使われず、ただの足袋屋に戻ると皮肉る。飯山は「黙れくそじじい!」と富島に食ってかかり、こはぜ屋を思う大地のことを訴える。二人はとっくみあいのケンカに。

 

「やめてくださいよ!」と大声で止めたのは大地だった。そして、「みんなの力を貸してほしいんです」と言い、「茂木に陸王を作りたい」と思いを明かす。タテヤマ織物からはたくさんサンプルをもらっているし、茂木のためのソールは一足分ある。

 

茂木が陸王を履く可能性が少ないと言われても、「それでもいいから届けたい」と言う。「サポートできなくても、こはぜ屋は茂木を応援してるって伝えたい」と言うのだった。

 

「もしこれが最後の陸王だとしたら、無駄なことかもしれない。でも、無意味なことじゃない!

 

そう言って、大地は紘一の目を見る。紘一も大きくうなずいた。大地は社員たちに「作らせて下さい!」と頭を下げる。

 

するとあけみがやってきて「あたしも手伝う」と言う。みんな喜んでいた。「大ちゃんがそこまで思ってるんだよ。ここでやらなきゃ女が廃るよ!」とまで言う。みんな久しぶりに陸王を作ることで、やる気に満ち溢れている。

 

紘一はそんな社員たちに「ありがとう!」と頭を下げる。「今までで最高の陸王を作るよ!」あけみの言葉にみんなが心を一つにする。

 

本当に勝つべきなのは

茂木はまた無茶な練習をしていた。もう2時間も走り、30km近くの距離になっていると選手が城戸監督に言う。城戸が命じて、選手達が力尽くで止める。城戸は「完全に足に来てるじゃないか。医務室で冷やしてこい!」と厳しく命じる。

 

「フルマラソンが走れることを、証明してみせますから…」茂木はふらふらになりながら言う。「いい加減にしろ!冷やすのは足じゃない、頭だ!」と怒鳴られる。「そんなことだから豊橋国際に出るなって俺は言ったんだ」と城戸は言う。

 

「俺の何がダメなんですか!俺と毛塚の何が違うって言うんですか!」と茂木は感情をむきだしにして、叫ぶように言う。

 

「毛塚、毛塚毛塚毛塚。おまえ何見て走ってんだ?そんなに聞きたいならな、はっきり言ってやるよ。今のおまえじゃ毛塚には勝てない。あいつはおまえの遥先を行く天才だ

 

城戸がそう言うと、茂木は食ってかかるように城戸の前に立ち、にらみつける。

 

「おまえがケガでくすぶっていた間、毛塚は常に追われる側の人間だった。その重圧がわかるか?それでも、あいつはトップを走り続けた。おまえが挑もうとしているのはそういうやつだ。もう昔の毛塚とは違うんだよ!」ちょっとニューイヤーで勝ったからって調子にのんなよ」

「おい、おまえ、もしかしてあのとき毛塚が病気を偽ったって勘違いしてんじゃねえだろうな。知り合いの関係者に確認したよ。あの日、毛塚は38度の発熱で、間違いなくいつリタイアしてもおかしくない状況だったらしい

「つまらん挑発にのって自分を見失ってる場合か?おまえ何のために走ってんだ?毛塚に勝つためか?おまえのマラソンのゴールはもっと先にあるんじゃないのか?」

「おまえがまず勝たなきゃならないのは自分自身だ。それができたとき、初めて毛塚を超えられる」

 

村野はそんな二人の様子を見て、練習場を後にする。そして、誰かから電話がかかってきた。

 

最後の味方

 村野は電話で飯山に呼び出されて、おでんの屋台で会う。飯山は大地のおかげで新しい陸王が作れるようになったことを告げて、茂木の足に合わせて調整してほしいと頼む。しかし、村野は拒否。「固いこと言うなよ」と飯山は言うが、「余計な期待を持たせるな」と村野は一刀両断。

 

飯山は大地の思いを汲み取りたいと言うが、茂木の絶望の姿を見た村野は「お断りします。茂木を迷わせたくない」と返すだけ。「石頭!」と飯山に言われても、金を置いて立ち去ろうとする。

 

「年は取りたくねえな!やせ我慢ばかりでよ」と飯山が言うと、村野は立ち止まる。飯山が続ける。

 

「だがな、連中は違うぞ。一緒に寄り添ってきやがる。うっとうしいくらいに。でもな、あいつらのそこがいいんだよ」

 

村野にもこはぜ屋に対して心当たりがあった。飯山は言う。「茂木も待ってるんじゃねえのか?あんたのことを」

 

陸王にこはぜ屋の思いをのせて

こはぜ屋ではあけみが丁寧に陸王のアッパー素材の縫製を行い、ソール部分と組み合わせる。最後は大地が微調整をして、5代目陸王が完成。重さを量るとたったの148g。以前のシューズよりも軽い新記録だった。

 

盛り上がっているこはぜ屋に、険しい顔をしている村野が久しぶりにやってきた。陸王を見て「はぁーっ」と感嘆の声を漏らし、「相変わらず縫製は完璧ですね」と言う。それでも細かい調整が必要だと注文をつける。そして「やり直し!」と告げる。

 

やっと新しい陸王を完成させた社員たちは「ええー」という表情。「文句を言うんじゃない!」と村野が厳しく言う。「茂木に最高の陸王を届けたいんでしょ?」という村野の熱い言葉に、紘一も大地も笑顔になる。

 

すると珍しく富島も「ミスは許されないぞ!」と言う。陸王にはずっと反対だった富島。それでも「作るからにはこはぜ屋品質じゃなきゃ」と力強く言う。そして、大地をはじめ社員達はもうひとがんばりすることに。

 

それから時間が経ち、村野が伝えた微調整のもと、ついに新しい陸王が完成。重さは先ほどと同じ148g。村野はにっこりと満面の笑みを浮かべ、「完璧です!」と言い切った。社員たちは歓喜に沸く。

 

大地は村野に感謝する。村野も「これだけ茂木のことを気に懸けてくれて…」と感極まりながら大地に感謝した。それでも大地は「みんなのおかげ」と言い、社員たちは「大地がアッパー素材を見つけてくれたから」とお互いを称える。

 

社長として決めたこと

その場で、安田は紘一に対して、「茂木に陸王を届けてやってくださいよ」と言う。しかし、紘一は「すまん、明日は大事な用があって行けないよ」と返す。ふと、静まりかえる社員たち。

 

「フェリックスにこはぜ屋を売るための正式な手続きを進めようと思う」

 

と紘一は宣言。社員たちは複雑な表情になっている。

 

「あけみさん、玄さん、ほかにもまだ納得のいかない人はいると思う。本当に申し訳ない」そう言って頭を下げて、

 

「だけど俺は、やっぱり、この陸王を諦めたくないんだ!一つは茂木選手や陸王を選んでくれた選手のため。そしてもう一つは、このこはぜ屋のためだ。そのことを俺は今日、改めて確信した!」

「ふがいない俺のせいで、ばらばらになりそうなみんながたった一足の陸王を作るために、こんなにも力を合わせて一つになってくれた。陸王はこはぜ屋のために必要なんだ!失う事はできないんだよ!」

「わかってくれよあけみさん…。みんなも、どうか…この通りだ!」

 

そう言って、深く深く頭を下げる。口を開いたのは大地だった。「親父が本当にそうしたいなら、俺は従うよ」。富島も「社長ともあろう人が、そう簡単に社員に頭を下げるべきではない。そこまで考えているなら…従わなきゃならんでしょうな」と。

 

しかし、あけみは「良かないよ!」と声を上げる。「私は反対だね。買収なんて冗談じゃない。あたし達の技術を見せつけて、あたし達がいなければ困るって言わせよう。フェリックスに力を貸すつもりでさ傘下に入ってもらおうよ!」

 

紘一もうなずき「会社は手放すけど、みんなのことは絶対に守る!」と言う。社員たちも一番に解雇されるのは社長だと言い、「社長を守る!」と言い、みんなが涙した。

 

そんな中、飯山だけが冷静な顔をして、何かを気にしていた。

 

経験者の忠告

紘一は社長室で、いつも着ている袢纏を見ている。飯山に気づき、先代から受け継いだのがうれしかったと語る。自分の代で会社を潰してしまうことは、言葉にはできない苦しみがあった。そして深い深いため息をつく。

 

飯山が「ここまできてあんたの覚悟を惑わすつもりはねえが、本当にもう手はねえのかい?」と聞く。そして、自分がフェリックスからシルクレイの買収を持ちかけられたときに、こはぜ屋との契約があるからと断った話をする。そのとき、何か別の可能性があるのではと考えていたからだと。そして、さっきあけみが言っていたことで、ようやくわかったと言う。

 

「なあ、社長さんよ。あきらめが悪いのはあんたらの専売特許だろ。だったら、もっと悪あがきしてみても良いんじゃねえのか?」

 

容量画を得ない紘一は「何が言いたいんですか?」と聞く。

 

「相手の狙いはシルクレイだ。俺はそのシルクレイの製造許可をこはぜ屋にだけ与えた。つまり、今こはぜ屋以外にシルクレイのソールを製造できる会社はいねえってことだよ」

 

まっすぐに走る

その頃、茂木は控え室で佐山から受け取ったメモを見ていた。毛塚の記録が書いてあるメモを。それを握りつぶし、捨ててしまう。

 

トレーニングの準備をしている茂木に、佐山が話しかけてまた毛塚の記録が出たとメモを渡そうとしてくる。茂木は「いらないです」と拒否。理由を問われ、「自分の走りをするためです」とまっすぐな目で答える。

 

そんな茂木を見て、城戸も優しい笑顔になっていた。

 

こはぜ屋の大勝負

フェリックスの待合室に、御園が人を待つ。その相手は紘一と坂本だった。紘一は御園と会っていたスーツ姿に、こはぜ屋の袢纏を着て現れた。「これを着て、あなたとお話をしたい」と言うのだった。御園もそれを受け入れる。

 

向かい合い、紘一が話し出す。「この袢纏は親父のお古で、ここ50年の酸いも甘いもかみ分けた」と。良い返答が聞けると思っている御園は笑顔。しかし、

 

「申し訳ない!」

 

勢いよく紘一と坂本が深く頭を下げる。「やはり私は会社を売れない!」と紘一は言う。その代わりに業務提携を提案する。

 

フェリックスの製品にシルクレイを使うとしても、独占的に供給させていただくという契約。買収は時間がかかる。フェリックスの商品にシルクレイを使用するとしたら、業務提携だけで良いのではと坂本も話を持ちかける。

 

「それは無理だ」と御園が戸惑った表情で言う。シルクレイを作る設備はどうするのか、うちの要望通りに確実に供給できるのか、問いかける。リスクがなくすための買収案だと言うのだ。

 

紘一は「うちを支援していただけないでしょうか」と返す。どんな形でも良いと。例えば設備をフェリックスに購入してもらって、こはぜ屋に貸すという形を取るとか。「考えていただけませんか?」と紘一は聞く。

 

しかし、御園の答えは「その提案には応じかねる」とのこと。フェリックスで設備を準備して生産を委託するというのは、フェリックスがお金を貸して返済資金もフェリックスが出していることになる。そんなことをするより買収の方が早いというのが御園の理論だった。

 

「その通りです」紘一もうなずく。「しかし、100年ののれんを背負って連綿と受け継がれてきた会社をそう簡単に売るわけにはいかない」とも言う。

 

御園は少し煩わしそうに、陸王を継続させたいのであれば、傘下に入った方が簡単だと諭す。しかし、紘一はその簡単さが自分を迷わせると言い、100年ののれんがそんなに軽いものじゃないと言う。御園ものれんや老舗は耳障りが良いだけで、傘下に入って伝統を守れば良いだけと言う。

 

「それはどの程度本当なんでしょうか?」と紘一はさらに質問する。シルクレイより優れた存在が出てきたら、こんな会社の存在意義はなくなり、いっそ潰してしまえなんてことにはならないかと問うのだ。

 

というのも、坂本に徹夜で調べてもらった結果、フェリックスが数年で急成長して世界的な大企業になった経営手腕は、グループのほとんどが子会社だということにあった。何かが足りないと思えば買ってくる。必要なものを飲み込んで大きくなった。中には買収前と様変わりした会社もある。またある会社は期待された役割を終えて、精算された場合もある。

 

「それが私の責任だと?」御園はいらだちながら聞く。「そうはいってない」と紘一は否定。ただ、こはぜ屋をその中の一つにしたくはないと答える。

 

「世の中には、数が少なくてもうちの足袋を気に入ってくれている方がいる。ランニングシューズも、足袋作りも、やめるつもりはありません。それをやめてしまっては、こはぜ屋がこはぜ屋ではない!」

「利益が少なくても、そうやってここまできた。値段のつけられない価値があるからこそ、100年もやってこられた

 

そして、そんな100年の積み重ねのあるこはぜ屋と、急成長を遂げてきたフェリックスとが、経営理念が違うのは当たり前だとも言う。だからこそ、「買収ではない方が良い」というのが紘一の主張だった。「支援していただけませんか?」

 

紘一の言葉に対して、御園は「融資はつまらない。融資するくらいなら、独自開発する」と言い切る。紘一は「御社にとってはそれでベストにできるんですか?」と問う。わなわなと震えだし、バンと机を叩いた御園は「もうけっこう、なかったことにしましょう」と言う。

 

「あなた方はチャンスを逃した!後悔してもその時は遅い!」

 

そう言って、御園は紘一らを指で指す。

 

立ち去ろうとしたそのとき

 

「バカにしないでくれ!」

 

紘一が怒鳴った。立ち上がって、御園に向かい合う。

 

「たしかにうちは今、設備投資の資金は今はない。ですが、シルクレイを供給してほしいというニーズはほかにも必ずあるはずです!あなたがここまで欲しがったのが、その何より物証明だ!それを、我々が必ず探し出します!

 

そのとき後悔されるのは、あなたの方だ!」

 

そう言い切る。

 

スタートライン

一方、茂木は城戸からマラソンの選手が一人、世界陸上に出られなくなったという話を聞く。陸連は、その空いた枠の候補に豊橋国際の優勝者を考えているらしい。

 

「茂木!豊橋国際へ出ろ!」

 

城戸が命じる。

 

「おまえの走りで世界の切符をつかんでこい!」

 

茂木はまっすぐなまなざしで、力強く頷いた。

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と言う話でした。いやー今回は逃したくないセリフが多くて長くなりました。いやはや。というわけで、感想は次回の記事に書きます。

 

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