シベリア鉄道に乗ったことはないけど、“良い席で”乗ってみたいaoikaraです。一般席は…たぶん途中で降ります。つらい。今もあんな感じなんですよね。
というわけで今回のテーマは…
いだてん 第9回「さらばシベリア鉄道」感想
です。
※個人的な感想なので辛口なコメントを含みます。
※ネタバレもしていますので、まだ内容を知りたくない方はドラマを見てからどうぞ。
▼いだてん 第8回「敵は幾万」記事はこちら
第9回「さらばシベリア鉄道」あらすじ
金栗四三(中村勘九郎)と三島弥彦(生田斗真)は、ついに新橋駅を出てストックホルムに向け旅立つ。ウラジオストクやハルビンを経由してのシベリア鉄道17日間の旅。
不手際で嘉納治五郎(役所広司)の渡航が遅れる中、監督の大森兵蔵(竹野内豊)と安仁子(シャーロット・ケイト・フォックス)のハネムーンのような態度、初めて触れる外国人の横柄さに、四三は不安を募らす。
一方、美濃部孝蔵(森山未來)は、師匠・橘家円喬(松尾スズキ)に「朝太」という名を授かり、噺家デビューに歩み出す!
参考元:第9回「さらばシベリア鉄道」| あらすじ | NHK大河ドラマ『いだてん 〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』
GOODポイント
- 大森兵蔵さんはすごい人なんだけど、目の前で奥さんとイチャイチャされちゃあ頼りないですよね。そりゃ四三も弥彦も白い目で見ます。
- オリンピックの知名度はあんまりないはずなのに、一般の人も色めくといいますか、大きな話題になっていたんですね。驚きました。
- 四三、サインを要求されるなんて!昔は色紙じゃなくて扇子なんでしょうか。しかし、「三島さんの分空けといてください!」と怒られる。女性の本命はほとんど三島さんのようです(笑)
- ちょっと可児先生、大森さんと握手しなさい!w
- 当時はロシアの一部も日本領だったんですね。日露戦争があったから。なるほど。
- ウラジオストクの漢字が、「裏盬(ウラジオ)」と書かれていましたね。なるほど。
- 四三や弥彦、大森兵蔵と同席するドイツ人の人、咳払いの声が嘉納さんに似ていて笑いましたw
- シベリア鉄道の食堂にて、メニューを見ただけで、
兵蔵「Expensive!」
安仁子「ぼったくりじゃないのか!」
日本語と英語逆!こういうちょっとしたシーンに笑ってしまいます。 - がぶがぶビール飲むドイツ人嫌だ~ひどい!
- 四三の海外の人の観察眼は意外と鋭いような。
- 咳払いで眠れないのは四三とスヤちゃんの共通点。微笑ましいシーンでした。
- スヤさんの天然ボケかわいい。「朝こうやってたらいを持って待ってるの」ってお姑さんに言われて、「お母さんが?」と返すところなんかツボです。「あんたが!」とそりゃあキツく言われるでしょう。ってなんだその謎ルール。
- 着物のまま外に出るなと言われて、ふんどし姿で着替えたら安仁子に「きゃー!」と言われて、もう四三は踏んだり蹴ったり。
- 弥彦は鏡の前で30分も身支度を調えているんですかwそりゃあ長い。それにしても体ムキムキ。体作ってますね~。
- 安仁子、出汁の取らない味噌汁はダメだよ。そりゃあ四三も怒るよ。でも、頑なに兵蔵が「おいしいよ!」と言い切る姿が面白すぎました。こりゃあ尻に敷かれていますね。
- 弥彦は海外の女性も口説くのね。どこへ行ってもモテるなぁ。こういう人が生き残るんだよなぁ。
- シベリア鉄道が通るバイカル湖の景色(本物なのかな?)、すごく美しかったですね。社内からの景色は、美術セットだそうです。そして、車窓から見える景色は大根仁監督が、実際にシベリア鉄道に乗って撮ってきたのだとか!すごい!
- わー弥彦の懸垂すごい!ムキムキ!
- 弥彦の寝間着がどう見てもシルクのテカテカでしたね。こういうところにも金持ちの感じが出ていて腹が立ちますw
- 四三と弥彦のいびきのケンカはベタなんですが面白かったです。全力でふざけたら面白い俳優さんたちだからなぁ、そりゃあ面白い。
- 四三が兵蔵のことを「半かじり」と評した絵はがきが届き、可児先生と永井先生はうきうきですね。オリンピック同伴できなかった者同士の醜い嫉妬と傷の舐め合いです。
- 大森夫妻、朝っぱらからいちゃつくでない!歌ったりアイラブユーだったり、もうもうもう…。
- そして安仁子、英語のレッスンを始めるw弥彦はふざけて、兵蔵が安仁子に向けて歌ってたやつを口ずさんだりしています。いいぞ、もっとやれ!
- 大森夫妻の愛情と、オリンピックへの強い思いを知って、永井先生が「知らなかったとはいえ自分が恥ずかしい!消えてなくなりたい!」とまで言うのが素直でよろしい。永井先生はだんだん好きになってしまうなぁ。一方、可児先生は…えーと、言わないでおくw
- 弥彦に目の前で「TNG!」をやってもらって、うきうきの四三がかわいかったです。あれやってほしかったんですねwそして海外の人にもウケていました。まさかの天狗は万国共通!?
- 長~~~いシベリア鉄道が終わり、やっと船に乗れたときの開放感ったらなかっただろうなぁ、としみじみと思いました。
- 実際の大森安仁子さんが夫の兵蔵さんを描いた肖像画が、素敵でしたね。信頼にしている人にしか見せない表情が描かれているようで、素敵だなと思いました
- 公式サイトでの衣装話が面白かったです。史実を生かしつつ、キャラクターを生かしつ。今までの大河ではあまり見ない衣装だったりもするので、楽しいです。
気になったポイント
- OP前の落語の下り、ドラマ『タイガー&ドラゴン』のOP前っぽくて好きです。
- オリンピック派遣団、ところどころで写真を撮っていますが、これ実在している写真なのかなぁ。
- 伊藤博文が暗殺されたというシーンを見て、「あれ?見たことあるな…」と思いました。2018年の大河ドラマ『西郷どん』で伊藤博文を演じていた浜野謙太さんでは…と。そうしたら合っていました。やっぱり。とても珍しい2年連続での同じ役での出演だそうですよ。
- 実次がスヤさんの嫁ぎ先に朝っぱらから行ってましたけど、いやいやいや人妻ですよ!四三からの手紙を見せるためだけに来るのはおやめなさい!わきまえなさい!まあ面白いから良いですけどね(笑)
感想
本番の前からストレスだらけ…
オリンピックで戦うというだけでも本当に大変なことなのですが、そこに行くまでもこんなに大変とは…。本番の前からストレスだらけで、同情してしまいました。
同席者はいびきがうるさい、咳がうるさい。隙あらば妻といちゃつく同伴者に、女性の尻を追っかける選手仲間。
外国人は日本人に対して態度が大きく、外に出れば5月なのに5度で寒くて、怖さも相まっておびえて震えるし。料理もおいしくないし、走れないし…。嘉納さん来ないし!本当に大変だなと思いました。
今も海外に行くのには時間がかかりますが、当時に比べたらずいぶんとラクになりましたよね。オリンピック選手ともなれば、送迎もきちんとしているでしょうし。
いかに当時は日本でのスポーツの価値が低かったか、ということも感じました。
初めて四三が怒った!
四三はシベリア鉄道での旅でストレスを受けまくりで、外国人に対しての敵対心がむき出しになり、ついには弥彦に対して怒鳴るなど、怒っていました。今まで四三が怒ったところは見たことがなかったので、ちょっと驚きました。
穏やかでまっすぐな四三が好きでしたので、こんなところでブラック四三を見てしまうとは…!四三がそうであったように、見ている私も心をかき乱されている気分でした。
また海外で積み重なったストレスで、“日本人”という自尊心が強くなってもいましたね。逆に西洋かかぶれの人間に腹を立てていました。兵蔵を「半かじり」と評したりw
その闘争心がマラソンの走りにつながると良いけどなぁ。
大森夫妻の愛は麗しいけど、選手としては複雑…
そもそも、なぜ大森夫妻がオリンピック選手団の顧問として付いていくのか、たしかに疑問がありました。そこに大森兵蔵という人の功績と、そして夫婦愛があったとは!
兵蔵が病弱なのはなんとなく気づいていました。前も肺を患っているような咳をしていましたしね。肺炎なのもそうだろうなと。移る病気でなかったのが不幸中の幸いでした。
自分が病弱だったからこそ、これからの日本人はそうならないようにと、体育を日本に広めようとした。スポーツを日本の中にも取り込もうとした。そういった兵蔵の考えや価値観は、本当に素晴らしいと思います。
そんな兵蔵はもうあと4年は待てない寿命。オリンピックを見るのが夢だったので、叶えさせてあげたいというのが安仁子の気持ちでした。
実際に海外で学んだトレーニング法の情報量はものすごいものでしたし、海外の概念を日本に取り入れるときの難しさというのもあると思います。それでバレーボールやバスケットボールも取り入れたのだから、兵蔵はすごい。
まさに大和魂でした。見えないところでそんなに熱い思いがあったとは…。
ただ、「選手に迷惑はかけません」との言い分には待ったを唱えたいですね。四三や弥彦に対して迷惑をかけてるよね!というツッコミ所はまあありますけど。
嘉納さんが可児先生や永井先生には大森夫妻のことを教えたけど、四三や弥彦はあまり知らないわけで…。ただ奥様といちゃついている人と見えてしまっても仕方ないかなと。
本当にすごい人で、日本のスポーツが発展して今があるのもこの人のおかげなんだと思います。しかし、当の選手としては複雑な心境もあるのかなと思いました。
ケンカを乗り越えて、同志になって、スタジアムで胸が熱くなる…
生まれも育ちも考え方も全く違う四三と弥彦ですが、オリンピックまでの期間にさまざまなことを通して、仲間としてほどよく仲良くはなりました。
が、ストックホルムまでの道中で、飽きるほど顔を合わせていれば、そりゃあケンカにもなりますよね。割と人が良い二人なので、ケンカになるのは意外でした。まあいびきとか、くだらないことでしたけどね。
ただ、四三がどうしても我慢ならず、何もかもわけがわからず、どうしてオリンピックに行くのかと怒りを爆発させていました。すると弥彦が食堂車に連れて行き、最後の晩餐だと好きな物を食べさせます。空腹で余裕がないと思っていたのかもなぁ。
イライラしていた四三ですが、料理を食べるのもキレイで、テーブルマナーはきちんと身についていました。雑で発音もめちゃくちゃだけど、英語も通じました。お酒を飲んで良い気分なのも相まって、少し自信がついたのかなとも思いました。その後は、いつもの四三のような明るい表情でしたね。
そのとき、四三の方から握手を求めたのは同志という感じがして良かったです。四三は弥彦にどこか遠慮していたような印象もありましたが、ケンカやら何やらでその壁も取っ払い、やっと対等になれたような気がします。「TNG!」も頼めましたしねw
やっとストックホルムに着いて、二人でスタジアムを初めて見た瞬間は、胸に迫るものがありましたね。圧倒されるような。大きくて、整備されていて、やっと辿り着いたんだという感動のようなものがありました。
「必ずやあのポールに日の丸を掲げん」
という四三の決意には力強いものを感じました。ただ走ることが好きだった青年が、日本の代表となり、海外の荒波に飲まれて、それで強い決意を胸にした。やっぱり四三はまっすぐでした。
スタジアムにやってきた四三と弥彦の撮り方が、ドキュメンタリーっぽく感じられました。本当に初めて日本人がオリンピックに出場した瞬間をとらえた、ドキュメンタリーのような。
あれは本当にストックホルムオリンピックで使われたスタジアムだそうです。今でも残っているというのが現代の人間としては感慨深いですね。今見ても胸に迫るものがありますから、日本の初めてのオリンピック代表となった二人は、もっともっとこみ上げる気持ちがあったのでしょうね。
嘉納先生、どうなる!?
嘉納先生が行けなかったのはなぜだろうと思っていたのですが、政府の人間だから、手続きが必要とのことだったのですね。それをやってなかったのは嘉納さんの不手際とはいえ、政府の人間がこんなにオリンピックに関心がないのもいかがなものかと思いますよ。
「そんなの待ってたら、オリンピック終わっちゃうよ!」という嘉納さんの言い分はごもっとも。で、結局まだ日本にいるんだけど!おーい!今週は嘉納先生、ほとんど怒っただけ。どうなるんだろうなぁ。
朝太おめでとう!
オリンピックに話を取られてしまいましたが、そういば美濃部孝蔵にも良いことがありましたね。やっと師匠から初給金をもらい、「朝太」という名前ももらいました。めでたい!
そのときにもらった給金が、たったの「五厘」。食べるよりも苦労して芸を磨けとの師匠の想いがあったそうな。今でも取っておいてるという志ん生さんに、当時の強く揺るがない思いを感じます。良い話ですね。
志ん生さんの弟子の「五りん」君も、オリンピックの五輪ではなく、こちらの「五厘」だったとは!
次回:異国はつらいよ
四三はストックホルムの白夜に苦しめられ、体調が芳しくない。一方、兵蔵の教えを請いたいが体調が良くなく、四三や弥彦は独自でトレーニングをすることに。しかし、海外の選手は皆監督の的確な指導を受け、四三と弥彦は取り残されているような気分になり…
白夜ってきついよなぁ。自律神経おかしくなりそうです。予告を見ると、弥彦の方が参ってしまっているようで、四三が励ますのかなと思いました。嘉納さんや兄の実次に掛けられた言葉を、弥彦にも伝えるようです。
いやあ、本番までまだまだ大変なんですね。見ている方もつらい気持ちになります。そして、嘉納さん、早く着いてね!
aoikara
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*1:衣裳コーディネート・宮本まさ江インタビュー | NHK大河ドラマ『いだてん 〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』