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西郷どん 第17話「西郷入水」ネタバレ 希望が絶望に変わるとき

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昔はそこそこ泳げたaoikaraです。今は泳げる自信がないな。海は寒いし怖いしね。というわけで今回のテーマは…

 

西郷どん 第17話「西郷入水」ネタバレ

 

です。

※個人的な感想なので辛口なコメントを含みます。
※ネタバレもしていますので、まだ内容を知りたくない方はドラマを見てからどうぞ。

 

▼感想記事はこちら

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▼西郷どん 第16話 記事はこちら

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第17話「西郷入水」あらすじ・ネタバレ

 逃げる者たち

西郷吉之助(鈴木亮平)と月照(尾上菊之助)は江戸から追っ手逃げるため薩摩へ向かう。吉之助の郷中仲間・有村俊斎(高橋光臣)も伴って。

 

激しい雨が降る中、吉之助は月照を背負い、必死に歩く。しばし休憩を取りつつ、今後について話し合う。

 

現在は熊本。薩摩まではもうすぐで、国に戻れば助かったも同然だと俊斎は言う。月照は二人に深く感謝しつつ、申し訳なさそうにしている。悪い咳も出て体調も段々と悪くなっている。

 

考えなければならないのは厳しい関所をどう抜けるかということについて。吉之助は、京都の寺から薩摩の寺へと向うお使い僧のふりをしようと提案する。そうすれば月照の京言葉も筋が通る。月照もその案に乗り、関手形をうまいこと作るとにやり。しばし和やかな雰囲気に。

 

しかし、追っ手らしき声が聞こえて、すぐにまた出立することに。先を急ぐために、月照を背負って吉之助は歩みを進める。

 

帰郷

激しい雷雨の中、吉之助たちはなんとか薩摩の実家に戻ってきた。吉之助の突然の帰りに、弟の吉二郎(渡部豪太)や使用人の熊吉(塚地武雅)、妹の鷹(原舞歌)らは驚く。

 

吉之助は月照を託し、着替えと布団を敷いて休ませるようにと伝える。この月照の存在や吉之助の身なりにも家族は驚き心配する。

 

家族が月照を運んでいるときに、祖母のきみ(水野久美)が吉之助のもとにやってきて「やっと帰ってきたか、吉兵衛!」と言う。吉之助の父親と勘違いしている様子で、疑うそぶりもない。吉二郎が吉之助だと諭すも、聞き入れてくれず。

 

月照は着替えて、別室で横になり休んでいる。吉之助は、吉二郎からきみが弱ってきて弟たちのこともわからなくなっていると初めて聞く。

 

鷹が「あんお坊様はどなたでございもすか?」と聞く。吉二郎が諫めるも、吉之助は「月照様じゃ」ときちんと答える。亡き島津斉彬(渡辺謙)と縁が深い人物なので、守るために薩摩に連れてきたとも説明して。

 

この家に身を隠していただくとして、「命にかえてもお守りせにゃならん」と吉之助が言うと、弟が「わかりもした!」と意気込み、熊吉はやってきた者を追い払うと木の棒を刀のように振り回す。そんな姿を見て、吉之助は久しぶりにほっとしたような笑顔を浮かべる。

 

薩摩の行方

江戸から前藩主の島津斉興(鹿賀丈史)と側室のお由羅(小柳ルミ子)が薩摩に戻ってきた。鶴丸城にて久光(青木崇高)とその息子・茂久(中島来星)が会いにやってくる。

 

斉興もお由羅も変わりない様子。斉興は茂久の成長を快く思っているような口ぶりで二人を眺めている。

 

久光が会いに来た理由を話そうとすると、「みなまで言わんでもわかっちょう」と斉興。斉彬がこの世をさり、これからの島津家のことについて「相談にまいったのであろう」と斉興は言う。

 

「ご相談ではございもはん」と久光は言う。「願いをお聞き届けしていただきたく、まかりこしました」とまっすぐな目で。

 

三ヶ月前。斉彬が床に伏せている際、久光がベッドで寝ている斉彬の横に座り、今後の薩摩について話をする。近くにはまだ赤ん坊の哲丸もいる。斉彬の唯一の嫡子である哲丸を中心として家臣が支えていくと、つまり哲丸を次の当主にすると暗に言う久光。

 

斉彬は黙ったまま。そばにいる側室の喜久が、「この子はまだ赤子です」と不安そうな面持ちで進言する。

 

「茂久じゃ…」

 

静かな声で斉彬がぽつりと言う。「茂久に家督を」とはっきりと述べた。斉彬は、島津家の家督争いを喜んでいる連中が家中にもいると苦言を呈する。久光はそれがまた騒動の元になると理解する。

 

「それを避け、茂久を支えられるのはおまえしかおらん」と、斉彬はきっぱりと述べた。久光は思いを受け取り、斉彬の手をひしと掴んで「兄上が命を懸けて作ってきたこの薩摩、必ず守り通しもす!」と強く言う。「頼む」とか細い声で言う斉彬に、「しかとうけたまわりました」とさらに念を押して。

 

だからこそ、久光は茂久を当主にし、自分が後見になることを斉興に願い出たのだった。深く深く頭を下げて、父親からの返事を待つ。

 

斉興は久光をにらみつけるようにじっと見てから、「あいわかった」とあっさりり受け入れる。「よかとじゃなかか?」お由羅に同意を求め、「何も申すことはありません」とお由羅も答える。

 

久光は安堵したように「ありがとさげもす!」と本当にうれしそうに頭を下げる。自分の願いを聞き及んでくれたうれしさからから、

 

「おいは兄上のご無念を晴らしたかち思いもす」

 

という真意も明かす久光。うれしそうに。それを聞いた斉興は少し眉をひそめて「そいはまた薩摩から兵を挙げっちゅうこつか?」と聞く。久光は爛々とした目で「はいっ!」と答える。お由羅は立派に成長した息子を見て感動している。

 

「はっ」笑うように斉興が息を吐き、「本気か、久光?」と聞く。心底面白いというように高笑いをして。久光は満面の笑顔だった。

 

すれ違う心

十四代将軍として紀州藩主の徳川慶福(荒木飛羽)は家茂と名を改める。まだあどけない表情も残る、とても若い将軍であった。

 

江戸城にて、家茂は篤姫(北川景子)と会う。篤姫もまた、天璋院と名を改めていた。家茂のそばには大老の井伊直弼(佐野史郎)が、天璋院のそばには幾島(南野陽子)がいる。

 

「恐れながら上様、これからはわたくしをまことの母と思うてお頼りくださいませ」にっこりと優しい笑顔で天璋院は述べる。すると家茂は「母上」と呼び、「一つお聞きしてもようございますか?」と聞く。「なんなりと」と天璋院は優しく受け入れる。

 

「母上は私のことがお嫌いではないのですか?」

 

家茂の言葉に、天璋院は驚く。

 

「何をおっしゃられるのですか。そのようなはずは…」

「母上は、私が徳川の家を継ぐことを良く思ってなかったと聞きました」

 

天璋院の言葉を遮るように、食い気味に家茂は言う。不信感が言葉からにじみ出ており、天璋院は言葉を失ってしまう。

 

「さ、上様、そろそろ参りませんと」直弼の言葉に促されて、家茂は席を立つ。立ち上がったまま天璋院を見て、「私は母上を信じることができませぬ」と家茂はきっぱりと告げた。

 

天璋院は戸惑いを隠せぬまま、「上様、お待ちくださいませ」と必死にすがるも、「天璋院様、お聞き分けくださいませ」と直弼に諭されてしまう。「上様には天下の政が控えておりますゆえ」と。

 

天璋院は何も伝えることはできず、家茂は去ってしまった。

 

それぞれの決意

朱い紅葉の葉が散りゆく夕方。天璋院と幾島が二人。幾島は「いっそおいとまをちょうだいいたしましょ」と言う。一橋慶喜(松田翔太)を新しい公方様にすることが我らのお役目だった。しかし、我らはその戦に負けたのだと。天璋院は十分につとめを果たしたのだから、薩摩へ戻りましょうと言うのだった。

 

天璋院は驚いた顔をして、すぐに穏やかな表情になり言う。「いいえ、私はやはりここにおる」と。

 

「それに私に帰るべき家はもう薩摩にはない。私のお家は徳川じゃ」

 

堂々と述べる天璋院を見て、幾島ははっとした表情になり、頭を下げる。「天璋院様、数々のご無礼お許しくださいませ」と。

 

「これからもよろしくたのむぞ」天璋院は頼りにする幾島に声をかける。が、幾島は「いいえ、やはりわたくしはお暇をちょうだいいたしとうございます。京へ帰らせてくださいませ」ときっぱりと述べる。

 

天璋院は全てを察したように表情を歪ませる。「そなた、私のために汚名を被るつもりか?」と。幾島は目をそらしながら続ける。「古来、戦に敗れた者が咎を受けるのは当たり前のこと。ご大老様にはこれで少しは示しがつきましょう」潔くさらりと言う。

 

「ならぬ!何故そなたが去らねばならぬ!」天璋院は泣きじゃくる子どものように目にいっぱい涙をためて、幾島を引き留める。「天璋院様のお覚悟あっぱれでございます」はっきりと述べる幾島の言葉に、天璋院は受け入れたくないというように首を横に振る。

 

「それならばわたくしにも最後のご奉公をさせてくださいませ」幾島の言葉に、天璋院は表情を歪ませ涙ながらに「だめじゃ!私はまだまだそなたに教えを請わねばならぬことがある!」と止める。

 

幾島は天璋院の手を握り、「しっかりせなあきません!」と、いつもと変わらぬきりりとした表情と声で言い聞かせる。「これにてお別れでございます」そう言って、幾島は立ち上がり、部屋を出て行こうとする。

 

「幾島殿」去り際に、天璋院が声をかける。「これまでありがとうござりました」声を震わせながら言い、深々と頭を下げる。幾島は振り返らず、部屋を出る。

 

一人部屋に取り残された篤姫は涙が止まらなかった。出ていった部屋の外で、幾島は天璋院に向かって深く深く頭を下げる。「ありがとうございました」声に出さずそっと言う。震える体は涙を必死にこらえているようだった。

 

友の助言

薩摩にいる吉之助は、よく考え事をしていた木の上に座り、脇差しを両手に持ってじっと見ている。

 

「吉之助さあ!」勢いよく呼びかけてきたのは隣に住む大久保正助(瑛太)。走ってきたのか息を切らしている。「ああ、良かったど。吉之助さあのことじゃって、さっさと腹を切って、殿の後を追ったかち案じちょいもした」笑顔を見せて安堵している様子。

 

「馬鹿を言うな!明日城に上がって、月照様の非業を進言すっつもりじゃ」吉之助も笑顔を見せて、勇ましく言う。が、正助の顔は曇る。「そいは…難しいかもしれん」と正助が言うのには理由があった。人目を気にするようにしながら正助は話す。

 

江戸から斉興が戻ってきて藩の事情が怪しくなったと。今、吉之助が動くと面倒なことになるかもしれないと。それを聞いた吉之助は憤りを感じるが、正助は月照と身を隠すようにと助言する。「頼む!」と力強いまなざしで吉之助を見て。

 

吉之助と正助は、お互い信頼しきった目で見つめ合い、うなずく。

 

一方、月照は西郷の家の中にひっそりといた。遠くを見つめるような目で…。

 

嫁に頼み事

大久保家では正助の妻・満寿(美村里江)がぬか漬けを取り出していた。正助が家に戻ってくると、その様子から察して「旦那さあ、何か私におっしゃりたかことでも?」と聞く。

 

「わかっとか?」少し驚いたように正助は言い、「満寿の父上はご家老の山田様と昵懇じゃったなぁ…」と続けて、「頼まれてくれやんか?」と言う。満寿は「では、お漬け物がおいしくなったで、これを持っていってきもす」といそいそと準備を始める。

 

正助は「まだないもいっちょらん」と言うが、満寿は「旦那さあのことを山田様にお取り次ぎするよう、父に頼んでみもす。父はお漬け物に目がなかで」と全てをわかっているように言う。愛想の良いさっぱりとした笑顔を見せて、満寿は向かう。

 

なじみの人

さっそく翌日、正助は山田為久(徳井優)との対面が叶った。「周防様」と書かれた書状を山田に手渡し、述べる。

 

「月照様は泣きお殿様と志を同じくし、深くつながりのある御方。西郷吉之助また然り。ここは山田様におすがりするしかなかとでございもす」

「何とか二人を助けてもらえるよう 取りはからってたもんせ!お願いしもす!」

 

正助が勢いよく頭を下げた次の瞬間

 

「ことわーーーる!!!」

 

山田が速攻で断る。正助ががばっと顔を上げて「山田様!」と言うも、山田は「西郷?またあの男か!いつもいつも勝手なことばかりしよって!」と吉之助への文句を言いながら立ち去ろうとする。

 

「ふっ」正助の笑い声が漏れる。山田が振り返り、「何がおかしい?」と咎める。「お言葉は怒っちょりもすが、口には笑みが見えましたもんで」正助も表情を緩めて言う。

 

「何を申す!」次こそは本当に怒ったというように山田は立ち去ろうとするが、「待ってたもんせ!」正助に強く引き留められて…

 

鶴丸城にて、家臣たちが集められている。その中には山田の姿も。山田の懐には、正助から託された書状が入っている。

 

それを見た関(森岡豊)に「そいは?ないがご注進なされるおつもりか?」と聞かれる。山田は「お気になさらず」と余裕綽々で答える。「我ながら己の愚かさに呆れておる次第じゃ」と口では言いながらも、やはり口の端から笑みがこぼれていた。

 

薩摩の藩主

「殿のおなりじゃ」家臣たちのもとに久光がやってきて言う。茂久もやってきた。斉彬の遺言通り、久光の嫡男・茂久が薩摩藩主の座に就いた。茂久が藩主の座につきながらも、久光が後見としてしっかりそばにいる。

 

「皆の者に伝え置く。これからの薩摩のことだ」茂久が話し出す。「我らが取るべき道は、亡きお殿様の遺志を受け継ぎ…」久光もうんうんと聞いているところに

 

「待てい!」

 

険しい声が。斉興だった。家臣達をかき分けるようにやってくる。家臣たちは深々と頭を下げる。茂久の隣までやってきて、立ったまま家臣達を見下ろすようにしている。そして、

 

「わしからも頼むど。こいからは新しか殿を皆で支え、

 

ご公儀に強靭の意を示す

 

あまりにも言っていたことと違いすぎて、久光は「はっ?」と声を上げてしまい、父親の顔を驚いたように見る。茂久もあんぐりと口を開けて見ている。

 

「亡き斉彬が口にした、兵を起こし幕府に刃向かうなど言語道断である」斉興は厳しい口調で言い切る。「な、ないをいわれとう?は、はな、話が違いもす!」久光が焦って問いただすも、気にもしていないというようにゆったりと座り、斉興は話を続ける。

 

「藩の洋式訓練などもろか極まる。大砲・鉄砲・軍艦なんぞにも余計な銭を使うことは許さん!」との斉興の言い分に、「待ってたもんせ、父上!父上!」さすがに聞き捨てならないと久光が必死に声を上げる。「そいでは兄上のご遺志にそむくこつになりもす!」久光は怒りと戸惑いに声が震えている。

 

「斉彬は間違っておったとじゃ。あやつのやったことは湯水のように金を使い、その上ご公儀からにらまれ、厄災だけ残して勝手にしによったわ」吐き捨てるような斉興の言い方に、久光は怒りを露わにするが、斉興の言葉は止まらない。

 

「あやつのせいで島津家は今や取りつぶしの目にあうやもしれんのじゃ!」

 

取りつぶし、という重い言葉に、茂久も家臣たちもざわめき感情が揺れる。山田は様子をうかがっている。

 

「茂久、そいでも良かかぁ?」まるで幼子に言い聞かせるように、斉興はじいっと茂久の顔を見て言う。茂久は苦々しい表情で何も言い返せない。

 

「借金五百万両の薩摩を立て直したのはだいじゃ?こんわしじゃ!みなのことは心配するな。わしに任せよ。みなを路頭に迷わせん!なんとしてでん、鎌倉以来の島津を守り抜いてみせる!」

 

斉興の曲げない信念を聞いた家臣たちの中には、支持する多くの声が出てきた。山田はこのような状況で正助の書状を出すことはできず。家臣達の様子を見て、満足そうに立ち去る斉興。

 

「父上!!!」

 

叫ぶように久光が止める。「話がちごう!?」血走った目でにらみつけるように斉興を見る。

 

「思い上がるなあ久光!おまえに斉彬の代わりが務まるち、思っちょっとが?お前が兵を挙げてご公儀に勝てるち思っちょっとか?皆にとうてみい」あまりに残酷な斉興の言い分に、久光は言い返せず悔しそうにうなだれるだけ。

 

こうして斉興は実権を取り戻した。

 

郷中

夜、吉之助や正助のほか、有馬新七(増田修二朗) 、俊斎、大山格之助(北村有起哉)、村田新八(堀井新太)が集まっている。正助は苦悶の表情で、吉之助と月照に「日向送り」の沙汰が下ったことを明かす。

 

それを聞いた郷中仲間たちはうろたえ、怒る。日向送りとは、薩摩国境・日向まで追放し、処刑することを意味していた。

 

「そいが…薩摩の出した答えか」重く沈んだ声で吉之助がぽつりとつぶやく。誰とも目を合わさずに。

 

正助から新しい殿様がご隠居のいいなりになっていることを聞いた郷中仲間たちは、吉之助と月照を見殺しにできないと、明朝に城に上がってお殿様に直訴すると息巻いている。

 

「そいはいかん。おはんらが無駄な血を流したらいかん」吉之助が極めて冷静に仲間たちを止める。「無駄じゃなか!おいたちの仲間じゃっとが!」新七が言うも、吉之助はさらに厳しく諫める。

 

「今は薩摩ん中で争って血を流すときじゃなか!おはんらが相手にせにゃならんとは異国じゃ!異国にいいなりの幕府じゃっとが!」皆が黙り、誰も吉之助に言い返せず。沈黙の時間が流れる。

 

「とりあえず飲まんね」口を開いたのは吉之助だった。明るく振る舞おうとする。涙をこらえている者もいる。

 

正助はそんな吉之助を見て、「吉之助さあ、笑っちょっとか?」一つも笑えないというように言う。「仕方がなか。藩からのご沙汰じゃっとが」吉之助はやはり目を合わせず、淡々と答える。

 

「吉之助さあらしくなか!」正助が感情的になる。

「正助どん!」吉之助も強く諫めるように大きな声を出した。

 

「もうよか」吉之助は、かすれた声で、涙をこらえるように言う。それでも正助は引き下がらない。

 

「待ってくいやい!おいは諦めんど!こんなひどかこつがまかり通ったら、薩摩は終わりじゃ!じゃっとがぁ、吉之助さあ!」

 

正助の熱のこもった言葉を聞き、吉之助はやっと正助の目を見る。正助の視線はぶれず、吉之助の目を見る。眉をつり上げるような険しい表情で。

 

覚悟

その夜、吉之助は月照の寝室へ。月照は正座し、数珠を腕にして手を合わせ、目を閉じて穏やかな表情を浮かべている。月照の背中に向かって、吉之助はまっすぐに伝える。

 

「申し訳ございもはん。遠か薩摩まで数百里旅してもらうたどん、月照様をお救いするこつは叶いもはんじゃした」床に手を突き頭を下げて、「こん通りでございもす!」熱のこもった口調で吉之助は謝る。

 

月照は振り返り、「お手を挙げておくれやす」と言う。「私の命は、とうに預けてますよって」そう言いながら、吉之助の手を包むように握りしめる。

 

吉之助は目にいっぱいの涙をためて顔を上げる。月照はとても穏やかな顔で微笑んでいた。

 

言われなくても

鶴丸城にて、書物が置かれている部屋の隅に、久光がひっそりといる。書を読みながら一人で碁を打っている。

 

そこに、正助がやってきた。「おんしはいつかの」久光は覚えているものの気には留めていない。

 

正助は眉根を寄せた険しい表情で、「恐れながらこげなところにおられてよかとでございもすか?」と問う。「おいはこげなこところにしかおられん」ぶっきらぼうな口調で、碁盤から目をそらさず答える久光。

 

「私の友が日向送りにされるのでございもす」正助がすがるように言う。「ご公儀に追われちょう月照様と、我が友西郷吉之助でございもす」

 

「そん先は言うな」久光が食い気味に反応する。「おいに力はなか」短く答える。「自分まで追われる身になっちょっとは、あん男のやりそうなこっちゃ」久光の言葉を聞き、正助は吉之助を知っていることに驚く。「いつも兄上のそばにいっつもおった」久光は思い出したくもないというような顔で言う。

 

「西郷と月照様をお救いいただけもはんか?」正助は尋ねる。

 

「おいにはどげんすっこつもできん言うちょっとが、下がれ」

「いいえ、さがりもはん!」

「下がれ!」

「久光様はこれでもよかとでございもすか」

 

久光の動きが止まる。

 

「亡きお殿様のご遺志をお守りしたかちお思いではございもはんか?」

 

正助の言葉に、久光は思案する。だが思い出されたのは、忌々しい斉興の言葉だった。

 

「おまえに斉彬の代わりが務まるち思っちょっとか?思い上がるな久光!」

 

そのときの昂ぶりが抑えられなくなったかのように、久光は碁石をわしづかみにして、正助に投げつけ「こん下郎が!」と怒鳴りつける。「そげなこつができるかあ!」と蹴り飛ばす。

 

さらに正助の胸ぐらをつかみ、「おいを焚きつけるとは無礼千万じゃ!」と吐き捨てる。そしてぐっと顔を近づけ、「良いか?おいは兄上ではなか!」念を押すように、自分に言い聞かせるように久光は言う。

 

「二人の命など知ったこっか!二度とおいの前に現れるな」久光は立ち去っていく。

 

取り残された正助。がばっと起き上がり、憤りをたたきつけるように床を手で叩く。手元にあった白い碁石を潰すように握りしめながら

 

「おいは…諦めんど…」

 

執念深い声色がにじんでいた。

 

正助の策

正助は山田に会い、とある書状を手渡していた。それを読んだ山田は 「ばかものーーー!!!」と叱り飛ばす。正助に近づき、こっそりと話すように「かようなことできるわけないであろう」と言う。

 

「吉之助さあを助けるためでございもす。お願いしもす!」正助は勢いよく頭を下げる。山田はうろたえてしまい…

 

その山田を通じて、正助は斉興に取り次いでもらう。斉興も、正助の書状を読んでいる。正助は、おそるおそる様子をうかがっている。

 

「大久保と申したの?」斉興がやっと口を開く。「こげんこつまでして西郷の命をすくいたかとが?」という斉興の質問に「恐れながら…」正助は重々しい口で

 

「今の薩摩を守るためにご公儀に逆らわんちゅうお考えはごもっともにございもす。じゃっとん、そんために西郷吉之助を殺めては、必ず亡きお殿様を慕っておった者たちの恨みを買うこつになりもす。そうなれば…」

「藩中に争いが起きる」

 

正助の言葉に、斉興が続けた。だが、斉興は「こんなこつ西郷にできるかのう?」といぶかしげ。

 

「私がやらせてみせます」

 

正助がきっぱりと述べた。山田は苦悶の表情を浮かべている。斉興はこれは愉快とばかりに高笑い。正助は覚悟を決めたような、遠くを見つめているような目をしていた。

 

家族

穏やかな夕日が差し込む頃、吉之助は実家でうなぎを焼いている。弟たちが「うまそうじゃぁ」とよだれを垂らして待ちわびている。独特の調理法に「兄さあ、そのうなぎは?」と腹を大きくして里帰りしてきている琴(桜庭ななみ)が聞く。

 

「江戸ではのう、うなぎの背を割いて、こげな甘辛~かタレにつけて焼くとじゃ」吉之助の声は、いつも家族と過ごしていたときと同じような明るさがあった。

 

家族みんなが楽しく話す声が聞こえる部屋で、月照は一人句をしたためていた。とても落ち着いた表情で。

 

家族みんなで焼き上がったうなぎを食べる。皆が「うまかぁ」と喜び、吉之助はそれを本当に幸せそうに見ている。最近は呆けていたきみも、「吉之助」と声をかけてくれている。

 

吉之助は今後について「急ぎ出立せねばならん」と話す。吉之助がいつもと変わらない優しい表情でいるので、家族はお役目だとつゆほども疑っていない。また皆で吉之助の帰りを待とうと、笑顔を絶やさず楽しく過ごす西郷家だった。

 

そこに、硬い表情の正助がやってきた。城の役人も伴って。吉之助は全てを覚悟した表情になっていた。

 

友だからこそ

吉之助と正助は人気のない場所に行き、二人きりに。正助は八方手を尽くしたがダメだったと吉之助に伝える。「すんもはん、吉之助さあ」そんな正助に、「謝るこつはなか」吉之助は笑顔で言う。

 

「殿が生きておられればどげんでんなか。今の薩摩では月照様もおいもおったらいかんのじゃろう。こいがおいの運命じゃ。ここまでの命じゃったとじゃ」

 

吉之助はすがすがしささえある表情で、穏やかな声で言う。

 

「ちごう!おはんはこん薩摩のために、日本国のためにまだまだ生きねばならん男じゃ!」

 

正助が険しい表情で、熱のこもった声で言う。「おはんが死んでしまったら、薩摩も日本国も死んでしまうど!」吉之助は振り返り、正助を見て、「じゃっとん、もう行き止まりじゃあ」諦めたような笑顔で言う。

 

帰られない現実に、しばし黙り込む二人。

 

「一つだけ策がある」と、正助が口を開く。驚いたように吉之助が正助を見る。

 

「月照様を切れば、おはんの命だけは助けてくださるち」

 

正助の言葉を聞いた吉之助の表情は動かず。正助は人がいないか気にするようにして、吉之助に近づき、声をひそめて言う。

 

「ご隠居様に談判した。月照様を亡き者にした後は、藩が手を回して、吉之助さあをどこぞに匿ってくれる。ほとぼりが冷めるまで、そこで身を隠せ」

 

吉之助の表情が曇る。「月照様を切るち?」確かめるように、険しい表情で吉之助は聞く。「死ぬことはなか吉之助さあ!頼む、生きてくいやい!」正助は声を荒げる。吉之助は険しい表情を変えず、言葉も返さず。

 

正助は吉之助の胸ぐらをつかみ、自分の方へ近づけるようにして「頼む こん薩摩のために!日本国のために!」熱い思いを述べる。しかし、首を振って、

 

「んにゃ!おいのために死なんでくいやい」

 

頼み込むような声だった。あまりにも必死で、すがるような正助の顔をみた吉之助は…

 

「よか。切りもうそう」

 

短く答えた。そして、「正助さあ、ありがとさげます!」と頭を下げる。「おいのためにそこまでやってくれて…。まっこて、ありがとなあ」吉之助は正助の策を受け入れた。

 

正助はやっと少しだけ口の端を上げて、笑顔になる。

 

吉之助の真意

激しく打ち付ける波。舟に乗って、吉之助と月照は日向へ。砂浜には正助。吉之助の最中を見送るように。吉之助は振り返り、砂浜にいる正助を見る。正助は思いを託したように、切羽詰まった表情。吉之助は視線をそらし、また前を向く。

 

その夜は満月だった。舟の中には月照と吉之助が二人。「おかしおすな」月照が口を開く。「寒い夜やのに、ちょっとも寒うおへん」いつもと同じようになめらかな京言葉で静かに言う。

 

吉之助は月照を見て、「じゃっとん、震えていらっしゃいます」と言う。月照は震える身体を必死に押さえつけるように。「なんぼ修行を詰んだ身いでも…未練ですなぁ。心は死ぬと決めてても、身体生きよう、生きようとして…震えます」こわばった笑顔で。吉之助はいたわしいと言うように見ている。

 

月照は懐から書を取り出した。

 

大君の ためには何かを しからん 薩摩の瀬戸に 身は沈むども

 

吉之助の家にいるときに書いていた辞世の句であった。吉之助も聞きながら思うところがあるような表情を浮かべていた。

 

正助は家に戻ってきた。隣の西郷家では、家族みんなでいつものように夜なべして内職をしている。熊吉と吉二郎が正助に吉之助が無事に出立したかと聞く。また熊吉は「ちょっと妙なこつがありもして」とも言う。

 

「若さあが命より大事にしちょった短刀が…飾ってありもす」

 

全てを察したように正助は愕然とし、その短刀を身に走る。吉之助の部屋に、島津の家紋である十文字が描かれた、斉彬からもらった短刀が飾られている。「ああ…」正助の声が漏れる。

 

「まっこて、ありがとなぁ」

 

正助の頭に蘇ってきたのは、吉之助と最後にかわした言葉だった。そのときの吉之助は涙を潤ませ、本当に優しい表情だった。それは全てを覚悟したような顔だった。

 

「しもうた…行かせてしもうた!」

 

正助は急いで引き返す。走って走って、「吉之助さあ、吉之助さあ…」と呼びかけるように。見送ったときの舟の上の表情を思い出して。なぜ気づかなかったのかと。

 

吉之助を見送った砂浜までやってきた。もう舟など見えない。それでも、

 

「吉之助さあああ!!!死ぬなあ!死んじゃいかんどお!!!そげんこつしたら、おいが許さんどお!!!」

 

正助は思いの丈を叫ぶ。

 

「吉之助さあ!ああああ!」

 

もはや言葉にもならない嘆きの声が響き渡る。

 

 西郷入水

舟の上に立つ、吉之助と月照。吉之助は手を差し出す。少し意外そうな顔をして、月照がその手を握り、歩みを進める。さらに吉之助が両手を添えて「月照様、共に参りもす」と穏やかに告げる。

 

「西郷様…」月照は吉之助の思いをしっかりと噛みしめて、「ありがとう… これで長い旅路も安心できます」と笑顔を見せる。

 

吉之助は月照を抱き寄せる。そのまま吉之助に身を預けるように、二人の身体は海へと落ちた。大きなしぶきを上げて。深く深く。月明かりまでも一緒に沈むように。

 

二つなき 道にこの身を 捨て小舟 波立たばとて 風吹かばとて

 

西郷吉之助、辞世の句。

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 いやーそうか、そう描いたか。吉之助の入水をどう描くのかと気になっていたので、これは意外でした。が、非常に納得しました。理解できるだけにつらい。詳しい感想は次の記事で書きます。

 

 

 aoikara

 

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