戦わないaoikaraです。戦うときは戦うけれど、できれば戦いたくないですよ。平和が良いですよ。
というわけで今回のテーマは…
西郷どん 第38話「傷だらけの維新」ネタバレ
です。
※個人的な感想なので辛口なコメントを含みます。
※ネタバレもしていますので、まだ内容を知りたくない方はドラマを見てからどうぞ。
▼感想記事はこちら
▼西郷どん 第37話「江戸無血開城」記事はこちら
第38話「傷らだけの維新」あらすじ・ネタバレ
手段を選ばず
長州藩の大村益次郎(林家正蔵)の差配により、上野の彰義隊はわずか一日で新政府軍が討伐した。しかし、会津ほか東北各地の諸藩が新政府軍に抵抗を試みていた。
大村は西郷吉之助(鈴木亮平)に、薩摩からの援軍を送り込むようにと告げられる。吉之助は弟の信吾(錦戸亮)や小兵衛(上川周作)も連れて、急ぎ薩摩に戻る。
薩摩での働き
薩摩の西郷家に戻ると、家族が皆あたたかく迎え入れてくれる。未だに居候の川口雪篷(石橋蓮司)いる。小兵衛は信吾が撃たれて生死をさまよったことを、まるで自分の武勇伝のように語り、家族を笑わせている。熊吉(塚地武雅)は感動的に話を聞いている。
吉二郎(渡部豪太)はいつも通り、優しく微笑んでいる。
また糸(黒木華)は、大島にいる吉之助と愛加那(二階堂ふみ)の息子・菊次郎に書物を送っていた。この家に迎えた方が良いのではないか、という話も打ち明けるが…。
吉之助は城に向かい、薩摩藩主の島津茂久(長田成哉)と国父の久光(青木崇高)に、新政府への援軍を進言する。それは薩摩のためになるのかという久光の問いに、吉之助はうなずく。久光は受け入れ、全てを吉之助に一任する。
優しい弟の真意
吉之助が次々と薩摩から援兵を送る中、どこか羨ましそうな表情で兄や弟を見ている吉二郎。朝早くに畑を見ると言いながら、手には木刀を握っているところを信吾に見つかってしまう。
吉二郎も侍として戦働きがしたいという気持ちを明かす。信吾は止めるが、「おいにわいの気持ちがわかるか!」と吉二郎の気持ちは収まらない。
二人とも木刀を構えるも、吉二郎は信吾に全く歯が立たなかった。信吾は怒ったように自分の傷跡を見せ、「片方の耳が聞こえんようになってもよか?」と感情的に言う。戦での犠牲をはっきりと伝える信吾だったが…。
弟の願い
吉之助が家に戻ってくると、市来の家に嫁いだ妹の琴(桜庭ななみ)が怒った様子で待ち構えていた。ほかにも貧しい人がいるから贅沢をしない吉之助の心がけは立派だが、家にいる者は皆ひもじく大変だと訴えるのだった。
特に我慢を強いられているのは吉二郎だとも言う。吉二郎に、何でも欲しいものを言うようにと促す。すると、吉之助も言うことを聞こうという姿勢を見せる。
吉二郎は少し考え、姿勢を直し、「戦働きがしたい」と言った。そばでは信吾が複雑な表情を浮かべている。自分も侍として戦場に出たいという思いを、吉二郎は述べて、吉之助に頭を下げる。
吉二郎の妻・園(柏木由紀)は、戦には言ってほしくないという思いを明かす。それでも、嫁いで初めて夫が何かしたいと言ってくれたので、気持ちを尊重したいと、吉二郎と一緒に頭を下げる。
吉之助はそれを受け入れる。信吾や小兵衛も共に、吉二郎は園に見送られて、戦場へ出立する。
求める人
弟達が出立した数日後、薩摩に残った吉之助の元に、深刻な面持ちの村田新八(堀井新太)がやってくる。新政府軍と戦う長岡藩がガトリング砲という、銃弾を飛ばし続ける武器を使用してきたことを明かす。
新政府軍の士気は下がるばかり。挽回するためにも、「西郷吉之助様に出張ってもらわにゃ」と新八は言い、吉之助も承諾する。
窮状の知らせ
こうして吉之助は軍艦で越後にやってきた。松ヶ崎の本陣にて、今後の戦について話し合わせる。そこに、血相を変えて信吾がやってきた。
吉之助は勝手に軍議に入ってきた信吾を叱るが、もはや泣きそうな顔の信吾は聞き入れない。そして、吉二郎が銃弾に倒れたことを伝える。吉二郎は叫び苦しむほどに、事態は深刻だった。
吉之助の顔を見れば気を持ち直すかもしれないと、信吾は吉二郎に会うように頼む。自分のときのようにエゲレス人の医者もいないと。しかし、吉之助は兵の命は皆同じで特別扱いはしないとして、軍議を続けるのだった。
終わらない戦
北越戦争は双方の死者千五百という激しい戦場の中、新政府軍の勝利に終わる。しかし、その新政府軍にも死者やけが人であふれかえっていた。
けが人が収容されている場に吉之助が現れると、「西郷様」と皆がありがたがる。吉之助は、戦に勝てたことを称え、皆を鼓舞する。
その奥には、静かに眠る吉二郎と、そばを離れぬ信吾と小兵衛の姿もあった。吉之助がそばに寄ると、吉二郎はうっすらと目を開く。青白い顔で何かを伝えようと、口を動かしている。
「侍働きができて…うれしかった。ありがとさげもした」
弱々しい声で、それでも精一杯笑顔になろうとして、涙を流しながら吉二郎は言った。愛おしそうに吉之助の顔をそっと撫で、そのまま眠るように息絶えた。
信吾と小兵衛は兄の死に涙が止まらなかった。吉之助は、現実のこととして受け入れられないような硬い表情をして、それでも弟をしっかりと抱きしめた。
この後も、会津、庄内、そして函館と戊辰の戦は続いた。
新しい時代に必要な人間
時代は明治へと変わり、大久保一蔵を初めとして、岩倉具視や桂小五郎、西郷吉之助によって新政府が動き出そうとしていた。江戸城は東京城と名を改められ、明治天皇の新しいお住まいとなった。
吉之助は一蔵を呼び出していた。錦の御旗が置かれた部屋で、二人は久しぶりに顔を合わせる。
うるさ方の公家達を京へ置いてくるために、東京に来たのだろうと喜之助が一蔵の真意を見抜く。一蔵は自分の心の内を読んでいる吉之助に、心を許しているようなうれしそうな笑顔を見せる。
「一蔵どん。実は京は頼みがあって来た」吉之助は改まって言う。
「おいは薩摩に帰らせてもらいたか」
一瞬の沈黙。困惑したように一蔵はふっと笑い、「ないを言うか」と返す。「もう、おいの役目は終わった」という吉之助に、「ないも終わっちょらん!新政府はこいから始まるんじゃ!」と一蔵は食い気味に、そして早口で言う。焦っているかのように。
「わかっちょう。じゃっとん、大久保一蔵どんがいれば、もうないも心配いらん」安堵した笑みで、吉之助はそう語りかける。しかし、一蔵の険しい表情は変わらない。
「吉之助さあ、元はと言えば、幕府を倒せ、新しか国を作れち言ったんはおはんじゃ!」
「そうじゃ」
「じゃったら…!」
「そんために…おいは…。おいは、こん手で全てを壊した。こうして、多くのもんたちを死なせてしもうた。そん責めを負わねばにゃらん」
「そいが民のためん新しか国を作ることじゃろ!」
「すまん…一蔵どん」
吉之助の気持ちは変わらない。同時に、一蔵の受け入れがたいという気持ちも変わらない。一蔵はじっと吉之助から目線をそらさない。
「勝手なこつを言うな。幼か頃から西郷吉之助の背中を追いかけ、やること言うことをただひたすら信じてきた。おはんと共に手を取って、新しか国を作ることだけを目指してきたんじゃ!」
もはや訴えでもあり、叫びのようでもあった。「一蔵どん!」吉之助はその声を止めるように、呼びかけた。そして、自分が片時も離さずに持ち歩いていた、小袋を手渡す。一蔵の目は冷たい。
「ないのつもりじゃ?」
「世界に負けん、強い日本国を作ってくいやい!」
そして、吉之助は一人で去って行った。一蔵は、目から粒のような涙がこぼれる。わからないというように首をかしげる。
吉之助から手渡された小袋に手を伸ばし、中の者を取り出す。しわくちゃの紙に、「Cangoxina」と書かれていた。吉之助が子どもの頃、島津斉彬から受け取った物だった。
一蔵は困惑したような表情で、少し首を振る。次第に、表情が緩む。声をあげて、笑い出す。涙をこぼしながら、笑い続ける。どんどん、狂っていくように、笑い声が大きくなっていく。
どんっ、と一蔵は目の前の机を叩く。激しく紙をしわくちゃの紙を握りしめて。もう、一蔵の笑い声は聞こえなかった。
西郷の家
吉之助は、信吾や小兵衛を連れて薩摩の家に戻る。家の者たちが皆で出迎えてくれた。園は、いない吉二郎のことを伺う。
吉之助が、吉二郎の遺髪を手渡した。園は呆然とした表情で遺髪を見つめる。信吾が、吉二郎がいかに立派に戦ったかを伝える。皆が臆するところでも、積極的に攻めに行ったと。
園は、自分の夫が本望の中、命が尽きたことをせめてもの幸せと受け止めていた。それでも、園の目からは涙がこぼれる。吉之助は何も言えなかった。
家の中に入ると、糸が吉之助に呼びかける。家の床の下に隠すように置かれているのは帳簿と、そして壺いっぱいに入っている銭だった。
実は吉二郎が家のやりくりで金を貯めていたのだった。それもこれも吉之助のためだった。いつまた吉之助が何を思い立つかわからない、そのために。ただ吉之助の気がかりにはなりたくないと、皆にはきちんと口止めしていたのだった。そんなことを、雪篷が微笑ましそうに語る。
吉之助は縁側に行き、吉二郎がつけていたという帳簿を手にする。表紙をめくると、そこにはあまりにも細やかに、丁寧に、ときに苦心しながらも金を捻出しようとする吉二郎の苦労が見てとれた。
吉二郎は紙をめくって帳簿を見ようとする。しかし、手が震えてめくることができなかった。
吉之助の声が、慟哭として家の中に鳴り響く。弟の名前を言いながら。吉之助は弟を亡くした哀しみの涙を流す。
新しい時代へ
その夜、吉之助は覚悟を決めたように、短刀を手にする。そして、長く結い上げていた曲げを切ったのだった。
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という話でした。吉之助自身が、何のための戦なのかわからなくなってしまったのかもなぁ。次回からは散切り頭の吉之助を見ることになりそうですね。長くなりましたので、感想記事は次記事で書きます。
aoikara
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