中卒フリーライターほぼ無職。

在宅Webフリーライターaoikaraの日常ブログです。

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anone 第5話 ネタバレ カルテットにも通じる居心地の良さ

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anoneのホームページのハリカの写真が変化していたことが気になったaoikaraです。何か意味があるのかな。

 

というわけで今回のテーマは…

 

anone 第5話 ネタバレ

 

です。

※個人的な感想なので辛口なコメントを含みます。
※ネタバレもしていますので、まだ内容を知りたくない方はドラマを見てからどうぞ。

 

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第5話 あらすじ・ネタバレ

つなぐ指

男女の指が絡み合っている。「泊まってたら?」聞いたのは女。青島玲(江口のりこ)。「また今度にする」と答えたのは男。中世古理市(瑛太)。その指を離す。同じ部屋には玲の息子・陽人(守永伊吹)がソファで寝ている。

 

玲は理市を玄関まで送る。外は雨が降っていて、玲は疎遠にしている義理の母・林田亜乃音(田中裕子)からもらったを「これ」と手渡す。「捨てていいから」と言いながら。理市はその傘を受け取り、差して帰る。

 

思い出す

辻沢ハリカ(広瀬すず)は清掃の仕事をしている。偶然、ハシビロコウという鳥のポスターを見つける。紙野彦星(清水尋也)が入院している病院の前にあるポスターと同じだった。

 

頑なに

昼間、ハリカは外で座りながら彦星とチャットをしている。「あのね」とハリカが話し出したのは、1000万円をとって盗まれたるい子を、舵と一緒に亜乃音のもとに連れて行ったときの話。その回想。

 

青羽るい子(小林聡美)を連れて、ハリカと持本舵(阿部サダヲ)は亜乃音の家に来た。亜乃音は洗濯した服をたたんでいる。その前にるい子は正座して、「自首してまいります」と言う。「ハリカちゃん」亜乃音はなぜかハリカを呼ぶ。「もうそういうの結構ですから。ってこの方に」と同じ部屋にいるのに言う。

 

「そういうの結構です。あ、もうそういうの結構です」ハリカはそのまま伝える。

 

るい子「自首させてください」
亜乃音「困るんですよ」
ハリカ「困るんですよ」
るい子「私が自首しないと盗まれたお金帰ってきませんから」

るい子が服をたたむことを手伝おうとすると

 

亜乃音「ちょっと!手伝わないで」
ハリカ「手伝わないでー!」

 

それでもるい子は手伝おうとするが、「そういうの自己満足ですから!」と亜乃音は頑なに服を渡さない。二人で服をつかみ合っている。

 

るい子とハリカの後ろで立っていた舵が、大金なので働いて返してお詫びがしたいと説明している。亜乃音が「もうお昼の時間なので」と言うと、例の如くハリカが繰り返し、「自分、作ります!」と舵が腕を振るうことになった。

 

作ったのは焼きうどん。四人分きちんと作って、食卓に並べられてみんな椅子に座る。一番最初に箸をつけたのはハリカ。もぐもぐと食べて「おいしい!」と言う。舵とるい子がほっとすると、亜乃音が「ハリカちゃんは何を食べてもおいしいって言うんです」と説明。ハリカも「何食べてもおいしいです」と言う。

 

ちょっぴり肩を落とす舵とるい子。亜乃音も焼きうどんを食べてみる。一口食べて、立ち上がり、冷蔵庫の中をがさごそ。中から出したのは紅ショウガ。思わず舵とるい子も「あー!」と納得したような声を上げる。亜乃音は全員の焼きうどんに紅ショウガを載せる。

 

もう一度食べて、おいしいとは言わないがまずいとも言わない。舵とるい子は楽しそうにしている。

 

食べながら亜乃音は、自首なんて警察にどう説明するのかと詰め寄っている。正直に言えば、工場で一万円札を刷ったことも「はなさざざざさざるをえない」と亜乃音は言い、「はなささざざるをえない」とるい子も同じように噛んでいる。

 

亜乃音は弁護士事務所で働いているので、そんなことが表沙汰になっては困ると言う。舵は「僕も青羽さんも身一つで一文無しなので、許されるなら働いてお返しします」と答える。

 

芝居する者たち

そんな亜乃音の職場の弁護士・花房万平(火野正平)が家にやってきてしまった。とりあえず家の前で待っている。亜乃音に魚料理を振る舞う予定だったのだ。

 

るい子と舵は弁護士だと聞くとおののき、バレたらまずいと家族のフリをしようと言い出す。焦りながらもるい子は亜乃音の妹、舵はその夫、ハリカはその二人の娘ということになった。

 

しかし、亜乃音は一人で万平を玄関先に出迎えに行ったのでそんなことを知らず、家にいる人は親戚でも何でもないよく知らない他人と伝えた後だった。

 

ハリカがこそこそとやってきた「亜乃音おばちゃーん」なんて声をかける。こっそりと耳打ちして計画を合わせるように言い、家に戻る。しかし、亜乃音は万平に正直に打ち明けた。すると万平は優しく「なりすましに付き合って差し上げましょう」と言う。

 

そうしてハリカと舵とるい子は必要のないお芝居をすることになった。亜乃音が家に戻ってきて、万平を連れてくると、るい子は「あの姉ちゃん」なんて呼ぶ。化粧もバッチリ。舵も笑顔で仲むつまじい夫婦を演じる。

 

ハリカも「ねえママー」なんて言い、娘を装う。大学生で、文学部で、テニスサークルという設定も盛り込んで。万平も「親子そっくりだ」なんて言い、みんなで笑い合う。

 

先生は面白い人

そして万平は魚料理を振る舞ってくれた。料理も酒も進み、みんな芝居のことをすっかり忘れて万平に打ち解けていた。話も面白く、みんなで笑い合った。

 

ハリカはそんな万平と一緒にいる亜乃音は、いつもの亜乃音と少し違っていたように感じていた。亜乃音は万平の話を笑顔で聞き、自分も職場での楽しい笑い話をするのだった。

 

そして、酔った万平を亜乃音がタクシーをつかまえられるところまで送って、家族のお芝居は終わった。「ステキな先生だったね、ママ」「そうねパパ」なんてるい子と舵はまだ続けていた。

 

そのまま

そのまま、亜乃音は舵とるい子を家に泊めた。「猫が増えたようなもんだから」と枕を渡し、布団を敷いた。ハリカは亜乃音と一緒の部屋で寝た。ふふと笑いながら。そして、次の日の朝、四人で一緒に歯を磨いた。

 

未来のこと

そんな話を聞いた彦星は「良かったね」と言う。「はい、青羽さんも、持本さんも」とハリカは答える。「違うよ、ハリカちゃんが。良かったね」と彦星は言い直す。ハリカは少し戸惑い、その言葉には返事をせず、「バイトを始めた」と別の話をする。

 

清掃していた場所にハシビロコウのポスターがあったと話す。彦星の病院の前のポスターはなくなり、「24時間だけの花嫁」という映画のポスターが貼られているらしい。病気の主人公が最後に死ぬという内容だった。

 

ハリカは「へえー」としか返せない。「ポスターを貼った人も、まさかもうすぐ死ぬ人間に見られてるとは思わなかったでしょうね」彦星はそんなことを言う。

 

ハリカは治療について書いてあるメモ帳を取り出し、開き、じっと見る。そして、「彦星君、私、調べてみたんです」と言う。「病気のこととか、その費用のこととか」重粒子線治療のことだった。「私は、彦星君はいつか治ると思っています」とも言う。

 

お金や難しいことはたくさんあるけれど、「彦星君はいつかきっと」というハリカに「いつかっていつ?何年?何月?」そうすぐに返す彦星。そして、話を続ける。

 

「夜眠るとき、目を閉じるとき、もう、このまま目が覚めないんじゃないかって思う。今日、あとで、3分後、3秒後。電球の寿命みたいに、いつ自分が消えても不思議じゃないんだ。明日の話なんか遠すぎる。いつかなんて三億年先の話と同じ

 

彦星の言葉に、ハリカはつーっと涙を流している。「ごめん、いじわる言っちゃった」彦星は謝る。ハリカは首を横に振る。

 

「僕の話は面白くないね。きっと映画にもならない。だからね、ハリカちゃんの楽しい話を聞くのが、今の僕の一番の楽しみなんです」と彦星は言い、ハリカは「私、何もしてない」と無力感を抱いて答える。

 

「君は今頃何してるかなって想像するだけで、まるで自分が体験してるような気持ちになれるんです。君の冒険は、僕の心の冒険です。僕は、亜乃音さん、持本さん、青羽さんのことが好きになりました」

「明日の話はいつかの話はもうなしにしてください」

 

そう伝える彦星に「はい」とハリカは答えるだけ。涙は流れるけれど、何もできない。

 

お金の集め方

ハリカがスケボーをころころと足で転がしていると、亜乃音が来て足でつんつんと遊ぶ。しょげているハリカを見て、「宿題を忘れた子どもみたいな顔して」と声をかける。

 

ふとハリカが握っているものが気になり、見る。ティッシュ配りでもらった水商売の広告だった。「そこで働こうと思ってんの?」と亜乃音は聞く。ハリカは「こういうのってどれくらいお金もらえんの?」と質問する。「時給2000円とか」という亜乃音の答えに「2000円か…」とハリカは繰り返す。

 

本日の冒険

「本日の冒険」と称して、ハリカは彦星に楽しい出来事を「あのね」と聞かせる。「これ300円!」と舵がうきうきして買ってきたパジャマがセミ柄で、妙にリアルで、切るに堪えないので雑巾になった。が、もっとリアルになってしまったこととか。

 

食事中に青羽が「ひぇっぷ」と甲高い声でくしゃみをする。「あなたかわいいくしゃみするのね」と亜乃音が言うと、「かわいかった」とハリカと舵も声をそろえて言う。そんなことないと否定する青羽が何度もくしゃみをして、「かわいい~」とみんなでスマホで撮影。彦星にも音声を聞かせると「かわいい!」と同じ感想を述べる。「白クマの赤ちゃんに匹敵するかわいさ」とハリカは言う。

 

あるとき、ハリカと亜乃音が一緒に買い物に行くと、亜乃音の知り合いがいて「あー久しぶり!」と手を挙げて声をかけた。が、それは全く知らない人。亜乃音は恥ずかしがりながらも、何もなかったかのように気まずそうに立ち去る。

 

そして、今度は本当の知り合いに会う。まあよくしゃべる人で、「やばすぎてやばいのー」が口癖。ハリカと亜乃音のツボに入ってしまった。

 

「あのね、それでね」ハリカが続きを話そうとすると、チャット画面から彦星がいなくなってしまった。「おーい」呼びかけには応じない。「おーい!」やっぱり応じない。

 

夜、ハリカが布団に入っているときのことだった。部屋の電球がチカチカと点滅するようになって、亜乃音は「電球切れそう」なんてつぶやく。

 

追い求める理由

理市は、偽札を作っている作業場に来ていた。いろんなパターンを試し、判別する機械に通している。そこを通っても、両替機には通らない。何枚作ってもダメ。イライラした理市はそれをくしゃくしゃにして床に捨てる。ほかにも同じような偽紙幣がたくさん落ちていた。

 

その中で、きれいな偽紙幣が落ちていた。理市は気になり、手に取る。そして、判別の機械に通してみた。通った。そして両替機にも通すと、きちんと1万円札として両替されて、1000円札が10枚出てきた。

 

「やった!わあ!!やった、やったあああー!!!」理市は思わず叫ぶ。

 

朝になり、理市は家へ帰宅。娘と一緒に寝ている妻(鈴木杏)が起き、「おかえり」と寝ぼけた様子で声をかける。理市の違う様子に気づき、「どしたの?」と聞く。

 

「やっと朝が来たんだ。これから始まるんだ」理市はそう答えていた。

 

1万円札

舵とるい子は、亜乃音の印刷所の工場にいた。1万円を刷ったと聞き、舵は少し楽しそうに言う。印刷されていく様子を「すごまじかった。ちょっとしたね、神様になった気分」というるい子。

 

「もったいないですよね。使わないの」と舵が言う。「あんた何考えてんの?」強めにるい子が言うと、「仕事として!印刷屋さんもありかなーって」と舵は釈明する。

 

みゃあ、と猫が鳴く声がして、亜乃音の家に棲みついている白い猫。「どうした?ご飯食べる?」とても優しい声で話しかけて、抱きかかえて家の中に連れて行く。

 

舵は工場にあった印刷についての書籍を見つけて、目を通すが「うわあ」と困り顔だった。ふらっと立ちくらみが…そんな舵を支えたのは理市だった。水をコップにいれて舵に渡している。

 

「あ、中世古と申します。ここの従業員でした」と理市はすらすらと自己紹介する。いつのまにか二人は話し込んで、舵は「いや、僕ね、なんていうか。今さらな年齢ですけど、何か作ってみたいんです。何か。何かしら残り続けるものを」と希望を込めて笑顔で語っている。

 

そろーりとるい子がやってくる。舵が理市を紹介し、前に働いていた従業員だと説明する。るい子は初めてのような顔をしているが、理市は「以前お会いしました」ときっぱりと言う。発砲事件があってその犯人が自殺した日にと。

 

嫌な予感

 ハリカは清掃のバイト。同じ従業員に時給の良い仕事はないかと聞くと、「こっちが聞きたいよ」と笑いながら答えられる。何かがぱりん!と割れるような音がして…

 

ハリカは嫌な予感がして走る。彦星が入院している病院の前に行くと、病室に彦星がいない。看護師が部屋を片付けているような様子もある。ハリカは困惑し、目を見開く。

 

そのまま走って病院の中に入って受付へ。はーはーと息を切らしながら言葉を絞り出す。「紙野彦星君はどこにいますか?」と。

 

亜乃音の家では、るい子と舵がエプロンをして晩ご飯の支度。亜乃音が帰宅して「まだ帰ってない?」とハリカのことを気にしている。亜乃音はハリカに電話をかけてみることに。

 

ハリカは病院内をとぼとぼと歩く。すると、車いすに乗る患者とそれを押す看護師の会話から「紙野君」という言葉が出る。集中治療室にいて、お父さんが来ていたけど帰ったと。あごまでダウンジャケットを閉めているような男性だったと。1年前から予約しているレストランに行くからと。弟は中学受験だからと。

 

ハリカはまた走り、病院の外へ。すると車に乗り込むあごまでダウンジャケットをしめている男性が。その隣には妻らしき女性、後部座席には弟らしきメガネをした男の子がいる。女性は「あの子の分までおいしいものを食べてあげましょ」と言っている。

 

車に乗り込み、走り出す。ハリカは「待って!」と走って追いかけるも気づかれない。ハリカは泣きそうな顔をしていた。

 

あの人たちと一緒

 亜乃音の電話にハリカは出ない。「ちょっと行ってくる」と外に出る支度をする亜乃音。「たぶん私の気のせいだから」と言い訳もして。るい子と舵は「いってらっしゃい」と送る。

 

亜乃音が車に乗り込むと着信音が。ハリカからの電話が来た。亜乃音から電話が来ていたからと、ハリカはかけ直したのだった。ハリカは言いにくそうに、たどたどしく話す。「えっとー…今日そっち行けないかも」と。

 

「前の友達に会って、カラオケ行こうってなって。歌ってきちゃうね」あくまで明るく言おうとしている。「また明日とかそっち行くから」そう言って、ハリカは電話を終えようとする。

 

亜乃音は「ハリカちゃん、いっこだけいいかな?」と言う。「ハリカちゃん、そっち行けないかもとか、明日行くからとか言ったけど、ここはもう行くところじゃないからね。ここはもうハリカちゃんが帰るところだからね」。

 

そしてハリカに「今度からは行くじゃなくて帰るって言いなさい。帰れない日は変えれないって言いなさい」と言う。ハリカは「亜乃音さん……今日は帰れない」と言い直す。

 

亜乃音はいてもたってもいられず「今どこにいるの?」と聞く。そして、亜乃音がハリカのとことへやってきた。それは彦星が入院している病院の前だった。いつも彦星がいる病室は電気がついていなかった。

 

ハリカの顔を見て、「また宿題忘れちゃった?」と明るく聞く亜乃音。ハリカの手を握り、冷たい手を温める。「手袋どうしたの?」と亜乃音は心配する。バイト先で忘れてきたと答えるハリカ。

 

「違う違う」ぼそぼそとハリカは話し出す。「ここね、いなくてもいいの。本当は、私ここにいてもあんまり関係ないの」と話しにくそうに、明るく言おうと、しゃべる。「なんにもすることないって言うか…」というハリカに「そう」と亜乃音は言うだけ。

 

「どうしようかなぁ…帰ろうかな」言葉に出して迷ってみせるハリカ。亜乃音は「あそこに誰がいるの?」と聞く。「ちょっと私に似てる人。似てるんだよね。久しぶりに会って…会って、は、ない、けど、会ってはないんだけど、まあそういう人。彦星君っていうの」ちょっぴりうれしそうに、たどたどしく話すハリカ。

 

「大事な人なんでしょ?」亜乃音は聞く。「大事な人…んー…」ハリカは首をかしげる。「大事な人だったらこんなところいないよね。そばにいるよね」とハリカは言う。

 

「彦星君、お父さんとお母さんも病院にいないの。レストランでご飯食べてる。・・私と一緒なんだよね。私も、彦星君が…」目に涙を溜めてハリカは話す。

 

「苦しんでるときに、笑ってた。熱出してるときに、ご飯食べてた。私病院の人じゃないから治してあげられない。お金持ちじゃないから良い病院に連れて行ってあげられない。何もしてあげられないのは一緒。私もレストランでご飯食べてる人と同じ。ここにいてもいなくても同じ

「全然、大事にしてない。それだからね、今、帰ろうって思ってたんだよ」

 

「ごめんごめん」ハリカは謝り、帰る方向に歩き出す。しかし、亜乃音は動かない。「行こう、ここにしてもしょうがないから」と言うも、動かない。

 

すると亜乃音はハリカをぐいぐいと引っ張って、病院の前へと戻す。「ここにいなさい。ここ離れちゃだめ」と言う。「何もできなくてもいいの。その人を思うだけでいいの。その人を思いながら、ここにいなさい」そう亜乃音が言うと、ハリカは堪えていた涙をぽろぽろと流す。

 

亜乃音は来た道を戻っていく。ハリカはその場所にいることを決めた。

 

夜が明けて

空が白み始めた頃、病室に灯りがついた。はっとハリカが見ると、そこに彦星が現れた。病室に戻ってきたのだった。自分で歩いて、自分でベッドに寝ている。ハリカは驚く。

 

そして、また走る。すると、近くのベンチに亜乃音が座って寝ているのに気づく。「亜乃音さん!」ハリカは泣きながら声をかける。「彦星君、目え覚ましたよ!」亜乃音は頷き、ハリカは亜乃音に抱きつき、声をあげて泣く。

 

一度向き直って、亜乃音は微笑みながら「あなたちょっと前髪長すぎじゃないの?」なんて髪をつかんでみせる。ハリカはまた泣き、また抱きついていた。

 

おかえりなさい

ハリカは亜乃音と一緒に家に戻ってきた。「おかえりなさーい」るい子と舵は何事もなかったかのように、極めて普通の振る舞いで声をかける。「ただいま」ハリカも答える。

 

朝ごはんはトンカツ。昨晩作ったおかずがスライドしたのだった。四人で食卓を囲み、「いただきます」と食べる。

 

ハリカは堰を切ったように「あのね」「あのね」と話をし出す。それはハリカがあの施設に入れられる前のときのように。大売り出しの旗が風邪になびいて私を手招きするの、しゃっくりが止まらないの…そんな話を延々と。

 

暮らす

その後、亜乃音はハリカの前髪を切ってあげている。しかし、途中でハリカが寝てしまった。るい子や舵も微笑ましそうに見ている。

 

るい子は「私もこの頃からそうでした」と言う。「生きることに必死で、バタバタしてばっかり。大人になったら変わるかなーと思ってたけど、相変わらずバタバタ。生きることって難しいです」と。

 

舵は「思い残すこととか欲しいです」と言う。思い残すことがあるから生きる意味があると言う。もっと人から褒められたいとも言う。それも生きる意味だと。すると亜乃音は「焼きうどんおいしかったですよ」と褒める。自分の生きる意味は焼きうどんかと舵は笑う。

 

「生きなくたっていいじゃないですか、暮らせば」亜乃音が言う。「暮らしましょうよ」と。亜乃音は暖かな日差しを感じながらにっこりと笑顔になっていた。みんなでハリカを布団に運ぼうと、楽しく考えている。

 

そんなハリカは布団の中で、ゆっくりと目を覚ます。おでこに触れるものに気づき、手で触れて、それは短くなった前髪だと気づいて「ふふ」と笑顔になる。

 

いつか

ハリカはそのままスマホを取り出して、チャットにログインする。そこに彦星がいた。いつものように「こんにちは」「元気ですか」とあいさつする二人。彦星はお昼ご飯をおかわりするほど元気と言う。

 

「その前はずっと寝てました」とも言う彦星。「けっこう長く寝て、たくさん夢を見ました」という。外に出て、パン屋さんに行く夢だったと。月の出ていない夜しか開いてないパン屋で、彦星はトングとトレイを取り、ぶどうぱんとピーナッツクリームパン、りんごジュースをとった。

 

店員は帽子とエプロンをしたハリカだった。「ぶどうぱん1点、ピーナッツクリームパン1点」とハリカは声に出してレジをしていたと言う。「ポイントカードはお持ちですか?お作りしますか?」という店員ハリカに「はい」とこたえて、ぽんぽんぽんと3個のスタンプが押される。

 

「ありがとうございました」というハリカの声を聞きながら、彦星は店を出た。そのポイントカードを持って、また明日もこのパン屋さんでパンを買おうと彦星は思ったと言う。

 

「夢の中でとは言え、明日のことを考えたのはすごくすごく久しぶりです」と彦星は言う。「そのことが、目が覚めた今も離れなくて、明日のことを考える癖がついてしまいましたとも。

 

「僕はポイントカードを貯めたくなってしまいました。そのうち僕も、いつか、って日を信じるのかもしれません。そのとき、ぼくは、それはすごく怖いことなんだけれど、生きていたいって思ってるのかなって。生きたいのかなって、もうとっくに

「今はまだ会えないけど、会いたいのかな。ハリカちゃんに会いたいのかな、もうとっくに」

 

そんな彦星の言葉に、ハリカは涙を流している。

 

「会いたい」

 

そう短い言葉をハリカは送る。

 

「はい、いつか」

 

彦星も短く返事する。

 

「私、彦星君似合って、もう一度流れ星を見たいです。前は覚えてなかったから、今度はちゃんと覚えておきたい」

「はい、いつか。いつかハリカちゃんに会える日を思いながら、これからは毎晩目を閉じることにします」

 

始めたい

「これから印刷屋さんになるの?」亜乃音は印刷所の工場で、舵に聞いている。るい子も同席している。「はい!」舵は答えている。「できなかったらできなかったでいい」とも言う。

 

亜乃音は仕事を理解している人物として、理市に聞いてみようかと提案する。「あの人に教えてもらうなら最高です!」と舵が言うと、るい子にバン!と背中を叩かれる。

 

あの頃

理市は自宅で電話を受け取り、「今晩伺います」と答える。妻の結季は心配そうな顔で「もういいんじゃない?そういうの見なくて」と諭している。

 

理市が見ているのは、「ネットによるアパレル通販業で年商400億円を生み出す男」「ネット通販会の風雲児 川又敦(ブランプラス社長)」と書かれているインタビュー雑誌。洗濯した服をたたみながら見ている。

 

「私、この会社作って、IT長者なんて言われて頃のりーくんと、今のお弁当屋さんのりーくんと、好きな気持ち全然変わってないよ?騙されて裏切られて、なんにもなくなったって言うけどさ、私は残ったじゃん?さつきも生まれたじゃん」

「わかってるよ感謝してる」

 

実感込めて言う結季に対して、理市はぶっきらぼうに早口で言う。「私はお弁当屋さんの奥さんで十分!」念押しするように結季が言う。家にはピンポンと誰かが来て、結季が出る。

 

ファースト鍋

「あっつつつつつつ!」舵が熱がっているのは、熱々の土鍋を持っていたから。「鍋持ってる人が一番強いですね!」と舵は言う。「焚き火やってる人ね」とるい子が言う。

 

食卓のコンロの上に置かれた土鍋を見て、ハリカは「鍋初めて」と言う。るい子は驚き、「本気?」と言う。うなずくハリカ。「最高の鍋作りますね!」と舵は意気込んでいる。

 

舵がみかんを鍋に入れようとして、亜乃音とるい子が「ええええ、何してんの!」と必死で止める。舵はきょとんとした顔で「みかん鍋作ろうと思って…おいしいですよ」と言う。亜乃音は「おいしくないでしょう」といぶかしげな顔。るい子も同意。

 

るい子はちょっと待てと話し出す。「仮においしかったとしても…。ねえ、ファーストキスはどこでする?ファーストキスが、大西洋渡る豪華客船の突端だったら、怖さが先に立ってキスのことは覚えてないでしょ?」るい子の言葉に「はい?」と舵は聞き返すように言う。

 

「いや、ハリカちゃんは生まれての初めての鍋なのよ。初めてがみかん鍋ってことはないでしょう。初めての鍋は校舎裏でいいの、階段の踊り場でいいの、過剰なロマンはいらないの!ですよね?」亜乃音に同意を求めると「おいしくないでしょう」とだけ言う。

 

「はい、撤収!」るい子はみかんを片付ける。舵が寂しそうに土鍋のフタをしめると、ハリカが「持本さん!」と気づいて指を差す。それはセミ柄のパジャマで作った布巾だった。みんな一斉に怖がる。

 

お話があって

その夜は雨だった。理市は玲から受け取った、玲は亜乃音から受け取ったあの傘を差してやってきた。中に入れた亜乃音は、自分と同じ傘のような気がしてじっと見る。しかし、理市は気にしていないので追求はしなかった。

 

みな食卓に座って待ち構えているが、理市は先に仕事の話がしたいというので片付ける。全員そろって座る。

 

「えーと、今日は説明させていただきます」いつになく強い語調で、理市は話し出す。そして、財布から一万円札を取り出して手渡す。舵は手を伸ばしていたが、その手ではなく食卓に各々に淡々と配られる。

 

そして理市自身も1枚の一万円札を持って、話し出す。「えーこの一万円札はE券と呼ばれています。ABCDEのE。最初の一万円札が発行されてからの、その5番目のバージョンということです」

 

息つく暇もなくとうとうとしゃべる理市。ハリカはおかしなものを見るように、亜乃音は少し引き気味に、るい子は一万円札と理市を交互に見るようにして、舵は戸惑った様子で聞いている。

 

「紙幣には敵がいてぇ、闘うために常にアップデートされてきました。紙幣の敵、偽札のことです」

 

「中世古君?」思わず亜乃音が口を出してしまう。柔らかい口調で。それに気求めず同じペースで理市は話す。

 

「E券には偽造防止のためさまざまな工夫がされています。まずはこの図案、色彩そのものです。パールインクという、特殊なインクが使用されていて、肉眼では確認できないマイクロ文字も隠されています」

 

と、舵が一万円札を手に取ってみている。

 

「再現するにはぁー1200dpiの印刷機が必要です。ご存じのように、日本の紙幣は世界で一番偽造が難しいと言われています。それは何か!何がE券の最大の武器か!3つあります!透かし、凹版印刷、ホログラム」

 

ひとつひとつを指さしながら理市は説明する。赤ペンを取り出して印を付けだした。

 

「透かしには、黒透かしと白透かしというのがあって、黒透かしは紙幣の印刷以外での使用を法律で禁止されているんです。」

「凹版印刷。指先の感触で識別できるように、インクで厚みをつけています。日本に存在する凹版印刷機は、全て、警察の監視下に有ると言われています」

「この2点に関しては、民間の技術では」

 

「中世古君、もうやめましょう」という亜乃音の言葉に対して、理市は咳をしただけで「もうすぐ終わります」と止めない。「いや、今日はそんな話をしてもらうために」と亜乃音が言いかけると、「亡くなったご主人にも関わるお話です」と言い出す。

 

「つい1年前、僕とご主人は偽札の製造に取り組んでました。ご主人が亡くなった後僕はもう一つの観点から、偽札に向き合ってきました」

 

そう言って、自分が持ってきた荷物からがさごそと取り出す。紙幣を通す機械。

 

「偽札には2種類あります。人の目を騙す偽札と、機械の目を騙す偽札。僕が取り組んできたのは自動販売機、両替機、銀行のATM、これを突破するためのものです」

 

そういって、財布から紙幣と同じサイズ、しかし真ん中だけ印刷された奇妙な紙を取り出す。

 

「紙幣の識別機は磁気、赤外線、光のセンサーでデータを読み取っています。紙幣のどこの何を読み取っているのかを解析できれば機械は騙せる。これは自販機に内蔵されている識別機の一つです」

 

そういって先ほどの紙を手に取り、識別機に通す。紙は戻ってこず、識別機を通過する。舵だけが少しだけ身を乗り出して驚き、残りの3人は特に反応もしなかった。

 

「自販機だけじゃありません。銀行のATMだって、解析できれば今と同じことが可能だ」

 

そして伏し目がちにじろっと見渡している。舵は手に取っていた一万円札を元の位置に戻し、気まずそうにしている。皆も目をそらしている。

 

理市は立ち上がり、4人の前に向き直る。すぅっと息を吸い、

 

「今日ここにお邪魔したのは、皆さんに、

 

この偽札の製造に協力していただくためです

 

きっぱりと言った。

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という話でした。ほのぼのしていたのにとんでもない展開がやってきましたねーいやこりゃこりゃ。感想は別記事で書きます。

 

 aoikara

 

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