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西郷どん 第15話「殿の死」ネタバレ 時代の終わりが近づいてくる

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 ブログ全然更新していないaoikaraです。だらけております。しゃきっとせねば。全然関係ないですが、久しぶりのドラマ記事は…

 

西郷どん 第15話「殿の死」ネタバレ

 

です。

※個人的な感想なので辛口なコメントを含みます。
※ネタバレもしていますので、まだ内容を知りたくない方はドラマを見てからどうぞ。

 

▼感想記事はこちら

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▼西郷どん 第14話「慶喜の本気」記事はこちら

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第15話「殿の死」あらすじ・ネタバレ

朝廷の安泰

ようやく将軍になる決意を固めた一橋慶喜(松田翔太)。主君に命じられてその働きかけをしていた西郷吉之助(鈴木亮平)と橋本左内(風間俊介)は急ぎ京へ向かい、天守様から慶喜を次期将軍とする詔を賜ることにする。

 

近衛忠煕(国広富之)が上機嫌で天守様からの書状を見せる。左内はやっと念願が叶ったという喜びに思わず声も裏返る。近衛はこれで朝廷も安泰と大喜び。

 

同席している月照(尾上菊之助)が書状を見て、気になることがあると言う。それは、天守様からの詔には、次期将軍を「英傑で人望があり年長者」と書いているものの、一橋慶喜だとはっきりと書かれていないことだった。

 

とはいえ、慶喜は慶福(荒木飛羽)よりも年上であり、年長者は慶喜を指していることに間違いはないと左内は指摘し、皆も安堵する。

 

「君がため 法(のり)のためには 露(つゆ)の命 今此の時ぞ 捨て所なる」

 

と、月照は和歌を詠む。近衛は上機嫌で「みなさんも命は大事にしなはれ」と吉之助と左内に言う。「はっ」と二人は承り、自分たちが成し遂げた達成感から顔を合わせて笑みをこぼしてそれを実感し、うれしそうに去って行く。

 

月照もそんな二人の姿を微笑ましそうに見る。手元にある数珠を取ろうとすると、糸が切れてばらばらとこぼれ落ちる。月照は嫌な予感がして…

 

喜びの勇み足

将軍継嗣問題が一橋派に傾いたということで、島津斉彬(渡辺謙)は列強と帯刀に渡り合うために軍事力の強化に励んでいた。実際に薩摩で自分が指揮を執り、軍事的な指導も行っていた。

 

京の町には吉之助と左内の姿が。二人とも笑顔で、主君もまた喜ぶだろうとうれしさを口にしていた。が、

 

夫婦で思いを同じく

将軍継嗣問題で思いが一致した十三代将軍・家定(又吉直樹)と御台所の篤姫(北川景子)は穏やかな日々を過ごしていた。篤姫から慶喜を次期将軍にと勧められて、「姫も息災でおられるということか」と篤姫のことを思って慶喜を次期将軍にと指名した家定だった。

 

家定が筆で絵を描き、篤姫がそれをそばで見ている。「上様は不思議な絵をお描きになられますね」と篤姫は言う。木には実がなっていないのに、木になる柿を家定は描いていた。

 

「秋になれば実がなる」と家定は答える。それを微笑ましそうに「上様は柿がお好きなのですね」と篤姫が答える。「御台にも食べさせたい」と家定は言う。

 

「うれしゅうございます!わたくしも柿が大好きでございます!」無邪気な一面をのぞかせるように、それでも品良く篤姫が答える。すると、家定もうれしそうに「そうか!秋になったら御台と甘い柿を食べよう!」と言うのだった。

 

篤姫はお付きの幾島(南野陽子)に命じて、薩摩から樽柿を取り寄せるように命じる。それならば秋まで待たなくても良いと。

 

と、家定が手から筆を落とす。そして、苦しみ出して倒れてしまった。篤姫はおろおろと心配し、幾島が医師を呼び、その場は騒然となる。

 

死に際の策

家定は持病の脚気が悪化し、床に伏せてしまう。薄暗い部屋で一人寝ている。そんな家定の姿を御簾を隔てて見つめている井伊直弼(佐野史郎)。

 

そして、直弼が家定の床の間に入ってきた。近づき、二人きりとなる。「上様、折り入ってお考えを伺いたき議がございます」と直弼は言う。

 

家定は目をつむって寝ている。直弼が何度も呼びかける。が、目を覚ますことはなく、「筆と紙を」とだけ命じる。

 

家定のお付きの者たちが筆と紙を持ってきて体を支えるようにしている。「よもや遺書をお書きあそばれますか」その様子を見た直弼が言う。そして「下がれ」と部屋の中にいる者に命じる。「この井伊がお仕えいたす」と。

 

お付きの者たちは皆部屋の外に出されて、御簾のから二人の様子を見ている。直弼は家定に耳打ちするように、こそこそと話す。「不肖、井伊掃部頭、徳川宗家のため一身をなげうち、幕政を取りします所存でございます故、その旨ご一筆あそばされませ」と。

 

さらに「次の公方様ですが…」とこそこそ話しているのを、御簾の外から見ているものが聞こうと耳を澄ませている。家定は筆を動かして何かを書いている。直弼が見てみると、それは柿の絵だった。

 

「これを御台に…食べさせてくれ…」苦しそうにたどたどしく、家定はやっとの思いで告げる。直弼はどうしたものかとしばし考えるような顔になり、さっとその紙を懐にしまう。そして、

 

「ご安心なされませ!この井伊が必ず!」と盛大に宣言をする。「頼む!」家定も力強く託す。部屋の外にいる者たちが聞こえたのはこの場面だけだった。

 

最高権力者

そして、突然、井伊直弼が大老に就任した。大老とは老中の上をいく幕府の最高職。直弼は政治の最高権力者となった。井伊直政の異名でもある赤鬼の面を持って、直弼はその席についた。

 

「上様はこの井伊に一切の政務をお任せになられた」として、今後の政務について直弼は話す。

 

まずメリケンの通商条約について。朝廷の勅許を取れてはいないが時間もないのでハリスの要求を受け入れて、戦にならない道を選ぶとした。

 

これには水戸の元藩主・徳川斉昭(伊武雅刀)が、朝廷を無下にすることは許されぬと怒り心頭に発しているが、直弼は介さず。

 

さらに、将軍継嗣について、「上様の仰せにより」と前置きした上で、直弼は

 

「吉富様と定める」

 

ときっぱりと宣言した。福井藩主の松平慶永(津田寬治)が焦ったように、天守さまからの勅命で一橋慶喜公とされていたはずではと言うも、「攘夷である」と告げられて…

 

悲観

京では近衛家に月照や吉之助、左内が集まっていた。近衛はひどく落ち込み、「これでおしまいや。打つ手無しや…」と嘆いていた。そのそばにいる月照も吉之助も左内も、悲しみに暮れていた。

 

月照は、「恐れ多くも詔が書き換えられてしまった」と告げる。左内は勘づき、「年長」の二文字が消されてしまったのではないかと聞く。その通りだという月照。「年長」がなくなれば、慶福を次期将軍にという詔とも受け取れる。

 

吉之助は驚き、「そげんこつできっとでございもすか?」と怒りを押さえつけながら聞く。近衛によると、彦根の者が九条関白に近づいていたとのことだった。

 

「万事休す」左内が悔しそうに言う。吉之助は、急ぎ薩摩に戻ると重々しく告げる。あまりにも憔悴した様子に「吉之助どの」と左内が声をかけるが、それも聞こえないかのような表情で、おぼつかな足元で吉之助は部屋を出て行く。その部屋の庭の白い椿が、はらりと落ちた。

 

賑やかな京の町を縫うようにして、吉之助は険しい表情で薩摩へと必死に走る。

 

大奥にて

大奥に直弼がやってきた。篤姫や本寿院(泉ピン子)に対して、家定は紀州の慶福が次期将軍に任じられたと伝える。本寿院は息子である家定が言ったのであればと満足そうにしている。

 

「そんなはずは…次は一橋様と仰せに…!」と篤姫が反論。それに対して直弼は、上様の戯れ言だったと片付ける。その言葉で怒りに火が付いた篤姫は、「そなたもしやご病気で苦しんでおられる上様に無理強いして迫ったのでは!」と強い言葉を投げかける。

 

直弼は「全ては上様のご意思のまま」とさらりとかわすだけ。幾島も、家定が直弼に「頼む」と言っていたのを近習たちが聞いていたといたたまれないように言う。

 

篤姫は「では、その遺書とやらをここにもってまいれ」と命じる。「それはなりませぬ」と直弼はよどみなく答える。「拙者に任されたもの。御台所様には…」

 

「出すぎるでない!」

 

篤姫は今までにないほど感情的に、怒りを露わにする。美しい顔が鬼のように険しくなって。直弼はぴくりとも表情を動かすことなく「ははっ」と頭を下げる。

 

と、そこへ慶福やってきた。まだ若い、子どものような男子であった。慶福は礼儀正しく頭を下げて、篤姫へ挨拶をする。家定への見舞いの言葉もしっかりと述べて。そこには邪気のない姿があった。篤姫は険しい表情を変えることができずとも、精一杯感情を抑えようとしながら「かたじけのうございます」と答える。

 

対照的に本寿院は笑顔に猫なで声で、慶福に親しげに話しかける。そんな姿を見て直弼はにやりとして、「お見舞いにも来られぬ一橋様とはたいそうな違いでございますな」と一言。

 

本寿院は満足そうに、声高らかに笑う。篤姫だけが納得できないという顔をしていた。

 

はやる思い

薩摩にいる島津斉彬(渡辺謙)の元にも書状が届く。目をかっと見開き、信じられないというような表情でその書状を読む。

 

一方、飛脚よりも速い足で薩摩に向かう吉之助。ときに転げ落ちながらも必死に走る。その途中、過去に斉彬とかわした会話を思い出していた。

 

「殿の夢が果てしなくてとてもついていけもはん」
「夢じゃねえ、もうそこまで来てる」

 

と、斉彬が輝くような目つきで話していたことを。

 

そして、吉之助はやっと桜島が見える薩摩に戻ってきた。身なりを整える余裕もなく、髪も荒れてひげだらけで汚れた姿で斉彬の屋敷へとやってくる。斉彬も驚いた様子で吉之助を迎え入れる。吉之助が口を開く。

 

「ただいま戻りもした!次の、公方様は…」

 

覚悟して来たはずだったが、その続きは言えなかった。斉彬は吉之助に近づくように一歩一歩歩みを進める。「情けない格好じゃのう」と力なく笑い、その顔から笑みが消え、「ご苦労であった」と短く告げる。

 

斉彬の心中を察した吉之助は「殿…」と声が漏れたように言う。「もう良い」静かに笑みを浮かべて、斉彬はどこかへ行ってしまった。山田為久(徳井優)が引き留めても振り返らず。

 

夢破れて

斉彬は、一人馬に乗って薩摩の町へ。百姓たちは斉彬だと気づくと、お殿様だとありがたそうに敬っている。そんな百姓たちを見て、いたたまれない表情になっている斉彬。馬を走らせてどこかへ向かう。

 

吉之助は足を引きずりながらも、必死に走って追いかけている。斉彬がいたのは、初めて吉之助と二人きりで会ったあの場所だった。

 

「殿!」と呼びかけ、吉之助は斉彬のもとに駆け寄る。

 

「おいは、どこまでも、どこまでも殿についてまいりもす!小さか頃、ここでお言葉をかけていただいたあんときから、おいはそげん心に決めちょりもす!」

 

それは吉之助が子どもの頃、腕をケガしてもう刀は使えないとわかったとき、死にたがって泣いていたときに吉之助に会った。そして、

 

「めそめそするなこのやっせんぼ!死んではならん」

 

と、斉彬は励ました。そのときのことを思い出しながら、吉之助は斉彬を見つめる。斉彬は桜島を見つめるように遠くを見ている。

 

斉彬が話す。江戸から書状が来たと。井伊は集成館にも目を付けて、ご公儀の力によって工場も廃止させるつもりだと。吉之助も衝撃を受ける。

 

「夢は砕けた。この国の仕組みを変える。この国を強くする。異国からこの美しい国を守る。そして、この国の全ての民を豊かにする。だが、天はわしにみかたせなんだ」

 

と、斉彬は言う。まだ、話を続ける。

 

「ここに来る途中、汗にまみれる百姓たちがいた。農業こそこの国を支える礎なのだと、かつてわたしはある者に教えられた。全ての民がたらふく米がくえる。それこそが、異国にも負けぬ強い国を作るのだと

 

力強い声で、それでも悔しい表情をにじませて、斉彬は言う。斉彬にそう伝えた吉之助も悔しそうに顔をくしゃくしゃにする。

 

「西郷、今日限り、庭方の役目を解く」

 

それだけ言うと、斉彬は馬で戻ってしまう。吉之助は呆然とするしかなかった。

 

家族

吉之助は、足を引きずりながら実家へ戻ってきた。だが、なかなか家に入る気にはなれない。家ではいつものように賑やかな話し声が聞こえてくる。

 

妹の琴(桜庭ななみ)が出てきて、吉之助に気づく。汚れた姿で帰ってきた兄に「どげんしよっとな!?」と驚いて声をかける。が、ただならぬ雰囲気も感じ取り、家族に呼びかけて迎え入れる。

 

西郷家ではまたみんなで傘の内職をしていた。吉之助が帰ってきたことに皆うれしそうにするが、吉之助の重々しい様子を察して皆黙る。「ないがあったとでごわすか?」吉二郎(渡部豪太)ら弟たちが聞く。隣の大久保家では正助(瑛太)と妻・満寿(美村里江)が心配そうに見ている。

 

「すまん、殿からお役をとかれてしもうた」やっとのことで、吉之助は口を開いた。使用人の熊吉(塚地武雅)は冗談かと笑っているが、吉之助の表情が明るくなるはずもなく。崩れ落ちるように地面に座り、「ほんのごて申し訳なか!」と吉之助は頭を下げる。

 

正助は何も言えず、険しい顔つきで吉之助を見つめていた。

 

信じる友

その夜、吉之助は一人、縁側で酒を呑んでいた。薩摩まで走ってきた乱れた髪、伸びたひげ、汚れた着物のままで。

 

そこに、正助が一人、やってきた。「いったいないをしでかしたとか?」と、吉之助に尋ねる。「おいはないをしよったとじゃ」正助に答えるように、自分に問いかけるように吉之助は言う。

 

「江戸や京をかけずりまわって、殿のお役にたっちょっち自分では思っちょった。じゃっとん、ないの役にも立てなかった。万策尽きたあ」諦めたような笑顔で、自分を嘲笑するように、それでもこらえきれない涙で顔を伏せる。そんな吉之助を見て、正助は

 

「やっせんぼお」

 

正助の声に、吉之助は静かにゆっくりと顔を上げる。

 

「万策尽きたちそげなもん、やっせんぼの言い訳じゃが。たかが一つや二つの策が破れたち、おめおめ引き下がる吉之助さあではなかとが。小さか頃から、みんなが無理っちゅうこつを吉之助さあだけは諦めんかった。だいも考えつかんとんでもなかこつをやる男じゃった」

 

正助は友を誇らしいと思うような、そんな顔で言う。吉之助は悔しそうな表情をにじませて聞いている。

 

「おなごの気持ちがわからんちゅうておなごの格好をし、殿に無礼極まりない怒りの文を送りつけ藩主の座につかれるよう背中を押した!」

「そいはそんときじゃったで、できたことじゃ!」

 

正助の言い分に、吉之助は思わず反論する。もう聞いていられないというように顔を歪ませて涙を流しながら。

 

「んにゃ、今もできんはずはなか」

 

正助はきっぱりと言う。

 

「御前相撲で、殿を投げつけ周りは凍り付いた。じゃっとん、そいがおいの謹慎を解くきっかけをつくり、江戸で自ら殿のお庭方になるこつに結びつけた」

 

すーっと鼻で息を吸い、

 

「全て、吉之助さあだからやれたこっちゃ」

 

吉之助の目をまっすぐ見つめて、そう正助は言い切る。吉之助はずっと正助から目をそらしていた。が、やっと、正助の目を見る。

 

「やれるはずのなかはずのこつを、やりぬいてきたんじゃなかか?そいがおいの知っちょう、西郷吉之助っちゅう男じゃ!」

 

目に涙をためて、心から信頼しているという笑顔を見せて、正助は言う。その言葉を十分に噛みしめて、吉之助はー。

 

薩摩隼人よ

桜島に日が昇る。西郷家にいつもの朝がやってきた。違うのは久しぶりに吉之助がいること。吉之助は髪を整え、ひげを剃り、新しい着物に着替えていた。昨日よりも晴れやかな表情をしていた。明るく過ごす家族たちの優しさに穏やかな気持ちを抱きながら。

 

その日から、吉之助は郷中の子どもたちに勉学や相撲、剣術を教えて過ごす。前を向いて。

 

江戸の変化

江戸では、将軍継嗣問題に勝った井伊直弼大老が幕府を意のままに動かし始めていた。江戸城を優雅に歩き、幕閣たちもひれ伏すようにさえなっていた。

 

突然の知らせ

篤姫の元に、家定の柿の絵が届けられる。お付きの女中が持ってきて、

 

「上様のお形見でございます」

 

と告げた。篤姫は衝撃的な様子で「お形見…?」と静かに繰り返す。そばにいる幾島も驚き、「上様が身罷られた?」と気づき言葉にする。

 

最期を看取ることが叶わなかった篤姫。家定の柿の絵を手にして、涙を浮かべる。「上様…上様!」と名前を呼ぶことしか叶わない。そばにいる幾島もそっと涙を流していた。

 

家定の死が公表されたのは亡くなってから一月後。家定の名で、アメリカとの条約が締結されて、次期将軍慶福にするとした直後という、絶妙なときであった。

 

敗れた者

将軍継承争いは、南紀派の勝利で幕を閉じた。斉彬は敗北した。薩摩の集成館で一人、無駄になった物を捨てるようにまき散らし、怒りを爆発させる。

 

誰もできないことを

吉之助は、誰もいなくなってしまった集成館を悲しい顔で見上げている。過去に「夢」について話してくれた、斉彬の言葉を思い出しながら。

 

集成館で作った物があれば農業も盛んになり、民が豊かになると。「皆が豊かになる」と斉彬は生き生きとした目で語っていた。その思いを実現しようとしてか、吉之助は民に寄り添い、農業を手伝う。

 

「殿の夢が果てしなくてとてもついていけもはん」

「夢じゃねえ、もうそこまで来てる」

 

と、力強く答えていた、熱い目をしていた斉彬はもうおらず。家で諦めた顔つきで茶を飲み、山田が悲しい背中を見つめている。

 

吉之助は一人、異国との戦の準備のため、大砲や武器を用意している場所を訪れていた。歩きながら、長めながら、正助が言ってくれたことを思い出していた。

 

「みんなが無理っちゅうこつを吉之助さあだけは諦めんかった。だいもかんがえつかんとんでもなかこつをやる男じゃった」

「やれるはずのなかこつをやりぬいてきたんじゃなかか」

 

その夜、吉之助の手元には、「Cangoxina」の文字が書かれた紙がある。子どもの頃に斉彬から受け取ったものだった。それを見つめて。

 

「そいが俺の知っちょう西郷吉之助っちゅう男じゃ!」

 

そう言ってくれた正助の言葉と顔を思い出し、吉之助は決意したように月を仰ぐ。その日は美しい満月だった。

 

夢のために

斉彬の屋敷にて、書類仕事をしているところに山田のわめく声が聞こえる。「下がれ下がれ!」と命じているのは、勝手にやってきた吉之助に対してだった。斉彬に会わせてほしいと、家臣が止めるのも聞かずに屋敷に上がり込む。

 

「殿!!!」と叫びながら。もうお庭方ではないと止められながら。激しくもみくちゃになりながら。騒ぎを聞きつけて、斉彬がゆっくりとやってきた。様子をうかがうようにしている。

 

「離してやれ」斉彬に命じられて、家臣達は吉之助のそばからさっと離れて、二人の様子を見ている。「どうした西郷?」静かに斉彬は聞く。

 

「殿、兵を挙げてたもんせ!」

 

いきなり吉之助はとんでもないことを言い出した。家臣たちは少しざわついている。

 

「こんままでは、異国に飲み込まれてしまいもす。そげんなる前に、殿が立ち上がり、こん国を守ってたもんせ!」

 

強いまなざしで、強い口調で吉之助は言う。

 

「馬鹿を申すな。今江戸へ兵を送れば大戦となる。戦となれば国は乱れ、それこそ異国の格好の餌食となる」覇気はないものの、斉彬は冷静にきっぱりと告げる。それでも吉之助は食い下がる。

 

「戦をすっために兵を出すっとではございもはん!」

 

と。言った後に、膝で歩きながらにじり寄り、斉彬を見つめて少し頭を下げて一礼。そして、

 

「向かうは江戸ではなく、京」

 

と述べた。家臣たちは一層ざわめく。天守様のお膝元である京で薩摩の兵を集い、 斉彬の姿を持って我らの決意を示すべきだと吉之助は言う。斉彬も思考を巡らせながら、

 

「天守様の詔を改めていただき、幕府に改革を迫れと?」

 

と尋ねて、「そん通りでございもす」と吉之助も同意する。家臣の一人が、どのような詔を賜るのかと斉彬に尋ねる。

 

「幕府は政を一新せよ。これよりは幕府朝廷は共に手を取り、異国に立ち向かう国を作れと」

 

すらすらと言葉を続ける斉彬。何かを閃いたように言う。続けて吉之助も、

 

「鍛え上げた我ら薩摩の兵は今や日本一。薩摩が天守様の御名もとにたちあがれば間違いなく諸藩の者たちも…」

 

そして、斉彬が続ける。

 

「井伊の独裁に不満を抱く者たちは多い 。その者たちの思いを集め、幕府に迫れば!」

 

斉彬が笑顔を取り戻しながら言い、

 

「戦にならず、こん国の政を改められもす!」

 

と、吉之助が続ける。二人の思いが一致した瞬間だった。山田は気は確かかと、無謀な策だと慌てたようにわめく。家臣たちはまだ困惑を整理しきれていない様子。

 

それでも斉彬はにやりと笑い、吉之助の腕を掴み、声を上げて愉快そうに笑いながら吉之助を立ち上がらせる。吉之助と同じ目線に立ち、「西郷!よう言うた!」とうれしそうに吉之助の頬をぺちぺちと軽く叩く。

 

「まさか、あのやっせんぼに言われて腹が決まるとはな!」

 

愉快そうに大笑いする斉彬。吉之助は、思いが届き、涙を流す。「泣くなぁ」またかと呆れたように笑いながら斉彬は言う。「はい!」それでも吉之助は涙が止まらない。斉彬の目にも熱いものが浮かんでいる。

 

「西郷!今すぐ京へ戻れ!道中、我らと思いを同じゅうする諸藩に告げよ。薩摩が兵を挙げ京へ上る。近衛様のつてで天守様にも申しつけよ」

 

力強さを取り戻した斉彬は、以前のように勇ましく吉之助に命じる。

 

「支度が済み次第、わしも後を追う。京で会おう!」

 

じっと目を見つめて吉之助に告げて、「はっ!」と吉之助も受け入れる。そして、すぐにでも京へ行こうとその場を後にしようとした吉之助は、「西郷!」と斉彬に呼び止められる。斉彬は歩み寄り、その目を鋭く見つめて、

 

「今からおまえはわしになれ」

 

と告げた。吉之助もその目をそらさず「はっ」と承り、立ち去る。

 

仲間

吉之助の家に、郷中仲間が集まっていた。隣家の正助の他にも、有馬新七(増田修二朗)、村田新八(堀井新太)、大山格之助(北村有起哉)が来ていた。

 

いよいよ戦になるかもしれないという事態を吉之助から聞き、新七は武者震い。新八は恐れを感じているようだった。とはいえ、戦になるかは京へ行かなければならないと正助が言う。

 

吉之助は、京についたら必ず書を送るとして、「おはんら、そんときがきたら頼むど!」と声をかけた。皆、頼もしく「おう!」と答える。

 

京に集まれ

吉之助は再び京へやってきた。やる気を取り戻し、京の町を走り回る。

 

薩摩藩邸宿 鍵屋にやってきて、店の者にいつもの人たちが来ていると告げられて向かう。途中、女中のお虎(近藤春菜)と会い、吉之助に淡い思いを抱くお虎はうっとりと見つめている。

 

二階には月照と左内がいた。二人にも、斉彬に告げたことを伝えた吉之助。月照は斉彬が決心したこと、その斉彬を動かした吉之助を称える。出陣するとなれば井伊大老も顔色を一変させるだろうと左内もやる気にあふれている。

 

と、この部屋に「お客様がおこしどす」とお虎が言う。忍びの者かもわからない。吉之助は実を構えて刀を手に取る。

 

やってきたのは……郷中仲間の有村俊斎(高橋光臣)だった。吉之助は驚いて、江戸にいるはずなのになぜ京にいるのかと問う。悲劇的な顔をして俊斎は「薩摩の御方が倒れた…」と告げる。「…ちゅうて江戸の藩邸を出てきたんじゃ!」とうれしそうに顔色を変える。

 

月照と左内は呆れたように顔を見合わせる。「紛らわし」ぼそっと京訛りで月照がつぶやく。出陣の話を聞いて江戸でじっとしておられず、京へやってきたとのことだった。

 

約束

薩摩では、兵を挙げるために斉彬が兵を鍛え上げていた。勇ましく指揮を執っている。

 

京の鍵屋では来たる兵のために食料など物資の準備をおこなっていた。藩士たちが大忙しで動き、お虎にぶつかり階段から落ちそうになる。それを吉之助が支えてくれて、お虎はますます吉之助に夢中になるのだった。

 

「おはんらきばれ!もうすぐ京へもどってくる!」吉之助はそんな言葉をかけながら、自分もせっせと働く。薩摩の方角にある空を見上げて、「殿、お待ちしちょりもす!」笑顔でつぶやく。

 

薩摩で激しく兵を訓練する斉彬。

 

「うてえええええ!」

 

と大声を上げて命じた勢いそのままに、斉彬は倒れた。家臣達が慌てて駆け寄る中、斉彬はぶつぶつとつぶやいている。「行かねばならぬ、西郷が待っておる…西郷…西郷」と。うつろな目で地べたを這うようにして。

 

安政五年七月十六日、島津斉彬はこの世を去った。あまりに突然な、そして心を残しての最期だった。

ーーーーーーーーーー

という話でした。いやーいきなりすぎる!どちらの殿の死も!突然すぎて衝撃過ぎました。いやはや…心を落ち着かせつつ、感想は次の記事で書きます。

 

 

aoikara

 

▼西郷どん 第16話「斉彬の遺言」記事はこちら

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