以前、新聞でこんな記事を見かけました。
男性と女性が言う女子力って違う。「女子力」って言葉に悩まされるし苦しい。「女子力」って言葉を見直してみて考える女性とは、みたいなそんな話です。(要約がおかしかったごめんなさい)
紙面で見かけたときに、なるほどな~と思ったのです。たしかに
「女子力」という言葉は一人歩きしている
気がします。いろいろこじれてきてる。呪いの言葉にもなってる。そこで、今一度「女子力」という言葉について、女性について、人について、考えてみました。
女性と男性で「女子力」の意味は違う
上記にリンクした記事では、オウチーノ総研が「女子力」についてアンケートしたデータが載っていました。それによると、女性と男性が言う「女子力」には違いがあるようなんです。下記のリンク先のサイトを参考にして、まとめてみました。
選択肢は↓これだけあります。(選択肢に優劣ができないように五十音順でまとめました)
- 甘え上手、頼り上手
- 贈り物や差し入れのセンスが良い
- 家事ができる
- 聞き上手
- 気配りができる、空気を読む
- 教養がある
- 健康に気を遣っている
- 言葉使いや仕草に気を遣っている
- 裁縫道具や絆創膏、ハンカチ・ティッシュなどを常備している
- 嫉妬しない、表に出さない
- 自分に正直、自分を大事にしている
- 自分を持っている、芯が強い
- 食事の場で食べ物を取り分けたりお酒を注いだりなど、気が利く
- 隙がある
- スキンケアやダイエットに気を遣っている
- 素直
- 食べ物・飲み物にこだわる
- ファッションや化粧に気を遣っている
- ポジティブ
- モラルがある
- よく笑う
- 悪口を言わない
複数回答ありのアンケートです。この中から「特になし」以外のアンケート結果を、男女別にまとめてみました。すると、女性と男性では上位にちょっと違いがありました。
女性は「見た目が女性らしい」
- ファッションや化粧に気を遣っている 42.1%
- 裁縫道具や絆創膏、ハンカチ・ティッシュなどを常備している 28.1%
- スキンケアやダイエットに気を遣っている 28.0%
- 家事ができる 24.8%
- 言葉使いや仕草に気を遣っている 22.9%
女性の「女子力」は見た目にも気を遣い、かつ内面も磨く、という回答が上位を占めました。なかでもやっぱり高いのは見た目の美しさに気を遣っているかどうか。
たしかに、自分のために「キレイになろう」としている人を見て「女子力高いな~」と感じることが多いように思います。
男性は「付き合いたい女性」
- 家事ができる 18.2%
- 気配りができる、空気を読む 14.3%
- ファッションや化粧に気を遣っている 12.6%
- 言葉遣いや仕草に気を遣っている 10.5%
- よく笑う 8.9%
男性が言う「女子力」は家事ができて、見た目もかわいくて、内面の良さが言葉使いや仕草にも現れていて、よく笑って愛嬌があって、周りにも気を遣える…まさに理想の女性。
男性から見て「男性を立ててくれるような、付き合いたい女性」こそ、女子力が高いと思っているようです。まあ、付き合いたいかは別に、人として女性として魅力的っていう意味もあるのかも。
さらに「女子力」に興味のない男性も多い
全体的に女子力を具体的に回答している男性は、女性と比べると少ないこともわかりました。「特になし」という回答が41.4%で、ほかの選択肢よりもっとも多いのです。(次に高いのは「家事ができる」18.2%なので明らかに「特になし」派が多い)
この中には答えがないという意味もありますが、「そもそも女子力って何だ?」「興味ないな」という答えでもあると思うんです。
もちろん、41.4%は少数派。でもサイレントマイノリティーではありません。だから「女子力上げろよ~」とか言う男性は、別に超多数派ではないので、堂々と「男性代表」みたいに言わない方が良いんじゃないのかな。
「女子力」をはき違えると苦しめる
「女子力」は人によって違うのに、当てはめようとするから…
このように男女差はもちろん、同性同士でも「女子力」という言葉の捉え方は異なります。重なる部分もあって、だけど異なる部分もあって。
それはどんな言葉でも同じで、同じ言葉でも全く同じ感覚で捉えていることの方が少ないのではないでしょうか。
しかし、「自分の考える女子力」に、他人を当てはめようとする傾向が多いような気がします。それが「女子力」と言う言葉で女性を苦しめてしまう理由の一つなのではないでしょうか。
それは女性から女性へ、男性から女性への言葉としても、あることだと思います。
「女子力」の呪い
冒頭の北海道新聞の記事でも触れていましたが、東電で過労から自殺に追い込まれてしまった女性の過去のツイートにも、こんな言葉がありました。
「男性上司から女子力がないと言われるの、笑いを取るためのいじりだとしても我慢の限界である」
馬車馬のように働けと命じながら、「男にとっての魅力的な女性であれ」と求められる。また、女として見下している。はっきり言えばセクハラです。
使い方を間違えている感がはんぱないし、初めて知った言葉を使う中二病の子供となんら変わらないようにも感じます。おじさんが頑張って若者言葉使ってみた、みたいに。年齢を重ねたなら、重ねたなりの言葉があるんじゃないかなーと。
ああいう「女子力」の使い方って、ものすごくダサいし、その上人を傷つける最低のやり方です。
性別の尊厳を踏みにじられて傷つくのは男女一緒
女性は「女子力がない」という言葉で、女性としての尊厳を踏みにじられることがあります。下手すりゃ「おまえはそれでも女か?」っていう意味にもなりかねないです。
でも、「いやいや深刻に捉えすぎ」「そんな深い意味を込めて言ってない」ことが多いのでしょう。事実、私も言われたとしても別に傷つかないし「いえーい女子力皆無でーす」とか言えるタイプだと思います。
だからって「そんな言葉で傷つくな」は乱暴すぎます。「男気ないよね」「男らしくない」って言われて嫌な思いをする男性と同じです。「いえーい女々しいでーす」って言える男性もいるけど、だからって嫌な人にも言って良いわけじゃないと思います。
性別に関する言葉って本来はすごく繊細なんだと思います。「胸の大きさ」とか「イチモツの大きさ」とか、堂々と話題にすることではないですよね。傷つく人もいるから。それはもちろん性も関わっているけど、性別も関わっていることだから。
使い方が難しいんで、ときに傷つけることもあるとわかっていないと、と思うわけです。
「女子力」じゃなくて具体的に言えば良い
男性は「女子力上げろよ~」じゃなくて、「家事できるようになれよ~」とか「気を遣えるようになれよ~」って具体的に言うのはいかがでしょう。
それでも上から目線になってしまうので、「家事できる人って尊敬するよ」とか「仕事が空いているときは手伝ってくれるとありがたい」とか、言い方を変えるだけで伝わり方も変わります。
女性は「女子力高めたーい」にはいろんな意味が込められてるんだろうけど、「キレイになりたい」「言葉使いを直したい」の方が具体的だし、目標に向かって頑張れるんじゃないかな。
ふわっとした言葉に委ねるより、具体的に言った方が言う方は意図が伝わるし、言われた方もわかりやすいし傷つけないと思うんですけど、私の提案いかがでしょう?
もちろん、傷つけないし傷つかないなら「女子力」って自由に使っても良いと思います。そのための便利な言葉ですし。
でも言葉に多様性が生まれちゃって、押しつけられることに違和感を感じる人も増えているから、「女子力」よりもその先の具体的な言葉で表した方が伝わるんじゃないかなーっていう私の意見です。
男性らしさとか女性らしさじゃなくて、その人と向き合えばいい
ってこと。もちろん性別があればそれに寄った考え方もある。でも、型に嵌めなくて良い。その人自身と向き合えばいい。呪いにならないように、言葉を使っていければ良いんです。そのために、まずはその人自身をしっかりと知らないと、ですね。
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