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西郷どん 第17話「西郷入水」感想 吉之助が入水するに至った描き方が良い

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恋愛でなくても家族でなくても友達でなくても、深い心のつながりがあるんだなぁと思うaoikaraです。今回の吉之助と月照の描き方ってそんな感じではないでしょうか。

 

というわけで今回のテーマは…

 

西郷どん 第17話「西郷入水」感想

 

です。

※個人的な感想なので辛口なコメントを含みます。
※ネタバレもしていますので、まだ内容を知りたくない方はドラマを見てからどうぞ。

 

▼ネタバレ記事はこちら

www.aoikara-writer.com

 

▼西郷どん 第16話 記事はこちら

www.aoikara-writer.com

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GOODポイント

  • 吉之助と月照が薩摩まで逃げるのに、俊斎がいてくれて良かったですね。ずーんと落ち込む雰囲気が少し救われます。お調子者ってこういうときありがたいなぁ。
  • 久光が自分の意志を持って、“相談”ではなく“願い出る”と斉興に伝えたのは良かったなぁ。その後の展開はまあ残念だけれど、実行しようという今までにない強い気持ちを感じましたから。久光も成長しているのよね。あんな大きい息子がいるんだものね、そりゃあね。
  • 西洋かぶれの斉彬。やっぱり床の間はベッドでしたね。前も見たような気がしますが、なんだか可笑しい。それが斉彬っぽくもあるんですけどね。
  • 幾島と篤姫の絆にもぐっと来るものがありました。決して仕える者の前では泣かない幾島の強さというのも感じて。本当に孤独になってしまう篤姫も心配ですし。はあ、切ない。
  • 満寿さんの旦那察し能力高すぎない!?くノ一でもやっていたのかしらというくらいだわ。いやーあんなできた人いないですよね…。
  • 山田が「西郷」と名前を聞いて、速攻で正助の願い出を断っていたのに笑いました。それでいて引き受けちゃうのよねー。山田のキャラクター、私は好きでしたよ。
  •  死を目前にして明るく振る舞う吉之助を見て、赤山靱負の最期を思い出しました。赤山先生のスピリッツが吉之助にも受け継がれているのかなぁ、なんて少し思ったりして。
  • 表現が正しいかはわからないのですが、吉之助と月照の入水シーンはとても神秘的で美しかったです。絶望の果てに、死によって救われることもあるのかもしれないというような…。 そして吉之助に身を任せるのだとしたら、本当にこんなに安心なことはないですよね。

 

気になったポイント

正助の久光宛の書状が「周防様」と書いてあって、何でだろうと思って調べてみたら、久光の通称なんですね。

弘化4年(1847年)10月、通称を山城から周防へ改める。

出典元:島津久光 - Wikipedia 

感想

兄を超えられず、父を乗り越えられず

江戸での生活が描かれることが主だったのですが、久しぶりに舞台は薩摩。当主の斉彬が死んで、その弟の久光の嫡男・茂久が藩主となりました。

 

そこに至るまでの経緯というのも感慨深いものがあって。斉彬が亡くなる前に、久光は斉彬の生まれたばかりの嫡男・哲丸を藩主にしようと伝えていました。やっぱり斉彬のことを尊敬して大事に思っていたんだなという、久光の素直さを感じられてグッとくる言葉でした。

 

しかし、斉彬としては藩の中で争いが起きるのは望ましくないとして、久光の嫡男を藩主にするよう伝えておいたわけですね。斉彬はきちんと先を見ていますよね。そして、久光のことを信じていた部分も大いにあったと思います。いろいろありましたけれど兄弟の関係性が良かった。

 

そして、茂久を藩主にし、久光が後見人。これを斉興も受け入れました。ただ、久光が斉彬の遺志を継ぐために軍をご公儀に向けると発言したときの、嘲笑するような斉興が気になっていたのですが…嫌な予感が的中ですよ。全く逆の将軍を守れ発言。

 

結局は家臣も手中に収めて、また薩摩藩の実権は斉興が握ることなってしまったわけです。いやー、日本がなくなるかどうかってときに、薩摩内でごちゃごちゃしている斉興に憤りしか感じませんでした。

 

久光も本当に悔しそうな表情をしていましたね。とはいえ、結局何も言い返せず。意気込んでキラキラした目で斉彬の遺志を継ごうと宣言していたのに、結局碁に向かう姿は切なかったです。

 

正助にこのままで良いと思っているのかと言われていましたが、そんなことは久光が一番思っていることですよね。ただそれをどう伝えて、どう形にして、どう行動したら良いのかを具体的に示せないのが久光の才のなさというか。もどかしいです。

 

あまりにも優秀すぎる兄を持って劣等感もあったのでしょう。それを実の父である斉興にも言い当てられたというか、嫌っている斉彬ではあったはずなのに、そうなれるわけがないとさらに蔑まれているわけですからね。

 

兄を超えられず、父を乗り越えられず。しかし、その後に久光はきちんと薩摩藩の実権を握って行動するわけですから。家臣が賢かったから藩主になれたではないと信じたい!久光の覚醒を期待したい!

 

決して冷酷なわけではない正助の策

吉之助と月照さんに下された「日向送り」は本当にひどい沙汰でした。薩摩で死ぬことも許されない命とは…。同輩たちが言葉を失った気持ちもわかります。

 

吉之助が「そいが薩摩が下したことか…」とつぶやいてところに絶望を感じたというか。薩摩のため、日本国のためにひた走ってきた男。けれど、薩摩から見放されるとはという。もうその時点で吉之助は死を受け入れていたのではないでしょうか。

 

そこから奔走して吉之助を救おうとする正助の姿は、表現が正しいかわかりませんが狂気的でした。一人の男として認めていて、そして友達として失いたくなくて。根本の理由は友情や愛情も含んだ情だと思います。正助が導き出した吉之助を救う策は、情がいきすぎて冷酷なほどでした。

 

吉之助に月照を切らせる、とのこと。これが斉興もご公儀も納得させて吉之助を救う唯一の方法だと正助は導きだし、実際に斉興から許可も得られたわけです。その結論に正助が大いに喜んでいたわけがないんですよね。冷酷なように見えて、すごくすごく情がこもった決断だったと思います。

 

ただその策というのが、やっぱり何か大きな犠牲があるのだなと、これからも正助の将来にもつながっているのだなと感じました。吉之助とは違う人間なんだなと。吉之助のためにやっていることなのですが、そこが切ないところで。

 

「西郷入水」を丁寧に描いたことが素晴らしい!

吉之助が月照さんと入水したというのは史実として知っていたのですが、今回の大河ドラマではどう描かれるのか気になっていました。

 

原作は読んでいないのですが、吉之助と月照さんが恋愛関係になるようだし、同じ夢を失って心中に近い形で死んだのかなと予想されますが。あくまで憶測です。読んでないのでわからず。

 

ただ、今回は月照さんは同志ではあるけれど恋愛関係にはなく、一緒に入水するような理由もないと言えばないんです。同志として夢破れたから一緒に死にましょう、ってちょっとだけ無理やり感があるなぁと思っていたので。

 

だからこそ今回は入水までの流れをとても丁寧に描いてくれて、すごく良かったと思います。

 

吉之助は斉彬が亡くなったときに一度心が折れているんですよ。命を救ってくれたとさえ思っていて、命を預けていた君主が亡くなったのだから、もう死んだも同然で。それこそ死のうとさえ考えるほどに。

 

だけれど、生きて斉彬の遺志を継がねばと考えを改めた。それは月照の「あんたが薩摩守様になりなされ!」という言葉も後押ししたと思います。だからこそ月照さんを必死に救おうとしていたわけで。しかし、薩摩から見放されたと知って、吉之助はなんとか立て直した心を粉々に砕かれてしまったのではないかと思います。心が死んだ。

 

すでに死んだような男が蘇って、もう一度生きようとして絶望に落ちた。だから、もう死を受け入れていたと思います。

 

そこに、正助が「月照を切れば助かる」と伝えに来た。吉之助はそれを受け入れたように見えた。けれど、実は死ぬのを決意したことが正助にも理解できた。

 

吉之助が正助に「ありがとなあ」と言ったときの表情は、とても優しく穏やかでした。受け入れたように見えたのは吉之助の嘘でしたが、だからといって正助を裏切ろうと思っていたわけではないと思います。本当に心から感謝していたのだと思うのです。

 

自分のために、本当の最後の最後の手段まで考えてくれて、苦渋の決断であることもわかった上でその策を伝えてくれて。そして、そんな冷酷な決断をさせてしまったことへの申し訳なさもあって。本当に「ありがとなあ」だったと思います。

 

その時点で、吉之助は月照を切れないと決断し、一緒に死ぬことを選んでいました。斉彬からもらった短刀を実家に飾ったのがその証で。

 

自らをもって死なねばならないと決意した月照さんが震えていて、吉之助はそれを包み込むような優しさがありました。二人が詠んだ辞世の句はあまりに切なく、そして強い思いがありました。

 

心中ではないけれど、二人で手を握り、身をとして沈んでいく画はとても美しかった。思いまで沈んでいくようで。

 

入水したのは吉之助の絶望だけでもなく、月照への恋心からの心中でもなく、正助も月照も見捨てられないという吉之助の優しさを感じました。自分が生きるために他人を切れる男ではありません。他人にそうしてまで自分を助けさせる男ではありません。

 

吉之助が自分よりも他人を思える男だというのは、これまでの話でしっかりと描かれていました。まさに、この大河ドラマの西郷吉之助だからこその「西郷入水」だと思いました。私にとってはかなり高評価な回でした。神回って言っても良い暗いです。すごく良かった。

 

吉之助も正助も久光も成長する未来を描いてほしい

さて、結局吉之助だけが助かってしまい、島へ。その間に日本が薩摩がどんどん動いていきます。吉之助は内面での成長が描かれるのかなぁ。

 

正助はこれから登用されて力を発揮していくはず。政務での成長が期待できます。そして、久光。時代の変化と共に心を動かして、家臣に動かされるのではなく覚醒して動くことを期待したいです。

 

そして、吉之助を呼び戻すのは正助の働きだと思うんですよ。そのときに久光は反対すると思うんですけれど、それでも呼び戻すから今までとは違う吉之助との付き合い方をしていくと思うんです。そのとき、久光が吉之助を上手に使えるくらいには成長していてほしい!

 

何にせよがらっとまた世界観が変わります。これからもどうなるかまだまだわからずかなり楽しみです!

 

次回:死んだ男が生き返る

冬の錦江湾に身をとした月照と吉之助だったが、吉之助が生き延びてしまい、別の名前の罪人として大島へ。吉之助は絶望からささくれ、島民たちも近寄れぬほどになっていた。

うーん、気持ちとしては死んでるもんなぁ。なんで生きてるんだって気持ちですよね。吉之助が立ち直っていく姿をきちんと見たいです。

 

 

aoikara

 

▼西郷どん 第18話「流人 菊池源吾」記事はこちら

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