70億分の1くらいの奇跡で生まれたaoikaraです。人との出会いは全てそういう奇跡ですね。なんかホストの口説き文句のようにも聞こえます。
というわけで今回のテーマは…
相棒17 第13話「10億分の1」感想
です。
※個人的な感想なので辛口なコメントを含みます。
※ネタバレもしていますので、まだ内容を知りたくない方はドラマを見てからどうぞ。
▼相棒17 第12話「怖い家」記事はこちら
第13話 ゲスト・スタッフ
- ゲスト:大和田美帆 大路恵美
- 脚本:神森万里江
- 監督:片山修
第13話「10億分の1」あらすじ
ある夜、冠城亘(反町隆史)は、思い詰めた表情で橋の上にたたずむ女性に声を掛けるが、女性は立ち去ってしまう。
数日後、橋本美由紀(大路恵美)という。冠城が声を掛けた女性がビルから転落死する事件が発生。警察は自殺と判断するが、杉下右京(水谷豊)は遺体の状況に不審を覚え、彼女の死に責任を感じている冠城と共に調べ始める。
すると、美由紀は半年前から無職の状態で、ネットカフェで暮らしていたことが判明。フリマアプリで、日銭を稼いでいたことが分かる。
取引履歴を見ると、彼女が行っていた売買の中で、“母の形見”という出品名の品だけが、不可解な高値がついていた。
さらに調べを進めた右京と亘は、美由紀が転落死したビルで清掃作業をしていた中野絢子(大和田美帆)という女性が、フリマアプリを通じて美由紀と繋がりがあったことをつきとめる。
追及された絢子は、「売買のやり取りをするうち、世間話をするようになっただけだ」と主張するが…。
GOODポイント
- 角田課長の特命係に対する「暇だから手伝え」精神好きです。「言われてないこともやってよ」は今時パワハラになるのでお気を付けください。
- 右京さん、さっと目を通しただけのネオゴーストの資料を完璧に暗記している…。さすが。
- サイバーセキュリティ対策本部に来て、「ん?」「あれ?」とか言いながらスマホをいじってる冠城君。そりゃあ青木君に「気が散る」って言われますよね。作業中でそばにあんな人がいたら、たしかに青木君並みにいらっとします。
- バラバラに見えていたデータをきちんと分析した青木君すごい!普通にすごい!偉いぞ!
- でも、冠城君も右京さんもお礼言わないの。右京さんがすぐに去って行くのをみて、「あっ…」みたいになってる青木君がかわいそうに。部下が部下なら、上司も上司ですね。こういう感じだから、青木君に恨まれるんだよなぁ。
- オラオラモードの冠城君はカッコイイ。
気になったポイント
- 右京さん、遺体をまたがないで…。ちょっとびっくり。
- 映し方がいつもと全然違いましたね。シュッと振る感じ結構違和感。
- ネットカフェの店長か店員さんか、名前だけでどの部屋の人かわかるってすごいですね。
- 笠原秀幸さん、また出てた。相棒によく出ていますね。
- 冠城君が殴ったのかわかりませんが、ヤクザの人吹っ飛ばされすぎじゃないですか。漫画かと思った。
- 託児所の女性、右京さんと冠城君が警察だと名乗ってないのに、個人情報しゃべりすぎじゃないですか?
- 地味に絢子さんの同僚のメガネの男の人、大っ嫌いです。フリマアプリのページ見て「生活感でまくり」とか、宅配業者の人と愛想良く楽しく話しているだけで「話し相手いないの?」とか。きっとシングルマザーってだけで下に見て、マウント撮ってくるんだろうなって。寂しい人生だよね。今回の話で一番嫌いな人物です。
- 宅配業者の人が探しに来ていたけど、もっと前に探しに来る日あったのに、なぜわざわざ今?そして右京さんと冠城君は暗い中ずっと待っていたのかと思うとかなりシュール。
感想
今どきな話題を取り入れて挑戦的
今回は今話題になっていることがたくさん盛り込まれた話でした。ネットでヤバイものが売られている(この前ウランってありましたけど)とか、裏社会の人がそういうのを利用しているとか、フリマアプリで稼ぐとか、孤独から犯罪に手を染めてしまうとか…。
本当にたくさんのことが盛り込まれていましたが、話としてきちんとつなげられていましたし、挑戦的ではありましたがよくできているなと思いました。
たしかにフリマアプリって自分の素がさらけ出される部分で、覗き見されているような感覚になるという視点は面白いなと思いました。出品者を見てどんな人物か、と考えたことなんてありませんでしたが、そういう見方もあるのかと。面白いですね。
孤独な女性二人だけど全く違う
物語に出てくる二人の女性は孤独だからこそ出会い、仲良くなり、しかし一人が死ぬ運命となってしまいました。孤独だったけど、その生き方は全く違ったんじゃないかな、と私は思います。
シングルマザーの中野絢子さんは、一人で育児も仕事も頑張っていて、自分の居場所を失っていました。そんな孤独からフリマアプリというつながりができて、ハマってしまった女性。そして、嫉妬心から同じ孤独だった女性を犯罪に巻き込んでしまいました。
孤独な気持ちは、よーくわかります。私も一人だと寂しいし、かなり孤独を感じるタイプですし。誰かがレスポンスを返してくれることに安心して、そこが居場所だって思う気持ちわかります。孤独の描き方がうまい。
でも、それは自分で幸せになれない方法というか、誰かが認めてくれないといられないというか。だからこそ、すぐ誰かを羨んでしまう部分もあるわけで。気持ちがわからないでもないですが、友達を売ったのは心底ひどいと思います。
一方、思い詰めた表情で橋に立っていた橋本美由紀さん。冠城君が心配して声をかけますが、そんな気はなく、「やらなきゃいけないことがある」と返したものの、転落死した遺体で発見されてしまいます。
しかも無職でネットカフェに住み、フリマアプリで生計を立てていたことまで判明。彼女も孤独な人のようでした。
「やらなきゃいけないこと」がヤバイなことで、それに巻き込まれて殺されたのかなと思いきや、絢子さんとその息子さんを救うためだったんですよね。自殺してしまったのかと思いきや、強い意思の女性でした。
絢子さんは、フリマアプリで良い服を売って、周りから高評価を受けている美由紀さんを羨んでいました。本当はネットカフェに暮らす孤独な人なのに、違う自分を演じていたから好かれているんだと。
でも、それは違うと思います。たぶん、優しいし、まっすぐな人なんですよ。美由紀さんの人柄が、アプリ内でも伝わっていたから、評価が高かっただけだと思います。
同じ孤独な女性ですが、全然違うなと。そしてまっすぐだからこそ、美由紀さんが死んでしまったのは、あまりにも悲しいです。
名作になりそうなのに…惜しい
今回の話、正直、最後まで集中して見られませんでした。物語への興味が持てなかったというか…。なんか、途中でぼーっと見てしまって。
すごく良い作品だとは思うんですよ。名作になりそうな感じもあって。
今どきにありそうな話題を取り入れて、孤独な女性の対比が良かったり、人の特徴と個人情報を知り得る人物が犯人だったという宅配業者設定、自分には不要なものが相手にとっては必要が良いエンドとなる、などすごく良い点が多いんです。
だから、「面白かった」という人もたくさんいると思います。しっかり作られています。だけど、私は気になるところがありすぎて、違和感が多かったです。
捜一二人を無能キャラにしすぎでは?
捜査一課の刑事が、転落した遺体見ただけで「事件性はない」とは判断しないと思うんですよね。あらかた調べてから、自殺だと判断すると思います。そもそも遺書もないし。
特命係が調べる流れのためだけに、捜一を無能にする必要はないよなぁと。今までもたくさんそういう演出はありましたが、今回はその傾向が特に強かったように思います。
伊丹が冠城君に対しても1回合っただけの女性に「おまえが救えなかった」「何の役にも立てず」と言ってましたが、伊丹そんな風に言わないと思います。ちょっとキャラが変。演技でだいぶちゃんと伊丹にしていますけど。
右京さんが遺体に触れたか芹沢に聞いたときも、「触れてませんよお!」って語気強でちょっとキレてましたよね。いや、そんなキレるタイプじゃないよ。「触れてませんよ?」って穏やかに返すだけだと思うなぁ。まあ、個人の感想です。
怪しい人バレバレの演出
怪しい人の演出もバレバレだったというか…
- 子どものクレヨンが映る。宅配業者の男性の胸ポケットのボタンが取れて赤いクレヨンがついてる。→子どもと何かあったのかな。
- 子どもが何でも口に入れる→ボタン誤飲したのかな。
- 「がらがら」という音→宅配業者
伏線って言うかバレバレだなぁと。冒頭でわかりやすすぎてちょっと萎えました。
説明セリフの伏線が多い
「あ、これ伏線なんだろうな」というわかりやすい伏線が多かったです。たぶん説明セリフだから違和感がある。こんなこと言わなくても良いのに、わざわざ言うってことは意味があるんだろうな、みたいな。
「顔の見えない相手」「フリマアプリは取引で評価が厳しい」「男の子が口になんでも入れる」とか。もう少し自然が良いかも。
絢子さん察しが良いのか悪いのか
絢子さん、頼まれたフリマアプリの商品である宝石箱の中に鍵があるだけで「騙されてたんだ」って気づきますかね?私なら「何これ?」と思って、何の気なしに「鍵なんなの?」って聞いちゃうか、怖くなって見なかったフリして、フェードアウトしようとします。
「あっ、ロッカーの鍵のやりとりのために私利用されていたんだ!」とまで思うって、かなり察しが良くないですか?そんなにわかるかなぁ…。
しかも、騙されていたってわかって、相手に言いに行くってかなりリスク高いですよね。そこまで思ったなら警察に通報すれば良いのになぁと。
その割りに宅配業者さんのことは何も気づいてなかったですし。絢子さんは鋭いのかそうではないのか、ちょっと利用され体質すぎないかと感じてしまいました。それだけ自分を必要とされたかった、という孤独があったのかなぁ。
犯人の口から語らせすぎ
今回は右京さんとか冠城君が推理しているのが、あまり感じられなかったんですよね。犯人の口からたくさん語られすぎて、導いてきた感じがしないからでしょうか。もう少し、推理を話す右京さんが見たかったです。
女性が自ら「嫉妬している」とは言わない気がする
これは私の個人的な考えなんですが、女性は嫉妬しても自分から「嫉妬している」と言わないと思います。というか、自分でもやもやする感情の正体を、嫉妬と理解できてないことが多いのではないかと。
同性に対して、「なんかイヤ」「なんかむかつく」の正体が嫉妬であることが多いんですよ。自分ではっきりと気づけていなくて。
絢子さんが美由紀さんが良い自分を演出していると嫉妬していたわけですが、それも自らの口で言わないような気がして。「どうして私がそんなことするんですか?」とか言って、右京さんが「嫉妬でしょうかね」みたいに言いそうなんですよね、分析として。
あとは冠城君の方が女性の機微については詳しいですから、「嫉妬、かな」とか言って、分析してそうな気もします。右京さんが「それは気づきませんでしたね~」と感心する、みたいな。勝手にイメージを作るのが私の悪い癖ですね。本当に反省。
絢子さんにもっと厳しくするべきでは?
絢子さんに対して処遇が甘いよな、とも思ってしまいました。友達だった美由紀さんを犯罪に巻き込んで、そのせいで死んだといっても過言ではないですよね。それでも美由紀さんは絢子さんの息子さんまで、守ってくれたわけですよ。
絢子さんは犯罪に荷担しただけでなく、美由紀さんに責任を押しつけようとした。右京さんと冠城君に話を聞かれたときも、美由紀さんを悪者に仕立て上げていましたしね。
かなりひどい人だと思います。許されるべきではないし、右京さんはもっと厳しく言うべきだったと、個人的には思います。孤独は言い訳にならないし、同じ孤独の美由紀さんは立ち向かっていました。
罪に問われないみたいな感じで(書類送検はされるのかな?)、やり直すよう優しく諭すのは甘いなぁ、と。いいように描いてるけど、かなり自分勝手だし、利己的で、あんまり良い人とは思えませんでした。
唐突なタイトル回収
なんでタイトルが「10億分の1」なんだろうと思っていましたが、「出品数が10億超えたから、10億分の1の出会いだね」…ってこの話との脈絡は?孤独とつなげているのでしょうか。個人的には唐突でした。うーん。
転落する男の子を抱きかかえて、自分が下になって、男の子が無傷で、男の子は自分で戻った…!?
話の核である転落の件がちょっと無理ありすぎません?転落しそうになった男の子を支えて、空中で一回転して、自分が下敷きになって身を挺して守った。
男の子は奇跡的に無傷で、自分で部屋に戻る…。いやいやいや、誤飲するような年齢の子が、何回も上の事務所に一人で戻れるの?どういう年齢設定なの?
これはさすがに無理があると思います。
*音楽を途中で止める演出を多用しすぎ
音楽を途中で止めて、空気を変えるとか、緊迫感を出す…という演出を多用しすぎです。3回か4回ありましたよね?
相棒ではあまりないんですよ。音楽を止めるのって。最後のコメディシーンとかではありましたけど。やりすぎな感じがして、萎えました。「あ、またこれだ」となって。
気にしたら気になるってだけで、良い話だとは思います。たぶん私とは合わなかったというだけの話です。ごめんなさい。
次回:元人気キャスターの妻が消えた!
冠城の学生時代の知り合いである坂崎から相談が持ち込まれる。妻が消えたというもの。妻は元人気キャスターで、最近ストーカーされていたという。しかし、ストーカーを仕組んだりDVをしていたのは坂崎だとわかり…
ゲスト:宮川一朗太 東風万智子
脚本:根本ノンジ
監督:片山修
今まで、脚本が苦手ってあったけど、演出が苦手ってのはなかった。この監督さん苦手かもしれないです。根本さんはコメディだと面白いから、その方向性でお願いしたいなぁ。
これは実は全部奥さんが仕組んでいるんじゃないかなぁ。夫のDVから逃れるために、夫を陥れるために仕組んでいたとか…どうでしょう?まだ見てもいないのに勝手に推理してしまいました。次回も楽しみです。
aoikara
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